
前項で示した通り,\ 確率を求める上で重要なのは根元事象が同様に確からしいことである. \\[.2zh] 1個だけを選ぶ場合は,\ 何が同様に確からしいかは明らかである. \\[.2zh] よって,\ 実戦において問題となるのは,\ 複数個を選ぶ場合である. \\[.2zh] このとき,\ 何が同様に確からしいかは,\ 選び方で大きく3パターンに分類される. \\\\ \begin{tabular}{ll} 1.\ \ $n$個から$r$個を\textbf{\textcolor{blue}{順に選ぶ(毎回戻さない)}} & \textbf{\textcolor{red}{$\bm{\zyunretu nr}$通りの順列}}が同様に確からしい \\[.5zh] 2.\ \ $n$個から$r$個を\textbf{\textcolor{blue}{同時に選ぶ}} & \textbf{\textcolor{red}{$\bm{\kumiawase nr}$通りの組合せ}}が同様に確からしい \\[.5zh] 3.\ \ $n$個から$r$個を\textbf{\textcolor{blue}{順に選ぶ(毎回戻す)}} & \textbf{\textcolor{red}{$\bm{n^r}$通りの重複順列}}が同様に確からしい \end{tabular} \\\\\\[-.5zh] ただし,\ 本項で学んでほしいのはこの3パターンの暗記ではない. \\[.2zh] これらはあくまでも原則であり,\ 考え方次第では必ずしもこれらを分母にする必要はない. \\[.2zh] そのような考え方は多くの教科書や参考書には載っておらず,\ 学校でも習わないことが多い. \\[.2zh] しかし,\ これこそが確率の極意であり,\ 確率の真の理解のためには避けて通れない. \\[.2zh] 本項では,\ 1つの問題に対して複数の考え方での解答を示す. \\[.2zh] 極論を言えば,\ 前項と本項の理解で確率の学習が9割方完了する. \\\\\\ \textbf{\textcolor{blue}{事象$\bm{A}$の起こる確率を求める実戦的手順}}が以下である. \\\\ \textbf{[1]\ \ 全事象を何にするかを\underline{自分で}決める.} \\[.2zh] \ \textbf{\textcolor{red}{根元事象が同様に確からしい}ならば,\ 全事象の取り方は\textcolor{red}{自由}である.} \\[1zh] \textbf{[2]\ \ 全事象の要素数(分母)を求め,\ \textcolor{red}{同基準で}事象$\bm{A}$の要素数(分子)を求める.} \\\\[1zh] また,\ 以下の関係も重要である(詳細は確率の乗法定理の項で学習). \\[.5zh] \centerline{$\bm{\textcolor{red}{(r回試行したときの確率)=(1回目の確率)\times(2回目の確率)\times\cdots\times(r回目の確率)}}$} \\[1zh] $r$回試行したときの確率は,\ $r$回の試行全体の結果を考えて直接的に求めることができる. \\[.2zh] この場合,\ 分母は$\zyunretu nr,\ \kumiawase nr,\ n^r$となる. \\[.2zh] 一方, 右辺のように各回ごとの試行の結果を考えてその確率の積として求めることもできる. \\[.2zh] どちらの考え方が楽かは問題によるので,\ 両方の習得が必須である. \\\\\\ 白玉4個,\ 赤玉2個が入っている箱から1個取り出すという操作を3回繰り返す. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ ただし,\ 1回目で取り出した玉は戻さない. 3回とも白玉を取り出す確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ 1から7の数字から異なる4個の数字を選び,\ 4桁の整数を作る. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 奇数である確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(3)\ \ 7個の文字$a,\ a,\ a,\ b,\ b,\ c,\ c$をすべて並べて文字列を作る. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 両端が$c$となる確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(4)\ \ 6個の文字$a,\ a,\ b,\ b,\ c,\ c$から2個を選んで並べて文字列を作る. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 同じ文字が並ぶ確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(5)\ \ 1から5までの数字が書かれた5個の玉\maru1,\ \maru2,\ \maru3,\ \maru4,\ \maru5が入っている袋から \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 1個ずつ取り出し,\ 左から順に並べる.\ この操作は,\ \maru1,\ \maru2,\ \maru3がすべて取り出され \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ た時点で終了する.