三角関数の最大・最小⑤(分数型)

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0\leqq\theta\leqq\bunsuu{\pi}{2}$のとき,\ $y=\bunsuu{\sin\theta+1}{\sin\theta-2}$の最大値と最小値を求めよ. \$y=\bunsuu{\tan\theta}{\tan^2\theta+1}$の最大値を求めよ. \\[1.4zh] \hspace{.5zw}(3)\ \ $0\leqq\theta\leqq\bunsuu{\pi}{2}$のとき,\ $y=\bunsuu{\cos\theta+1}{\sin\theta-2}$の最大値と最小値を求めよ. \\ 三角関数の最大・最小\maru5(分数型)}}}} \\\\[.5zh]  本項では,\ 分数型の三角関数の最大・最小パターンをいくつか紹介する. \\[.2zh]  数I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}Iの微分法を学ぶと,\ あらゆる関数の最大・最小を同じ方法で求められるようになる. \\[.2zh]  そのため,\ 数I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}Iを学習済みの理系は,\ 最大・最小問題で安易に微分に頼ってしまう. \\[.2zh]  しかし,\ 微分して最大・最小を求めるのは多くの場合かなり面倒である. \\[.2zh]  微分の利用は最終手段とし,\ まずは本項で紹介する発想が通用しないかを考えてほしい. \\\\\\ が最大となるとき$y$は最小,\ $\sin\theta$が最小となるとき$y$は最大}になる. \\[.5zh] のとき & \bm{最小値\ -2} \\[1zh] \,\sin\theta=0,\ つまり\ \bm{\theta=0}\ のとき & \bm{最大値\ -\bunsuu12} \end{cases}$} \\\\\\ \centerline{{\small $\left[\textcolor{brown}{\begin{array}{l} 分数式は,\ \bm{分子の次数を分母よりも低くする}のが基本であった. \\[.2zh] \sin\theta=tとすると,\ y=\bunsuu{t+1}{t-2}\,より分母分子ともにtの1次式である. \\[.8zh] 分母と分子の次数が同じ場合,\ 分母と同じ形を分子に作って分割することで分子の次数を下げられる. \\[.2zh] 実際には,\ 分子の次数が下がったことよりも,\ \bm{結果として変数\,\theta\,が分母に集まった}ことが重要である. \\[.2zh] これにより,\ yの最大・最小を考えることが分母\,\sin\theta-2の最大・最小を考えることに帰着する. \\[.2zh] t=\sin\theta\,のとりうる値の範囲を考慮した上で,\ yの最大・最小を考える. 相加平均と相乗平均の関係}より \bunsuu{t}{t^2+1}\,の形の式は,\ t\neqq0を確認した上で分母分子をtで割り,\ \bm{変数tを分母に集める.} \\[.8zh] \bm{相加相乗により,\ ○+\bunsuu{1}{○}\,の最小が求められる}のであった.\ すなわち,\ \bunsuu{1}{t+\bunsuu1t}\,の最大が求められる. \\[.8zh]   a+b\geqq2\ruizyoukon{ab} (a=bのとき等号成立) \\[.8zh] 必ず前提条件を確認してから適用する. \\[.2zh] また,\ \bm{相加相乗で最大・最小を求めるとき,\ 等号成立条件の確認が必須}なのであった. \\[.2zh] \bunsuu12\,以下は最大値\,\bunsuu12\,をも意味するわけではないからである.\ 仮に最大値\,\bunsuu13\,でもそれは\,\bunsuu12\,以下である. \\[.8zh] =\bunsuu12\,を成り立たせるような実数\,\theta\,が存在して初めて最大値\,\bunsuu12\,が確定する. \phantom{ (1)}\ \ ここで,\ \textcolor{red}{$\bunsuu{Y-2}{X+1}$は2点$(X,\ Y)$,\ $(-\,1,\ 2)$を通る直線の傾き}である. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ $(X,\ Y)=(0,\ 1),\ (1,\ 0)$のとき,\ 最小の傾き$-\,1$となる. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ また,\ 傾きが最大となるのは,\ 直線が円$x^2+y^2=1$と第1象限で接するときである. \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ 点$(-\,1,\ 2)$を通る傾き$m$の直線の方程式は $mx-y+m+2=0$ \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ 円と直線が接する条件は $\bunsuu{\zettaiti{m+2}}{\ruizyoukon{m^2+(-\,1)^2}}=1$\ より  三角関数は,\ \bm{\cos\theta=x,\ \sin\theta=yとおくと半径1の円との共有点として図形的にとらえられる.} \\[.2zh] 元はといえば,\ 単位円上の点のx座標とy座標が\,\cos\theta,\ \sin\theta\,の定義であった. \\[.2zh] 問題で関数全体をyとしてあるので,\ そのyと混同しないようにここでは(X,\ Y)とおいた. \\[.2zh] また,\ \theta\,の範囲を考慮すると,\ 円の一部のみとなることに注意する. \\[1zh] さて,\ 本問の核心は,\ \bm{\bunsuu{y-b}{x-a}\,の形の式が図形的に直線の傾きとみなせる}点である. \bunsuu{(yの増加量)}{(xの増加量)} \\[.8zh] 本問は,\ (X,\ Y)とおいてさらに逆数で表すことにより,\ \bunsuu{y-b}{x-a}\,の形が現れる. \\[.8zh] 傾き\,\bunsuu{Y-2}{X+1}\,が最大のときyは最小,\ 傾きが最小のときyは最大となるので,\ 図形的に考える. \\\\ 円と直線が接する条件は,\ \bm{(円の中心と直線の距離)=(半径)}を立式するのが簡潔である. \\[.2zh] 点(-\,1,\ 2)を通る直線の式は y-2=m(x+1) \\[.2zh] 円の中心と直線の距離は,\ 点と直線の距離の公式で求められる. \\[.2zh] 点(x_1,\ y_1)と直線ax+by+c=0の距離は \bunsuu{\zettaiti{ax_1+by_1+c}}{\ruizyoukon{a^2+b^2}} \\[.8zh] \bunsuu{\zettaiti{m+2}}{\ruizyoukon{m^2+1}}=1は両辺正なので2乗しても同値である.\ また,\ 絶対値は2乗するとはずれる. \\[1zh] よって,\ (m+2)^2=m^2+1\,を解けばよい.\ 結局,\ -\,1\leqq m\leqq-\bunsuu34\,より,\ \bm{-\bunsuu43\leqq y\leqq-\,1}となる. \\\\ 指示されない限り求める必要はないが,\ 接点の座標を求めたい場合は以下のようにする. \\[.2zh] m=-\bunsuu34\,のときの点(-\,1,\ 2)を通る直線の方程式は y=-\bunsuu34x+\bunsuu54 \\[.8zh] この直線と垂直で原点を通る直線は y=\bunsuu43x (\,\because\ \ 2直線の垂直条件は傾きの積が-1\,) \\[.8zh] y=-\bunsuu34x+\bunsuu54xとy=\bunsuu43xを連立すると,\ 接点(x,\ y)=\left(\bunsuu35,\ \bunsuu45\right)が求まる. \\[1zh] 別解は,\ \bm{t=\tan\bunsuu{\theta}{2}\,とおくと\sin\theta,\ \cos\theta,\ \tan\theta\,をtのみで表せる}ことを利用するものである. \\[.8zh] いきなりt=\tan\bunsuu{\theta}{2}\,が出てきて戸惑ったかもしれないが,\ 通常は誘導がつくので安心してほしい. \\[.8zh] 以前示した導出を改めて載せておく. t^2-t+1の最大・最小に帰着するので,\ t=\tan\bunsuu{\theta}{2}\,のとりうる値の範囲を考慮した上で求める. \\[.8zh] t^2-t+1が最大のとき\,\bunsuu{1}{t^2-t+1}\,が最小となるから,\ 結局このとき-\bunsuu{1}{t^2-t+1}\,が最大になる. \\[.8zh] 2次関数t^2-t+1の最大・最小は,\ 平方完成により求められる.