ベクトルは、2022年の新課程から数学Cに移行しました。
数学であるにもかかわらず、突然矢印遊びが始まる。最初はその意義や意味が分からず戸惑うことだろう。しかし、学習を進めていくなかで、徐々にベクトルの有用性がわかってくるはずである。
平面図形の問題を幾何的手法で解こうとするとひらめきが必要なることも多く、常人には難易度が高くなる。中学生のときに図形問題に苦労したことを思い出せばよい。三平方の定理や相似などの限られた幾何的知識のみで難しい図形問題を解くのは至難の業である。常人には到底気付かないような補助線を引いた解答を見て自分には数学的センスがないと思った学生もいたことであろう。
しかし、美しくテクニカルに解くだけが数学ではない。いざというときにゴリ押しで求めることができないかを考えるのもまた数学である。
ベクトルの大きなメリットの1つは「図形問題を解くときにひらめく必要がない」ことである。ベクトルを用いると、図形問題が単なる機械的な計算問題と化す。我々のような数学的センスがない凡人ほど、ベクトルの意義を理解し、自在に扱えるようにしておくことが重要というわけである。
当カテゴリでは、平面ベクトルの基本パターンを網羅する。図形問題をベクトルで解く演習を積み重ねていく中で、最終的にはベクトルが実は直交座標平面を一般化した斜交座標であるということを理解するのが当カテゴリの目標である。これを知ったとき、ベクトルがもつ無限の可能性を感じ取ることができるかもしれない。
実は、大学の教養課程(1,2年)の数学では、微分・積分と線形代数が2本の柱となる。線形代数はベクトルの延長線上にある分野である。ベクトルは、大学数学2本の柱のうち1本をなすほど重要な分野なのである。
また、平面ベクトルはこの後に学習する空間ベクトルの基礎である。平面でベクトルの扱いに習熟しておけば、空間ベクトルが非常にスムーズに学習できるようになる。
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- ベクトル方程式が表す点Pの軌跡(後編)
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- ベクトルの終点の存在範囲