\ \ \maru1,\ \maru2,\ \maru3のうち,\ \maru3が一番右に並ぶ確率を求めよ. \\ 順に選ぶ(毎回戻さない)タイプ}} 「一度取り出したモノを戻さずに次のモノを取り出す」ことを\bm{非復元抽出}という. \\[.2zh] 確率では,\ 白_1,\ 白_2,\ 白_3,\ 白_4,\ 赤_1,\ 赤_2\ のように同じモノでも区別して考えるのが原則であった. \\[.2zh] \dot{異}\dot{な}\dot{る}\,6個から毎回戻さずに3回取り出すことは,\ \dot{異}\dot{な}\dot{る}\,6個から3個選んで並べることに等しい. \\[.2zh] 実際,\ 3回の取り出し方は,\ 1回目6通り,\ 2回目5通り,\ 3回目4通りなので,\ 6\cdot5\cdot4通りである. \\[.2zh] つまりは\,\zyunretu 63\,通りであり,\ これらは\bm{同様に確からしい.} \\[.2zh] 白_1\,→\,白_2\,→\,白_3\ よりも\ 白_1\,→\,赤_1\,→\,赤_2\ のほうが起こりやすいなどということはないだろう. \\[.2zh] \zyunretu 63\,通りの取り出し方が完全に対等である. \\[.2zh] このように,\ 非復元抽出においては\,\bm{\zyunretu nr\,通りの順列が同様に確からしい}わけである. \\[1zh] \bm{分子は分母と同基準},\ つまり\dot{異}\dot{な}\dot{る}\,6個から毎回戻さずに3回とも白玉を取り出す場合の数である. \\[.2zh] 1回目4通り,\ 2回目3通り,\ 3回目2通りなので,\ 4\cdot3\cdot2,\ つまりは\,\zyunretu43\,通りである. \\[1zh] 本問の場合は,\ 別解のように段階的に考える方がわかりやすい. \\[.2zh] 白玉を取り出す確率は,\ 1回目\,\bunsuu46,\ 2回目\,\bunsuu35,\ 3回目\,\bunsuu24\,なので,\ 4桁の整数の一の位は7通りあり,\ これらは同様に確からしい}から $\bm{\bunsuu47}$ \\\\[.5zh] \betu\ \ \textcolor{cyan}{一の位が1,\ 3,\ 5,\ 7になる確率は$\bunsuu47$},\ 他の位は何でもよいから \bm{4桁の整数を全事象とする}のが標準解法である. \\[.2zh] 4桁の整数の総数は\ \zyunretu74=840\,通りで,\ この\bm{840通りは同様に確からしい.} \\[.2zh] 1234よりも2345のほうが起こりやすいなどということはないだろう. \\[.2zh] 最小の1234から最大の7654までの840通りすべての整数が完全に対等である. \\[.2zh] 奇数となるとき,\ 一の位は1,\ 3,\ 5,\ 7の4通りである. \\[.2zh] 他の位は残りの6個の数字から3個選んで並べればよいから,\ \zyunretu63\,通りである. \\[1zh] さて,\ 本題はむしろここからである.\ 別解のように解答できるかで確率の理解度がわかる. \\[.2zh] 全事象の取り方は自由なので,\ \bm{問題の条件に関係する事柄だけに着目した取り方ができる.} \\[.2zh] 特に,\ 標準解法でごっそり約分できる場合,\ 全事象をうまく取るとより簡潔に済むことが多い. \\[1zh] 本問の場合,\ \bm{「奇数」という条件を考える上で本質的に重要なのは一の位だけ}である. \\[.2zh] よって,\ \bm{「4桁の整数の一の位」を全事象にとる}とよい. \\[.2zh] ○○○1より○○○2が起こりやすいなどということはなく,\ 7通りが同様に確からしい. \\[.2zh] 瞬殺できるが,\ 標準的とはいえないものを全事象とする場合にはその旨の記述が必要である. \\[1zh] 今7通りが同様に確からしいとしたが,\ 本当に100\%の確信をもって断言できるだろうか. \\[.2zh] 同様に確からしい理由(以下)を説明できない人は,\ 別解のような解答をすべきではない. \\[.2zh] 一の位が1,\ つまり○○○1となる4桁の整数は\,\zyunretu63\,通りある. \\[.2zh] 一の位が他の数字となる整数も同様に\,\zyunretu63\,通りずつある. \\[.2zh] \bm{同様に確からしい\,\zyunretu74\,通りのうちの同数ずつをまとめたもの}なので,\ 7通りは同様に確からしい. \\[1zh] 初学者は,\ 別解1よりも別解2の考え方のほうが自然に感じるかもしれない. \\[.2zh] 別解2は,\ \bm{各位ごとの確率を求める}ものである.\ 場合の数と同様,\ 条件の強い一の位から求める. \\[.2zh] 一の位の確率は\,\bunsuu47,\ 十の位は残り6個の数字のうちどれを選んでもよいから,\ その確率は\,\bunsuu66\,である. \\[.8zh] 百の位,\ 千の位も同様であるから,\ 丁寧に示すと\ 何でもよければ確率は1になるから,\ 実質的には問題の条件に関係する位の確率のみ考えればよい. 7個の文字列(同じ文字を区別)は$7\kaizyou$通りあり,\ これらは同様に確からしい.} \\[.5zh] 7個の文字列(同じ文字を区別しない)は$\bunsuu{7\kaizyou}{3\kaizyou2\kaizyou2\kaizyou}$通りあり,\ これらは同様に確からしい.