チェビシェフの多項式③ ミニマックス原理

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本項の内容は上級者用で、数Ⅱ:整式の微分が学習済みであることを前提としています。

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本項では,\ チェビシェフの多項式がもつ面白い図形的性質を紹介する. \\[.2zh]  まず,\ チェビシェフの多項式で表される関数$y=T_n(x)\ (-\,1\leqq x\leqq1)$のグラフを示す.  一見して,\ \textbf{\textcolor{magenta}{1辺の長さが2の正方形に綺麗に収まっている}}ことに気付くだろう. \\[.2zh]  これがチェビシェフの多項式がもつ最大の図形的特徴である. \\[.2zh]  $T_5(x)$以降も同様のグラフになることの確認も含め,\ 数式でより詳しく特徴を探る. \\\\  $-\,1\leqq x\leqq1$のとき,\ $x=\cos\theta\ (0\leqq\theta\leqq\pi)$とおけ,\ このとき$T_n(\cos\theta)=\cos n\theta$であった. \\[1zh]  [1]\ \ 常に$-\,1\leqq\cos n\theta\leqq1$より,\ 常に$\textcolor{red}{-\,1\leqq T_n(x)\leqq1}\ \ (-\,1\leqq x\leqq1)$である. \\[.2zh] \phantom{ [1]}\ \ つまり,\ $y=T_n(x)\ \ (-\,1\leqq x\leqq1)$のグラフは,\ 1辺の長さが2の正方形に収まる. \\[1zh]  [2]\ \ $\theta=0$とすると$\textcolor{red}{T_n(1)=1}$,\ \ $\theta=\pi$とすると$\textcolor{red}{T_n(-\,1)}=\cos n\pi=\textcolor{red}{(-\,1)^n}$が導かれる. \\[.4zh] \phantom{ [1]}\ \ つまり,\ $\begin{cases} \textcolor{red}{nが奇数のとき 2点(1,\ 1),\ (-\,1,\ -\,1)} \\[.2zh] \textcolor{red}{nが偶数のとき 2点(1,\ 1),\ (-\,1,\ 1)} \end{cases}$\hspace{-.5zw}を必ず通る. \\[1zh]  [3]\ \ $T_n(x)=0$の解は,\ $x=\cos\bunsuu{(2k-1)\pi}{2n}\ (k=1,\ \cdots,\ n)$ですべてであった. \\[.5zh] \phantom{ [1]}\ \ つまり,\ $x$軸との共有点は$\textcolor{red}{\left(\cos\bunsuu{(2k-1)\pi}{2n},\ 0\right)\ (k=1,\ \cdots,\ n)}$の$n$個のみである. \\[.5zh] \phantom{ [1]}\ \ また,\ $-\,1<\cos\bunsuu{(2k-1)\pi}{2n}<1$より,\ すべての$x$軸との共有点は$-\  [4]\ \ $T'_n(x)=nU_n(x)=0$の解は,\ $\textcolor{red}{x=\cos\bunsuu{k}{n}\pi\ (k=1,\ \cdots,\ n-1)}$ですべてであった. \\[.5zh] \phantom{ [1]}\ \ また,\ このとき(極値)の$y$座標は$T_n\hspace{-.2zw}\left(\cos\bunsuu kn\pi\right)=\cos k\pi=\textcolor{red}{(-\,1)^k}$である. \phantom{ [1]}\ \ すると,\ 図のように\textcolor{red}{$+\,1$と$-\,1$の間で規則正しく上下するグラフ}となることがわかる. \\\\\\  実際の入試では,\ 以上の性質をさらに発展させた以下の性質に関する問題が散見される. \\\\  \textbf{\textcolor{blue}{ミニマックス原理}} \\[1zh]   $\zettaiti{f(x)}$の最大値を$f(x)$の\textbf{\textcolor{blue}{最大偏差}}といい,\ $d$で表すとする. \\ $n$次多項式$\bm{\textcolor{cyan}{f_n(x)=2^{n-1}x^n+\cdots\cdots\ \ (-\,1\leqq x\leqq1)}}$に対し,\ \ $\bm{\textcolor{red}{d\geqq1}}$である. 