3次方程式の実数解の個数②:極値の積の利用

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定数分離する解法も当然考えられるが,\ 数IIIの微分が必要になる.  数IIの範囲で求めるには,極値の積を利用する解法を習得する必要がある.  原理を説明する.\ グラフを用いて図形的に考えるのは定数分離法と同じである. $f(x)=0$の実数解の個数は,\ $y=f(x)$と$y=0\ (x軸)$の共有点の個数に等しい.}  先に,\ {極値をもたない場合を考える.\ $f(x)$を3次関数とする.  3次関数は, 必ず極大値と極小値をセットでもつのであった.  よって,\ ${f'(x)=0が異なる2個の実数解をもたない(D≦0)とき,\ f(x)は極値をもたない.}$  このとき$f(x)$は\単調増加(減少)するから実数解($x}$軸との共有点)は1個である.  以下,x=α,\ β}$で極値をもつ場合($f'(x)=0においてD>0}$)を考える.  $y=f(x)$のグラフは,\ 極大値と極小値が正か0か負かによって5パターン考えられる.{実数解が1個,\ 2個,\ 3個になる場合である.  {極値の積を考えることにより,\ \fbox{1},\ \fbox{2},\ \fbox{3}\,をうまく場合分けするのが本解法の肝である.  \fbox{1}\,の2パターンは,\極大値と極小値の\ (両方が正)\ または\ (両方が負)\ である.  つまり,\ $[\,(f(α)>0かつf(β)>0)\,]\ または\ [\,(f(α)<0かつf(β)<0)\,]である.$  ここで,\ $(A>0かつB>0)または(A<0かつB<0)\ ⇔\ AB>0$を利用する.  結局,\ 実数解が1個となる条件\,\fbox1\,は,\ 1つの式$f(α)f(β)>0で表現できる.$  \fbox{2}\,の2パターンは,\ 極大値または極小値の一方が0である.  つまり,\ $f(α)=0\ または\ f(β)=0$である.  ここで,\ $A=0\ または\ B=0\ ⇔\ AB=0$を利用する.  結局,\ 実数解が2個となる条件\,\fbox2は,\ 1つの式$f(α)f(β)=0$で表現できる.  \fbox{3}\,は,\ $極大値と極小値の一方が正で他方が負である.$  つまり,\ $[\,(f(α)>0かつf(β)<0)\,]\ または\ [\,(f(α)<0かつf(β)>0)\,]\ である.$  ここで,\ $(A>0かつB<0)または(A<0かつB>0)\ ⇔\ AB<0$を利用する.  結局,\ 実数解が1個となる条件\,\fbox3\,は,\ 1つの式$f(α)f(β)<0で表現できる.$  極値の積による場合分けは,\ $α}$と$β}$の大小を気にしなくてもよいという点でも優れている.  以上をまとめると,\ 3次方程式の実数解の個数は,\ 以下のように分類される.  $f'(x)=0の判別式をD,\ 2つの実数解を\ α,\ β\ (大小は不明)とすると$ f'(x)=0の解がx=0,\ 2aとなるが,\ 直ちに異なる2つの実数解をもつと判断してはならない. 0=2a,\ つまりa=0のとき,\ f'(x)=0は重解x=0をもつので,\ f(x)は極値をもたない. 3x^2-6ax=0の\, D4=9a^2≦0より,\ a=0のときf(x)は極値をもたないとすることもできる. しかし,\ f'(x)が因数分解できるならば,\ f'(x)=0の解で極値をもたない条件を考れば済む. a≠0のとき,\ 極値の積f(0)f(2a)が正か0か負かで場合分け}する. a>0のとき0<2a,\ a<0のとき0>2aだが,\ この大小関係を気にする必要はない. 16a^2(-\,a^2+1)>0は4次不等式だが,\ a≠0より常に16a^2>0なので,\ 両辺を16a^2\,で割れる. よって,\ 2次不等式-a^2+1>0に帰着する. これを解くと-\,1