} \betu\ \ \textcolor{cyan}{両端に並ぶ文字(同じ文字を区別)は$\zyunretu72$通りあり,\ これらは同様に確からしい.}$c$が並ぶ場所(同じ文字を区別しない)は$\kumiawase72$通りあり,\ これらは同様に確からしい.} \\[.5zh] \betu\ \ \textcolor{cyan}{同じ文字を区別し,\ 左端,\ 右端,\ それ以外の順番で並べていくときの確率}は \\[ 同じモノを含む順列であるが,\ 確率の原則に従って\bm{すべて区別して考えると普通の順列}になる. \\[.2zh] つまり,\ a_1,\ a_2,\ a_3,\ b_1,\ b_2,\ c_1,\ c_2\ と考えると,\ その並び方\bm{7\kaizyou\,通りが同様に確からしい}. \\[.2zh] a_1a_2a_3b_1b_2c_1c_2\,よりもc_2c_1b_2b_1a_3a_2a_1\,のほうが起こりやすいなどということはないだろう. \\[.2zh] 両端がcとなるのは,\ c_1○○○○○c_2\,と\,c_2○○○○○c_1\,の2通りである. \\[.2zh] ○に入る5文字\,a_1,\ a_2,\ a_3,\ b_1,\ b_2\,の並べ方は5\kaizyou\,通りである. \\[1zh] 同じ文字を区別せず,\ \bm{同じモノを含む順列の扱いで求める}こともできる(別解1). \\[.2zh] 区別を外すとaaabbccとなる並べ方には,\ a_1a_2a_3b_1b_2c_1c_2\,やa_3a_2a_1b_2b_1c_2c_1\,などがある. \\[.2zh] a,\ b,\ cそれぞれの並び換えになるから,\ その並べ方は3\kaizyou\cdot2\kaizyou\cdot2\kaizyou\,通りである. \\[.2zh] ccbbaaaなど他の並びの場合も同様に3\kaizyou\cdot2\kaizyou\cdot2\kaizyou\,通りずつある. \\[.2zh] よって,\ 区別しない並べ方\,\bunsuu{7\kaizyou}{3\kaizyou2\kaizyou2\kaizyou}\,通りは同様に確からしい. \\[.8zh] c○○○○○cのとき,\ ○に入る5文字a,\ a,\ a,\ b,\ bの並べ方は\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou2\kaizyou}\,通りである. \\[.8zh] 考え方は自然かもしれないが,\ 区別する確率の原則からはずれる上に計算が本解より面倒である. \\[.2zh] 何より,\ \bm{区別しない考え方は全部ではなく何個かを選んで並べるときの確率では安易に使えない.} \\[1zh] 別解2は,\ 問題の条件に関係する\bm{両端のみを考える}ものである. \\[.2zh] (左,\ 右)が(a_1,\ a_2)より(a_1,\ b_1)が起こりやすいなどということはなく,\ \zyunretu72\,通りが対等である. \\[.2zh] 実際,\ a_1○○○○○a_2\,は5\kaizyou\,通り,\ 両端が別の文字になる場合も同様に5\kaizyou\,通りずつある. \\[.2zh] 分子は(左,\ 右)=(c_1,\ c_2),\ (c_2,\ c_1)の2通りである. \\[1zh] 両端という位置ではなく\bm{文字cのほうに着目して求める}ことも可能である(別解3). \\[.2zh] cが左から何番目になるかは,\ 7ヶ所から2ヶ所選べばよいから\,\kumiawase72\,通りある. \\[.2zh] cc○○○○○よりも○○c○c○○が起こりやすいなどということはなく,\ \kumiawase72\,通りが対等である. \\[.2zh] 実際,\ cc○○○○○は\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou2\kaizyou}\,通り,\ cが別位置の場合も同様に\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou2\kaizyou}\,通りずつある. \\\\ 段階的に考えると別解4となる. \\[.2zh] 左端にc_1,\ c_2\,のうち一方が並ぶ確率が\,\bunsuu27,\ 続いて右端に他方が並ぶ確率が\,\bunsuu16\,である. \\[.8zh] 間はどのような並びでもよいから,\ その確率は\,\bunsuu{5\kaizyou}{5\kaizyou}=1である. \end{array}}\right]$}} \\\\\\\\ (4)\ \ \textcolor{cyan}{2個の文字列(同じ文字を区別)は$\zyunretu62$通りあり,\ これらは同様に確からしい.} % \betu\ \ \scalebox{.95}[1]{\textcolor{cyan}{6個の文字列(同じ文字を区別しない)は$\bunsuu{6\kaizyou}{2\kaizyou2\kaizyou2\kaizyou}$通りあり,\ これらは同様に確からしい.