反復試行と期待値(二項分布)

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サイコロを3回振るとき,\ 1の目が出る回数$X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ サイコロを$n$回振るとき,\ 1の目が出る回数$X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 必要ならば,\ $k\,\kumiawase nk=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\ (1\leqq k\leqq n)$を用いてもよい. 反復試行と期待値 \ 1 & (k回目に1の目が出る) \\[.2zh] \ 0 & (k回目に1の目が出ない) 期待値の定義で求めるとき,\ \bm{反復試行}の公式を利用することになる. \\[.2zh] 同じ試行をn回繰り返すとき,\ 確率pの事象Aがr回起こる確率は \bm{\kumiawase nrp^r(1-p)^{n-r}} \\[1zh] 別解は,\ 前項で扱った\bm{個数の期待値}の問題として解くものである. \\[.2zh] \bm{ダミー変数を導入し,\ E(X+Y)=E(X)+E(Y)を利用する}と簡潔に済むのであった. k\,\kumiawase nk=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}$と二項定理(数I\hspace{-.1em}I)を利用(上級者用)}\,]  \betu\ \ 変数$X_k$を以下のように定める. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ $\textcolor{red}{X_k=\begin{cases} \ 1 & (k回目に1の目が出る) \\[.2zh] \ 0 & (k回目に1の目が出ない) 変数$X$は二項分布 (1)の一般化であるが,\ 期待値の定義で求める方法は途中計算が複雑で,\ 相当の慣れを要する. \\[.2zh] 最終的に,\ \bm{二項定理}(数\text{I\hspace{-.1em}I})を逆に用いてまとめることを目指す.\ 二項展開式をΣ\,(数\text B)で表すと まず,\ E(X)をΣを用いて表す.\ 必須ではないが,\ 和の形のままでは非常に分かりづらい. \\[.2zh] さらに,\ k=0のときk\,\kumiawase nk\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu16\right)^k\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu56\right)^{n-k}=0であるから,\ k=1からの和としてもよい. \\[.8zh] \bm{変数kを1ヶ所に集める}効果をもつk\,\kumiawase nk=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\,を適用すると,\ 定数nはΣの前に出せる. \\[.2zh] \retuwa{k=0}{n}\kumiawase nka^{n-k}b^k=(a+b)^n\ \cdots\,\maru1を利用したいが,\ \kumiawase{n-1}{k-1}\,なのでこのままでは適用できない. \\[.2zh] \maru1のnをn-1とした\bm{\retuwa{k=0}{n-1}\kumiawase{n-1}{k}a^{n-1-k}b^k=(a+b)^{n-1}}\,の適用を目指して変形する. \\[.8zh] \bunsuu16\,をΣの前に出して\left(\bunsuu16\right)^{k-1}とした後,\ \bm{k-1=lと置換}すると\retuwa{k=0}{n-1}\kumiawase{n-1}{k}a^{n-1-k}b^k\,の形になる. \\\\ なお,\ k\,\kumiawase nk=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\,(リーダーの等式)が問題で与えられているとは限らない. \\[.2zh] 以下のような組合せ論的意味合いを踏まえて覚えておくことが望ましい. \\[1zh] 生徒n人からk人の代表を選び,\ そのk人の代表の中から1人のリーダーを選ぶとする. \\[.2zh] その選び方は \kumiawase nk\cdot\kumiawase k1=k\,\kumiawase nk\ (通り) \\[.2zh] 生徒n人から1人のリーダーを選び,\ 残りのn-1人からk-1人の代表を選ぶのも同じである. \\[.2zh] その選び方は \kumiawase n1\cdot\kumiawase{n-1}{k-1}=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\ (通り) \\[1zh] E(X+Y)=E(X)+E(Y)を利用する方法ならば,\ 容易に一般化できる(別解1). \\[.2zh] Xのとる値が1,\ 2,\ \cdots,\ nで,\ P(X=k)=\kumiawase nkp^k(1-p)^{n-k}\,となる確率分布を\bm{二項分布}という. \\[.2zh] このような二項分布を\bm{B(n,\ p)}と表す. \\[.2zh] \bm{n回の反復試行で確率pの事象Aが起こる回数Xは,\ 二項分布B(n,\ p)に従う.} \\[.2zh] 別解1をさらに一般化すると \bm{変数Xが二項分布B(n,\ p)に従うとき E(X)=np}\ \ (数\text B) \\[.2zh] 数\text Bを学習済みならば,\ 別解2のように解答できる. 点Pは,\ 原点を出発点として,\ $x$軸上をサイコロを1回振って1の目が出たときは \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 正方向に2進み,\ 1以外の目が出たときは負方向に1進む.\ サイコロを$n$回投げた \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ ときの点Pの$x$座標$X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(4)\ \ $n$個のサイコロを同時に振り,\ $k$個のサイコロで1の目が出ると$2^k$点がもらえる \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ とき,\ 得点$X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\ 1の目が$k$回出たとき $k$個のサイコロで1の目が出る確率は (3)\ \ 本解では(2)の結果を利用したので簡潔に済んでいるが,\ 一から求めるのは大変である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ Σを分割すると第2項はnを前に出せ,\ \bm{\retuwa{k=0}{n}\kumiawase nka^{n-k}b^k=(a+b)^n}\,を適用できる. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ Xを1回ごとの和とみなせば,\ E(X+Y)=E(X)+E(Y)を利用できる(別解). \\\\ (4)\ \ \bm{サイコロをn回振るのとn個振るのは同一視できる}から,\ 本問も反復試行である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ さて,\ 変数Xがkの場合ですら計算が大変なのに,\ 2^k\,ともなると一見かなり難しく感じる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ しかし,\ \bm{2^k\,と\left(\bunsuu16\right)^kをまとめる}だけで\bm{\retuwa{k=0}{n}\kumiawase nka^{n-k}b^k=(a+b)^n}\,を適用できる. \\[.8zh] \phantom{(1)}\ \ 念のため,\ n=1の場合を求めて検算すると