等号が成り立つ($\bm{d=1}$となる)のは,\ $\bm{f_n(x)=T_n(x)}$のときに限る.}} \end{tabular}} \\[1zh]   \scalebox{.96}[1]{これは,\ \textbf{\textcolor{red}{チェビシェフの多項式のみが,\ 最\.{大}偏差が最\.{小}の1となる多項式である}}と主張する.} \\[.2zh]   言い換えると,\ $T_n(x)$以外のすべての多項式は最大偏差が1より大きくなる. \\[.2zh]   また,\ $x^n$の係数が1になるように$y$方向に$\bunsuu{1}{2^{n-1}}$倍すると以下となる. \\[1zh]   \dilutecolor{yellow}{.2}{dy}\colorbox{dy}{\begin{tabular}{l} $n$次多項式$\bm{\textcolor{cyan}{f_n(x)=x^n+\cdots\cdots\ \ (-\,1\leqq x\leqq1)}}$に対し,\ \ $\bm{\textcolor{red}{d\geqq\bunsuu{1}{2^{n-1}}}}$である. \\[.2zh] \textbf{\textcolor{magenta}{等号が成り立つ($\bm{d=\bunsuu{1}{2^{n-1}}}$となる)のは,\ $\bm{f_n(x)=\bunsuu{1}{2^{n-1}}T_n(x)}$のときに限る. y=\zettaiti{f(x)}\,のグラフは,\ y=f(x)のグラフのy\leqq0の部分をy\geqq0に折り返したグラフになる. \\[.2zh] よって,\ y=f(x)のグラフが\bm{x軸から最も離れたときのx軸からの距離が最大偏差}である. \\[1zh] 最大偏差(マックス)ができるだけ小さい(ミニ)多項式を考えることの意義が以下である. \\[.2zh] \zettaiti{p(x)-q(x)}\,の最大値を最小にするような多項式q(x)をp(x)の\bm{最良近似多項式}という. \\[1zh] 例えば,\ p(x)=x^4\,とし,\ これを3次以下の多項式q(x)で近似したいとする. \\[.2zh] このとき,\ \zettaiti{x^4-q(x)}\,の最大値を最小にするような多項式q(x)を求めることに帰着する. \\[.2zh] それは,\ x^4-q(x)=\bunsuu{1}{2^3}T_4(x)となるとき,\ つまりq(x)=x^4-\bunsuu{1}{2^3}T_4(x)=x^2-\bunsuu18と求められる. \\\\ 実際に図示してみると右図となる. \\[.2zh] かなりよく近似できていることがわかるだろう. \\[.2zh] ここで,\ 改めて最初に示したT_4(x)のグラフを確認してほしい. \\[.2zh] x=0,\ \pm\,1,\ \pm\bunsuu{1}{\ruizyoukon2}\,のとき,\ 最大1または最小-1となる. \\[.8zh] x^4-q(x)は,\ T_4(x)をy方向に\,\bunsuu18\,倍したグラフである. \\[.8zh] x=0,\ \pm\,1,\ \pm\bunsuu{1}{\ruizyoukon2}\,のとき,\ 最大\,\bunsuu18\,または最小-\bunsuu18\,となる. \\\\ これは,\ 右図において以下になっていることと対応する. \\[.2zh] 関数$f(x)=\bunsuu14T_3(x)$の$-\,1\leqq x\leqq1$における$\zettaiti{f(x)}$の最大値を$M$とする. \\[.8zh] \hspace{.5zw}また,\ $g(x)=x^3+ax^2+bx+c\ (a,\ b,\ c:実数定数)$とする. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ $M$とそのときの$x$の値を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ $-\,1\leqq x\leqq1$における$\zettaiti{g(x)}$の最大値は$M$以上であることを示せ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (3)\ \ $-\,1\leqq x\leqq1$における$\zettaiti{g(x)}$の最大値が$M$のとき,\ 恒等的に$f(x)=g(x)$と \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{ (1)}\ \ なることを示せ. \phantom{ (1)}\ \ $h(x)$は連続関数であるから,\ 中間値の定理より, \\[.2zh] $の範囲に \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ それぞれ少なくとも1つの解をもつ.範囲に少なくとも3つの解をもつ.} \phantom{ (1)}\ \ \textcolor{red}{$h(x)=0$は2次以下の方程式で解は多くても2個なので,\ これは矛盾である.} \\\\ \centerline{$\therefore\ \ \bm{\zettaiti{g(x)}の最大値はM以上である.}$} n=3のとき,\ 3次の多項式の最大偏差d\geqq\bunsuu{1}{2^{n-1}}\,の証明である. \\[.8zh] \bm{背理法}を用いるよく知られた解法を示しておいた. \\[.2zh] 一般のnのときについても同様の論理で証明できる. \\[1zh] f(x)-g(x)という関数を考え,\ \bm{f(x)が最大・最小となるときのxの値を代入して正負を確認する.} \\[.2zh] xの値によらであることに注意する. \\[.8zh] さらに,\ \bm{中間値の定理}を適用することで,\ 矛盾を示すことができる. \\[.2zh] 数\text{I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}で学習する定理だが,\ 難しいものではなく,\ 直感的にほとんど当たり前の主張である. \\[.2zh] h(x)は連続関数(途中で途切れない関数)で,\0である. \\[.8zh] このとき,\ y=h(x)のグラフは\の範囲で少なくとも1回はx軸と交わるはずである. \\[.8zh] これは,\ 方程式h(x)=0が\範囲に少なくとも1つの解をもつことを意味する. m{恒等的にf(x)=g(x)である.}$} \\\\[.5zh] n=3のとき,\ d=\bunsuu{1}{2^{n-1}}\,となる3次の多項式が\,\bunsuu{1}{2^{n-1}}T_n(x)\,に限られることの証明である. \\[.8zh] (2)と同様の方向性での証明も可能だが,\ 等号を含む場合は(2)ほど単純にはいかなくなる. \\[1zh] に少なくとも1つずつ解をもつ. \\[.2zh] 範囲に少なくとも2つの解をもつということであった. \\[.2zh] さて,\ h(a)\geqq0,\ h(b)\leqq0,\ h(c)\geqq0のとき,\ a\leqq x\leqq bとb\leqq x\leqq cに少なくとも1つずつ解をもつ. \\[.2zh] しかし,\ だからといってa\leqq x\leqq cの範囲に少なくとも2つの解をもつとは言い切れない. \\[.2zh] 解がx=bのみでも,\ a\leqq x\leqq bとb\leqq x\leqq cに少なくとも1つずつ解をもつことになるからである. \\[.2zh] この部分の議論が面倒なので,\ \bm{g(x)の式を代入して直接a,\ b,\ cの値を求める}解法を示した. \\[1zh] \bm{f(x)が最大・最小となるときのxの値を代入してみると,\ a,\ b,\ cの値が定まる.} \\[.2zh] 2つの不等式を合体させるとき,\ 単純に\maru2-\maru1をしてはならず,\ \bm{和で合体させる.} \\[.2zh] 例えば,\ 3\leqq a\leqq4,\ 0\leqq b\leqq2のとき,\ 3\leqq a-b\leqq2とはならない. \\[.2zh] (aの最大)-(bの最大)ではなく,\ (aの最大)-(bの最小)がa-bの最大だからである. \\[.2zh] -\,2\leqq -\,b\leqq0より1\leqq a+(-\,b)\leqq4である.\ このように和で合体させるのが安全である. \\[1zh] なお,\ (2)も同様に証明できる.\ -\bunsuu54
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