}} \\[.5zh] %\phantom{ (1)\ \ }\textcolor{red}{左端に2個同じ文字が並ぶ}確率は \betu\ \ \textcolor{cyan}{1個目が何であれ,\ 2個目は残り5文字からペアとなる文字を選ぶ}ことになるから\ \ 同じ文字を区別しなければ,\ aa,\ ab,\ ac,\ ba,\ bb,\ bc,\ ca,\ cb,\ ccの9通りが起こりえる. \\[.2zh] だからといって,\ 同じ文字が並ぶ確率を\,\bunsuu39=\bunsuu13\,としてはならない. \\[.8zh] 9通りが同様に確からしくないからである. \\[.2zh] 区別すると,\ aaはa_1a_2,\ a_2a_1\,の2通り,\ abはa_1b_1,\ a_1b_2,\ a_2b_1,\ a_2b_2\,の4通りある. \\[.2zh] \bm{区別できないモノの中から何個かを選んで並べる場合,\ 区別せずに考えるのは大変危険}なのである. \\[.2zh] 結局,\ \bm{区別する本解が標準解法}となり,\ 分子はa_1a_2,\ a_2a_1,\ b_1b_2,\ b_2b_1,\ c_1c_2,\ c_2c_1\,の6通りである. \\[1zh] a,\ b,\ cの個数が等しい本問では,\ \bm{対等性を生かすスマートな解法}がある(別解). \\[.2zh] 同じ文字を区別する.\ とりあえず1個目は何でもよいので自由に選ぶ.\ その確率は\,\bunsuu66=1である. \\[.8zh] 仮に1個目がa_1\,ならば,\ 2個目はa_2\,を選べばよいから,\ その確率は\,\bunsuu15\,である. \\[.8zh] 1個目が他の文字の場合も同様に2個目の確率は\,\bunsuu15\,となるから,\ 全体の確率は\,1\cdot\bunsuu15=\bunsuu15\,となる. \\\\ 単に,\ 以下の6パターンをまとめて求めただけである.\ 個数が異なる場合は別個に求めることになる. \\[.2zh] a_1a_2,\ a_2a_1,\ b_1b_2,\ b_2b_1,\ c_1c_2,\ c_2c_1\,となる確率はいずれも\{\maru1,\ \maru2,\ \maru3のうち一番右に並ぶ玉は3通りあり,\ これらは同様に確からしい}から $\bm{\bunsuu13}$ \\\\[.5zh] \betu\ \ \textcolor{cyan}{5個の□□□□□に\maru3,\ \maru1,\ \maru2の順で入れていくと考え,\ \maru3の位置で場合分けすると} \3回目,\ 4回目,\ 5回目の操作で終了する確率の和であるから} \\[.5zh] 本問で最も厄介なことは,\ 玉の出方によって終了までの操作回数が変わることである. \\[.2zh] よって,\ 額面通りに考えようとすると,\ 何回目で終了するかで場合分けする必要が生じる(別解4). \\[1zh] 実は,\ \bm{常に5個すべて取り出すまで続けると考える}と,\ 場合分けせずに求められる(本解). \\[.2zh] このように,\ \bm{終了後も考慮して回数の対等性を確保する}という発想は場合の数分野でも学習した. \\[.2zh] ただ,\ そんな考え方が許されるのだろうか.\ 試しに,\ 3回の操作で\maru1\maru2\maru3と並ぶ確率を求めてみよう. \\[.2zh] 普通に考えると,\ 5個から3個選んで並べる方法は\,\zyunretu53\,通りであるから,\ \bunsuu{1}{\zyunretu53}\,となる. \\[.8zh] 一方,\ 5回操作するとして\maru1\maru2\maru3○○と並ぶ確率を求めてみる. \\[.2zh] \maru1\maru2\maru3までの確率は\,\bunsuu{1}{\zyunretu53},\ 何でもよい○○の部分の確率は1なので,\ 結局\,\bunsuu{1}{\zyunretu53}\times1=\bunsuu{1}{\zyunretu53}\,である. \\[.8zh] 3回目までで条件を満たせば4回目以降の確率は1なので,\ 5回操作するとしても確率は変わらない. \\[1zh] 分子は,\ \maru2\maru4\maru1\maru3\maru5のように,\ \maru1,\ \maru2,\ \maru3のうち\maru3が一番右に並ぶ場合の数である. \\[.2zh] \bm{順序が指定された部分}があれば,\ \bm{一旦同じモノとみなして並べ,\ 後から入れればよい}のであった. \\[.2zh] \maru1,\ \maru2,\ \maru3を○とすると,\ ○,\ ○,\ ○,\ \maru4,\ \maru5の並び方は\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou}\,通りである. \\[.8zh] 3個の○への\maru1,\ \maru2,\ \maru3の入れ方は,\ \maru1\maru2\maru3または\maru2\maru1\maru3の2通りである. \\[1zh] 例によって,\ \bm{問題の条件に関係する\maru1,\ \maru2,\ \maru3のみに着目する}と簡潔に済む(別解1). \\[.2zh] \maru1,\ \maru2,\ \maru3がこの順で並ぶ並び方(\maru4,\ \maru5を含む)は,\ たった今述べたように\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou}\,通りである. \\[.2zh] \maru2,\ \maru1,\ \maru3など,\ \maru1,\ \maru2,\ \maru3が他の順で並ぶ場合も同様に\,\bunsuu{5\kaizyou}{3\kaizyou}\,通りずつある. \\[.2zh] よって,\ \maru1,\ \maru2,\ \maru3の並び方3\kaizyou\,通りは完全に対等である. \\[1zh] \maru1,\ \maru2,\ \maru3のうち,\ さらに\bm{一番右に並ぶ玉だけに着目する}と別解2となる. \\[.2zh] \maru1が一番右の場合は\maru2\maru3\maru1,\ \maru3\maru2\maru1の2通り,\ \maru2,\ \maru3が一番右の場合も同様に2通りずつある. \\[.2zh] そもそも\bm{\maru1,\ \maru2,\ \maru3は対等なので,\ どれかが一番右に並びやすいなどということはない}はずである. \\[.2zh] この観点にたてば,\ 本問の結果は計算せずとも明らかだったわけである. \\[1zh] 別解3は,\ \bm{\maru1,\ \maru2,\ \maru3がそれぞれ5ヶ所のうち何番目に並ぶかを1個ずつ考える}ものである. \\[.2zh] 条件の強い\maru3から順に入れていくとする.\ どの□に対しても,\ \maru3が入る確率は\,\bunsuu15\,である. \\[.8zh] このうち条件を満たすのは\bm{□□\maru3□□,\ □□□\maru3□,\ □□□□\maru3}であり,\ \bm{互いに排反}である. \\[.2zh] \maru3がどこに入るかで続く\maru1,\ \maru2が入れる□の数が変わってくるので場合分けする. \\[.2zh] □□\maru3□□のとき,\ \maru1が残りの□4個のうち\maru3の左にある2個のいずれかに入る確率は\,\bunsuu24\,である. \\[.2zh] さらに,\ \maru2が残りの□3個のうち\maru3の左にある1個に入る確率は\,\bunsuu13\,である. \\[.8zh] □□□\maru3□のとき,\ \maru1,\ \maru2が\maru3の左にある3個のいずれかに入る確率は\,\bunsuu34\cdot\bunsuu23\,である. \\[.8zh] □□□□\maru3のとき,\ \maru1,\ \maru2は残りの□4個のどこに入ってもよいから確率は1である. \\\\ \bm{終了までの回数は「3回目」「4回目」「5回目」}が考えられ,\ \bm{互いに排反}である(別解4). \\[.2zh] 3回目で終了するのは,\ \zyunretu53\,通りのうち,\ \maru1\maru2\maru3,\ \maru2\maru1\maru3の2通りである. \\[.2zh] 4回目で終了するのは,\ \zyunretu54通りのうち,\ ○○○\maru3となる場合である. \\[.2zh] ○○○への\maru1,\ \maru2,\ \maru4の入れ方は3\kaizyou\,通り,\ \maru1,\ \maru2,\ \maru5の入れ方も3\kaizyou\,通りである. \\[.2zh] 5回目で終了するのは,\ 5\kaizyou\,通りのうち,\ ○○○○\maru3となる4\kaizyou\,通りである. 1から9の数字が1つずつ書かれたカードが9枚ある.\ この中から同時に2枚取り \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 出すとき,\ 2枚とも奇数である確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ 白玉4個,\ 赤玉3個が入っている箱の中から3個同時に取り出すとき,\ \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 白玉2個,\ 赤玉1個である確率を求めよ. \\ 同時に選ぶタイプ (1)\ \ \dot{異}\dot{な}\dot{る}\,9枚から2枚選ぶときの組合せは\,\kumiawase92=36通りあり,\ これらは\bm{同様に確からしい.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 組合せ(1,\ 2)よりも組合せ(2,\ 3)が起こりやすいなどということはないだろう. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 奇数のカードは1,\ 3,\ 5,\ 7,\ 9の5枚あるから,\ 2枚とも奇数になる場合の数は\,\kumiawase52\,通りである. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 実は,\ \bm{選んだ後に並べると考えて求める}こともできる(別解1). \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 元々,\ \kumiawase nr=\bunsuu{\zyunretu nr}{r\kaizyou}\,という関係があるのはご存知の通りである. これは,\ \zyunretu nr\,を同数(r\kaizyou\,個ずつ)まとめたものが\,\kumiawase nr\,であることを意味している. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ それゆえ,\ \zyunretu nr\,と\,\kumiawase nr\,のどちらで考えたとしても同様に確からしいことは変わらないのである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ つまりは,\ \bm{「同時に選ぶ確率」と「非復元抽出の確率(順序が関係しない事象)」は同一視できる.