微分係数の定義は
同様の計算を繰り返し行う羽目になり,\ 無駄以外の何物でもない.
これらを効率的に求めるには,\ 文字を用いて一般化する}のがよい.
$a$を$x$に置き換える}
これを利用して微分係数を求めると,\ 以下のようになる. \
$f'(a)$は定数だが,\ $f'(x)$は$x$の関数になる.\ $f'(x)$を$y=f(x)$の導関数という.
また,\ $f(x)$から導関数$f'(x)$を求めることを$f(x)$を微分するという.
$f'(a)$は,\ $f(x)}$を微分した導関数$f'(x)}$に$x=a}$を代入して求めるのがよいわけである.
あらかじめ$f'(x)$を求めておけば,\ .
導関数には,\ $f'(x)$以外に\などの表記法がある. \\
さらには,\ $f'(x)$を求めるために毎回極限計算することも無駄である.
よって,\ 以下の導関数を公式として覚えることになる.
dy}{dx}\,や\,d}{dx}\,は分数ではなく,\ これで1つの記号である.
読み方も「ディーエックス分のディーワイ」ではなく,\ 「ディーワイ,\ ディーエックス」である.
積の微分と累乗の微分公式は,\ 数II}までしか学習しない学生であっても知っていると役立つ.
$f(x)=c\ (c:定数)$の導関数を定義に基づいて求めよ.
(2)\ \ $f(x)=x^n\ (n:自然数)$の導関数を定義に基づいて求め
先に示した微分公式の証明である.\ 導関数の定義f'(x)=lim{h\to0}f(x+h)-f(x)}{h}\ で求める.
(1)\ \ f(x)=c\ (定数関数)のとき,\ 当然f(x+h)=cである.
(2)\ \ (x+h)^n\,は二項定理}\ (数II}:式と証明で学習)を用いて展開する.
\ \ f(x)=x^n\,の微分は,\ 指数のnを前に出し,\ さらに指数を1小さくする}だけでよいわけである.
次の関数を微分せよ.\ ただし,\ (1)は定義に基づいて微分せよ.
(1)\ \ 導関数の定義\ y’=lim{h\to0}f(x+h)-f(x)}{h}\ を用いて求める.
\ \ そのままでは\,00\,の不定形となるが,\ 分子を通分するとhを約分でき,\ 不定形が解消される.
(2)\ \ \{kf(x)+lg(x)\}’=kf'(x)+lg'(x)は,\ 項ごとに変数部分を微分すればよい}ことを意味する.
\ \ 変数部分は公式\ (x^n)’=nx^{n-1}\ を適用する.\ また,\ (c)’=0より,\ 定数項は微分すると0になる.
\ \ 丁寧に記述したが,\ 微分計算では途中の記述は必要ないので,\ 慣れれば一発で解答すればよい.
(3)\ \ 数II}では展開してから微分するのが正攻法である(別解).
\ \ 数III}では積の微分\ \{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)}\ を用いるのが正攻法となる.
\ \ 要は,\ (積の微分)=(左微分)(右そのまま)+(左そのまま)(右微分)}\ である.
(4)\ \ 積の微分は3つ以上の因数の積の場合にまで拡張できるので紹介しておく.
\ \ \{f(x)g(x)h(x)\}’=f'(x)g(x)h(x)+f(x)g'(x)h(x)+f(x)g(x)h'(x)
(5)\ \ もちろん展開して求めることもできるが,\ 非常に大変である.
\ \ 累乗の微分公式\ [\{f(x)\}^n]’=n\{f(x)\}^{n-1}・ f'(x)}\ を利用すべきである.
\ \ 積の微分公式とは異なり,\ 累乗の微分公式は知っていると数II}の範囲でもかなり役立つ.
\ \ 公式がわかりづらいという学生のため,\ f(x)=Xと置換してみる.
\ \ (X^n)’=nX^{n-1}・ X’}\ となる.\ X^n\,をXで微分してnX^{n-1}\,とし,\ X’を掛けただけである.
\ \ 要は,\ 置換して微分したとき,\ 置換したものの微分を掛ける必要がある}ということである.
\ \ 本問の場合x-1=Xとおくと,\ y=X^4\,より y’=4X^3・ X’=4(x-1)^3・(x-1)’
\ \ y’=4(x-1)^3\,から,\ x-1の場合もy=x^4,\ y’=4x^3\,と同じと誤解する学生が多い.
\ \ 実際には(x-1)’=1が隠れている.\ 誤解していると,\ (5)は正解できても(6)では間違える.
(6)\ \ (2x-1)’=2を掛けるのを忘れてはならない.
(7)\ \ 積の微分と累乗の微分の混合である.
\ \ 微分計算では,\ 最後は因数分解する方向で整理する}のが原則である(後に理由がわかる).