ベクトルの1次結合sa+tbと1次独立

sa+tb=0$ならば,\ $s=t=0$であることを示せ.
$c$を任意のベクトルとするとき,\ $c=sa+tb$とただ1通りに表せることを示せ.
ベクトルの1次結合と1次独立1次独立であるという.
このとき,\ 任意のベクトルは$\ただ1通りに表せる.
1次結合で表すことをベクトルの分解という. {ベクトル$a,\ b$が1次独立}であるとき
$の形の表し方がただ1通りしかないことを意味している.
初学者はふ~んくらいで軽く流すだろうが,\ 実は以上がベクトル分野No.1重要事項である.
そのことは,\ 学習を進めるにつれて徐々にわかってくるだろう.
とは,\ との証明である.\ は明らかなので,\ が問われているわけである.
aとbが平行でないならば,\ 足して0になるにはs=t=0しか有り得ないことの証明である.
まずはこれが当然だと思えてほしい.
s=t=0でない限り,\ 違う向きのベクトルが打ち消し合って0になるはずがない.
{当たり前に思える命題の証明では背理法が有効}である.
当たり前であればある命題ほど,\ その否定を仮定すると矛盾が生じやすくなるからである.
結論はs=0かつt=0だが,\ s0のみ仮定すればよい.
そして,\ s0でなければできないことを行う.\ それは,\ sで割るということである.
すると,\ t=0でもt0でも矛盾が生じることがわかる.
t0のとき- tsは実数で,\ kとおくとa=kbとなり,\ これはベクトルの平行条件である.
どんな問題でも,\ ただ1通りであることの証明を問われると抵抗感を示す学生は多い.
ただし,\ 本問は基本的な発想の1つで容易に証明できる.
それは,\ {とりあえず文字で2通りに表し,\ その文字が一致することを示す}というものである.
以下のように背理法で記述することもできる.
c=s₁a+t₁bとc=s₂a+t₂b\ (s₁ s₂\ または\ t₁ t₂)と2通りに表せると仮定する.
本解と同様にしてs₁=s₂,\ t₁=t₂が導かれるから,\ 矛盾である.
単にs,\ tを求めるだけならば,\ 成分を計算するだけなので容易である.
ただし,\ 2文字の連立1次方程式となるので,\ 求まる(s,\ t)がただ1組であることに留意しておく.
つまり,\ sa+tbの形の表し方はただ1通りである.
数式だけでなく,\ 図形的な意味合いも確認しておいてほしい.
わかりやすさのため,\ a,\ b,\ cの始点を原点とする.\ すると,\ 成分と座標が一致する.
本問から,\ 3a=(3,\ 9)進んだ後に2b=(4,\ -2)進めば,\ \text C(7,\ 7)に到達できることがわかる.
ここで,\ cの成分が(7,\ 7)であることに本質的な意味合いはない.
実際,\ 本解と同様にすると点\text Cが平面上のどこにあってもsa+tbの形で表せる.
言い換えると,\ {aとbをそれぞれ何倍かしてcが対角線となる平行四辺形を作ることができる.}
しかも,\ そのような平行四辺形は{ただ1通り}である.
さらに,\ 本問のaとbの成分が(1,\ 3)と(2,\ -1)であることにも本質的な意味合いはない.
よって,\ {1次独立でさえあればaとbが何であっても同様の話が成り立つ.}
例えば,\ a=(1,\ 0),\ b=(0,\ 1)とすると,\ c=7a+7b\ とただ1通りに表せる.
つまり,\ {aとbを自分で自由に定めても,\ 任意のベクトルcがただ1通りに表せる}のである.
このことが,\ 後にベクトルを図形問題に応用する場合にとてつもなく重要な意味をもってくる.
だからこそ,\ 本項の内容がベクトル分野No.1}の重要事項なのである.
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