放物線の接線・法線に関して対称な直線が通る定点(放物線の焦点)

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以下はGeoGebraによる作図です。自分でスライダーを動かしてみてください。自動再生もできます。

平行に入射した光線が同じタイミングで焦点に到達することを確認してください。

放物線\ $C:y=x^2$\ 上に点P$(a,\ a^2)\ (a>0)$がある.\ また,\ 直線$x=a$を$\ell_1$とする. \\[1zh] \hspace{.5zw}(1)\ \ $C$上の点Pにおける法線$n$に関して,\ 直線$\ell_1$と対称な直線$\ell_2$の方程式を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ $C$上の点Pにおける接線$m$に関して,\ 直線$\ell_1$と対称な直線を$\ell_3$とする. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(2)}\ \ 2直線$m,\ \ell_1$のなす角を$\theta\left(0<\theta<\bunsuu{\pi}{2}\right)$とするとき,\ 2直線$m$と$\ell_3$の傾きを \\[.4zh] \hspace{.5zw}\phantom{(2)}\ \ $\theta$で表せ.\ また,\ $\ell_3$の方程式を$a$で表せ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(3)\ \ $\ell_2,\ \ell_3$が定点を通ることを示し,\ その座標を求めよ. \\ 放物線の接線・法線に関して対称な直線が通る定点}}}} \\\\[.5zh]  (1)\ \ $y'=2x$    $a\neqq0$より,\ 法線$n$の方程式は $\textcolor{cyan}{y=-\bunsuu{1}{2a}x+a^2+\bunsuu12}$ \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ $点(a,\ 0)$を法線$n$に関して対称移動した点を$(X,\ Y)$とする. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ 法線$n$と2点$(a,\ 0),\ (X,\ Y)$を結ぶ線分は直交するから \\[.2zh] まず,\ 法線nを求める.\ 点\text Pにおける接線の傾きは2aである. \\[.2zh] 2直線の垂直条件は\bm{(傾きの積)=-\,1}であるから,\ 法線nの傾きは-\bunsuu{1}{2a}\,(a\neqq0)である. \\[.8zh] 法線nは点\text Pを通る傾き-\bunsuu{1}{2a}\,の直線であるから y=-\bunsuu{1}{2a}(x-a)+a^2=-\bunsuu{1}{2a}x+a^2+\bunsuu12 \\\\ \ell_2\,を求めるには,\ まず\bm{\ell_1\,上の任意の1点を法線nに関して対称移動した点(X,\ Y)を求める.} \\[.2zh] \bm{この点と点\textbf Pを通る直線が\,\ell_2}\,である(下図).\ 実質的に直線に関する対称点を求める問題となる. \\[.2zh] 直線に関して対称な直線を求める時の一般的な考え方である. \\[1zh] 任意の1点としてx=a上で最も簡単な点(a,\ 0)を用いた. \\[.2zh] 対称点を求めるには,\ \bm{直交条件と二等分条件を立式して連立する}のであった. \\[.2zh] \bm{法線nが2点(a,\ 0),\ (X,\ Y)の垂直二等分線}になるようにすればよいわけである. \\[.2zh] 直交条件は\bm{(傾きの積)=-\,1}である.\ 二等分条件は,\ \bm{2点の中点が法線n上にある}と考える. \\[.2zh] X,\ Yの連立方程式となるのでこれを解けばよい.\ aは定数である. \\[1zh]  (2)\ \ 接線$m$,\ 直線$\ell_3$と,\ $x$軸の正方向とのなす角をそれぞれ$\alpha,\ \beta$とする. \\[1zh 結論から言えば,\ (1)の\,\ell_2\,と(2)の\,\ell_3\,は同じ直線である. \\[.2zh] (1)と(2)の解答で,\ この直線を求める代表的な方法を2つ示したことになる. \\[.2zh] 実際の入試では,\ (1)と(2)のどちらかに誘導されることがほとんどである. \\[1zh] さて,\ \bm{(傾き)=(x軸の正方向とのなす角の\tan)}であった. \\[.2zh] よって,\ \tan\alpha\,と\,\tan\beta\,を求めればよいわけだが,\ \theta=\bunsuu{\pi}{4}\,のとき\,\ell_3\,はx軸と平行となる(下左図). \\[.8zh] また,\ \theta>\bunsuu{\pi}{4}\,のとき\,\beta\,の図形的な位置が変わるので場合分けして考える(下右図). \\\\ 0<\theta<\bunsuu{\pi}{4}\,のとき,\ 上図のようになるので普通に求められる.