} \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 直感的には以下のように解釈できる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ そもそも,\ 現実において完全に同時に取り出すということは不可能である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 同時のように思えても,\ 厳密には0.0000000000001秒ずれていたりするだろうからである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 本問も,\ 実質的には別解2のように1個ずつ考えるのと変わらないわけである. \\[1zh] (2)\ \ 白_1,\ 白_2,\ 白_3,\ 白_4,\ 赤_1,\ 赤_2,\ 赤_3\ のように区別して考える. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ (白_1,\ 白_2,\ 白_3)より(赤_1,\ 赤_2,\ 赤_3)が起こりやすいということはなく,\ \kumiawase73\,通りが対等である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \kumiawase nr\,は,\ \dot{異}\dot{な}\dot{る}\,n個のモノからr個選ぶときの組合せの総数である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ よって,\ \bm{\kumiawase nr\,を使っている時点でモノを区別して考えている}ことに注意してほしい. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 考慮する必要がない順序を考慮すると余計面倒になるが,\ 一応別解として示した. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 分子は白玉3個なら\,\zyunretu43\,で済むが,\ 本問は白玉も赤玉も取り出すから単純に\,\zyunretu nr\,では済まない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 複雑な事象では,\ まず選び,\ その後に並べるとよいのであった. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 白玉2個,\ 赤玉1個の選び方は\,\kumiawase42\times\kumiawase31\,通り,\ 選んだ\dot{異}\dot{な}\dot{る}\,3個の並べ方は3\kaizyou\,通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 分母が\,\zyunretu nr\,であるのに分子に\,\kumiawase nr\,があることを不安に思った人もいるかもしれない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 重要なのは,\ \bm{分母と分子を同基準で考える}ことである(選ぶだけなのか選んだ後並べるのか). \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 分母に\,\zyunretu nr\,を使ったとき,\ 絶対に分子で\,\kumiawase nr\,を使ってはいけないということではない. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 1個ずつの確率を考えてもよいが,\ 順序を考慮する扱いになるので場合分けを要する(別解2). (1)\ \ 白玉4個,\ 赤玉3個が入っている箱の中から1個取り出すという \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 操作を2回繰り返す.\ ただし,\ 1回目で取り出した玉は戻す. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ 2回とも白玉を取り出す確率を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ 3個のサイコロを同時に振るとき,\ 出る目の和が9となる確率を求めよ. \\ 順に選ぶ(毎回戻す)タイプ}}}} (2)\ \ 出る目の組が\textcolor{cyan}{(1,\ 2,\ 6),\ (1,\ 3,\ 5),\ (2,\ 3,\ 4)}となる場合はそれぞれ\textcolor{cyan}{$3\kaizyou$通り}ずつある. \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ 出る目の組が\textcolor{cyan}{(1,\ 4,\ 4),\ (2,\ 2,\ 5)}となる場合はそれぞれ\textcolor{cyan}{$\bunsuu{3\kaizyou}{2\kaizyou}$通り}ずつある. \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ 出る目の組が\textcolor{cyan}{(3,\ 3,\ 3)}となる場合は\textcolor{cyan}{$1$通り}ある. (1)\ \ 「一度取り出したモノを毎回元に戻してから次のモノを取り出す」ことを\bm{復元抽出}という. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 7個の玉をすべて区別すると,\ 1回目の選び方は当然7通りであり,\ これらは同様に確からしい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 2回目の選び方も7通りであり,\ これらも同様に確からしい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 1回目に白_1\,が出たからといって,\ 2回目に白_1\,が出にくくなるなどということはないだろう. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 1回目,\ 2回目ともに7通りが対等なので,\ 2回全体では7^2=49通りが対等である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ つまり,\ (白_1\,→\,白_1),\,(白_1\,→\,白_2),\,(白_2\,→\,白_1),\,\cdots,\,(赤_3\,→\,赤_3)\ \bm{(49通り)が同様に確からしい.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 白玉を取り出す場合の数は1回目も2回目も4通りなので,\ 分子は4^2\,通りである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ もちろん,\ 各回の確率の積として求めることもできる(別解). \\[1zh] (2)\ \ \bm{「サイコロr個振る」「サイコロ1個をr回振る」とき6^r\,通りの重複順列が同様に確からしい.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ サイコロを何個,\ 何回振っても,\ 1個1回に対しては常に6通りが同様に確からしいからである. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ なお,\ \bm{問題で指定がなくとも,\ サイコロは区別できるものとして考える.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ サイコロ2個を投げるとき,\ (1,\ 1),\ (1,\ 2),\ (2,\ 1),\ \cdots,\ (6,\ 6)の6^2\,通りが同様に確からしい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 区別をなくすと(1,\ 2)と(2,\ 1)が同じ扱いとなり,\ (1,\ 1)と対等ではなくなってしまう. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 出る目の和が9になる場合は書き出していく他ない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 3個のサイコロは区別するから,\ 例えば(1,\ 2,\ 6)と(2,\ 1,\ 6)は別の扱いになることに注意する. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 最初から順序まで考慮して書き出していくと混乱するので,\ まずは組合せだけを考える. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ このとき,\ x\leqq y\leqq zのように\bm{大小関係を設定して書き出すと重複を防げる}のであった. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 後はそれぞれ何通りの並べ方があるかだが,\ 同じ数字を何個含むかで変わってくる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 各場合は互いに排反であるから,\ 足し合わせればよい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ ただし,\ 3\kaizyou+3\kaizyou+3\kaizyou\,のような同じものの和は,\ 3\kaizyou\times3と積の形で表している. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 1個ずつの確率の積として求めることもできる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ しかし,\ 条件が「目の和」という全体を考慮するものなので,\ 1個ずつ考えると面倒になる. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{「コインr個投げる」「コイン1個をr回投げる」「r人でじゃんけんする」}も本タイプである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ コインは1個1回につき常に2通りなので,\ 2^r\,通りが同様に確からしい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ じゃんけんは常に1人につきグー,\ チョキ,\ パーの3通りなので,\ 3^r\,通りが同様に確からしい.