不等式$g(x)≧ h(x)}$の証明法
$常にf(x)≧0$を示すには,\ $(f(x)の最小値)≧0$を示す.
$f(x)$が3次以上の関数ならば,{増減表を作成することに帰着する.
x≧1の範囲の増減表を作成し,\ x≧1の範囲での最小値が0以上であることを示す.
図形的には,\ x≧1の範囲でy=f(x)のグラフがx軸と接するか,\ x軸の上側にあればよい.
実際には,\ 増減表さえ作成すればグラフを図示する必要はない.
ちなみに,\ x=3のときに与不等式の等号が成立することもわかる.
本問は,\ f(x)が因数分解できることに気付けば,\ 別解のように示すこともできる. f'(x)=0は実数解をもたない.
実際の解答では,\ 平方完成することによりf'(x)=0になりえないことを示しておくのが普通である.
常にf'(x)>0またはf'(x)<0となる場合,\ 別解のように記述することもできる.\
参考書や問題集の解答では別解のように記述してあることが多い.\ 本質的には本解と全く同じである.a,\ b,\ c$を正の定数とするとき,\ $a^3+b^3+c^3}{3}≧ abc$が成り立つことを示せ. \\
$a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)}(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)}$
}\ \ $a>0,\ b>0,\ c>0$より$a+b+c>0}$
}\ \ $a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca}$
}\ \ $ =12(2a^2+2b^2+2c^2-2ab-2bc-2ca)$
}\ \ $ =12\{(a^2-2ab+b^2)+(b^2-2bc+c^2)+(c^2-2ca+a^2)\}$
}\ \ $ =12\{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\}≧0}$
∴\ \ a^3+b^3+c^3-3abc≧0
分母をはらうとa^3+b^3+c^3≧3abcより,\ a^3+b^3+c^3-3abc≧0を証明することを考える.
このとき,\ aをxで一般化してf(x)=x^3+b^3+c^3-3xbcとし,\ f(x)≧0を示す}手法がある.
常にf(x)≧0を示せば,\ 自動的にf(a)=a^3+b^3+c^3-3abc≧0も示されたことになる.
a>0より,\ x>0の範囲でf(x)≧0を示せばよい.
極小値f(√{bc}\,)は上手く変形すると2乗の形になるから,\ ≧0といえる.
高校数学では,\ まず特殊な場合を考え,\ それを元に一般的な場合を考えることが多い.
しかし,\ 逆に一般的な場合を先に考えることが有効な場合がある.}
一般化したf(x)≧0が示されれば,\ 特殊な場合であるf(a)≧0も示されたことになるわけである.
複数の文字を含む不等式の証明}の際に有効な手法である.
なお,\ 本問の一般的な解法は対称性を生かす別解である.
通常は数I-.2zw}I}の式と証明分野で学習済みの解法である.
本問の不等式のa,\ b,\ cをそれぞれ√[3]{a},\ √[3]{b},\ √[3]{c}\,に変えると a+b+c}{3}≧√[3]{abc}
これは,\ 3変数の相加平均と相乗平均の関係}である.
f(a)=f(√{bc}\,)=(√{b^3}-√{c^3}\,)^2=0のとき,\ 等号が成立する.
a=√{bc}\ かつ\ √{b^3}=√{c^3}\ より,\ a=b=cのとき等号が成立する.}
別解でいえば,\ a-b=0\ かつ\ b-c=0\ かつ\ c-a=0,\ つまりa=b=cのとき等号が成立する.