\ \ \tan\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu{\pi}{2}-\theta\right)=\bunsuu{1}{\tan\theta}\,は公式である. \\[.8zh] \theta=\bunsuu{\pi}{4}\,のとき,\ 下左図より直線\,\ell_3\,の傾きは0である. \\[.8zh] \bunsuu{\pi}{4}<\theta<\bunsuu{\pi}{2}\,のとき,\ 下右図において\text A(a,\ 0),\ \ell_3\,とx軸との交点を\text Bとする. \\[.8zh] \beta=\angle\mathRM{BAP+\angle APB}=\bunsuu{\pi}{2}+\pi-2\theta\ となる(三角形の外角はそれと隣り合わない2つの内角の和). \\[.8zh] 公式\,\tan(\pi+\theta)=\tan\theta\,を利用すると \tan\hspace{-.2zw}\left\{\pi+\left(\bunsuu{\pi}{2}-2\theta\right)\right\}=\tan\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu{\pi}{2}-2\theta\right) \\[1.2zh] \theta=\bunsuu{\pi}{4}\,のとき\,\bunsuu{1}{\tan\theta}=1より,\ 直線mの傾きは0<\theta<\bunsuu{\pi}{2}\,のとき常に\,\bunsuu{1}{\tan\theta}\,である. \\[.8zh] また,\ \theta=\bunsuu{\pi}{4}\,のとき,\ \tan\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu{\pi}{2}-2\theta\right)=\tan0=0である. \\[.8zh] よって,\ 直線\,\ell_3\,の傾きは,\ 0<\theta<\bunsuu{\pi}{2}\,のとき常に\tan\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu{\pi}{2}-2\theta\right)である. \\[.8zh] ただし,\ \theta=\bunsuu{\pi}{4}\,のときは\,\bunsuu{1}{\tan2\theta}\,の形にはできない.\ \tan\bunsuu{\pi}{2}\,は値が存在しないからである. \\[.8zh] 傾きを求めるだけならば,\ 0<\theta<\bunsuu{\pi}{2}\,のとき\ \tan\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu{\pi}{2}-2\theta\right)とまとめて答えるのもよい. \\[.8zh] \ell_3\,をaで表すには\,\bunsuu{1}{\tan2\theta}\,とする必要があるので,\ まとめずに答えておいた. \\[1.3zh] 接線mの傾きに着目すると\,\tan\theta\,をaで表せる. \\[.2zh] さらに,\ \bm{2倍角の公式}を用いると,\ \ell_3\,の傾き\,\bunsuu{1}{\tan2\theta}\,をaで表せる. \\[.8zh] ここで,\ \text{(ii)}のとき接線の傾き2aが1となることから,\ 接点の座標は\text P\left(\bunsuu12,\ \bunsuu14\right)である. \\[.8zh] よって,\ このときの直線\,\ell_3\,の方程式はy=\bunsuu14\,である. \\[.8zh] \maru1においてa=\bunsuu12\,とするとy=\bunsuu14\,となるから,\ \maru1は\text{(ii)}の場合も含んでいる.  (3)\ \ 直線$\ell_3$の方程式を変形すると $4xa^2+(1-4y)a-x=0$ \\[.5zh] \phantom{ (3)}\ \ この等式が$a$の値によらず成り立つ条件は $\textcolor{red}{4x=0,\ \ 1-4y=0,\ \ -\,x=0}$ \\[1zh] \centerline{$\therefore\ \ \bm{aの値によらず,\ 定点\left(0,\ \bunsuu14\right)を通る.}$} 常にある1点を通るということは,\ 数式的にはその点を代入すると常に成り立つということである. \\[.2zh] よって,\ aの値によらず通る定点を求めるとき,\ \bm{aについての恒等式と考える}のであった. \\[.2zh] 具体的には,\ \bm{aで整理して係数比較する}ことになる. \\[.2zh]  \bm{ax^2+bx+c=0\,がxについての恒等式\ \Longleftrightarrow\ a=0\ かつ\ b=0\ かつ\ c=0}  本問には,\ \textbf{\textcolor{blue}{放物面における光の反射}}という背景がある. \\[1zh]  放物線の内側が鏡になっており,\ 光が$y$軸と平行に入射してくるとする. \\[.2zh]  接線・法線に関して対称移動した直線が反射後の光の進行方向を表す. \\[.2zh]  本問は,\ \textbf{\textcolor{red}{放物線の内側のどこで反射しようとも,\ 反射後$\bm{y}$軸上の定点に集まる}}ことを示す. \\[1zh]  これがパラボラアンテナの原理である.\ 光が集まる定点を\textbf{\textcolor{blue}{焦点}}という. \\[.2zh]  焦点に受信機を設置すると,\ 微弱な電波でも受信できる. \\[1zh]  逆に,\ \textbf{\textcolor{red}{焦点から発射した光は,\ 反射後$\bm{x}$軸と平行に進行する.}} \\[.2zh]  これが懐中電灯の原理である.\ 焦点に電球を設置すると,\ 光が平行に直進して遠くまで届く. \\[1zh]  一般に,\ 放物線$y=\bunsuu{1}{4p}x^2$の焦点は$(0,\ p)$となる(本問は$p=\bunsuu14$の場合). \\[.4zh]  数\text{I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}の2次曲線でより詳しく学習する