
1から$n$までの数字が1つずつ書いてある玉が$n$個入っている袋から同時に3個の玉 \\[.2zh] \hspace{.5zw}を選び,\ 最大の数字を$X$,\ 最小の数字を$Y$とする. \\[1zh] \hspace{.5zw}\ \ (1)\ \ $n=5$のとき,\ $X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\[.8zh] \hspace{.5zw}\ \ (2)\ \ \scalebox{.99}[1]{$n\geqq3$のとき,\ $X,\ Y,\ X-Y$の期待値$E(X),\ E(Y),\ E(X-Y)$を求めよ(数B).} \最大値と最小値の期待値 Xのとりうる値は3,\ 4,\ 5である. \\[.2zh] 最大の数字X=kのとき,\ 他2つの数字は1,\ 2,\ \cdots,\ k-1の中から2つ選ぶことになる. 変数Xがn個ある場合の和を計算するには,\ 数\text B:数列の知識が必要になる. \\[1zh] 変数Xのとりうる値は3,\ 4,\ \cdots,\ nである. \\[.2zh] Σを用いて表すと,\ 後は基本的なΣ計算である. \\[.2zh] 変数kを含まない部分は,\ 早い内にΣの前に出す. \\[.2zh] Σ公式を利用するためには,\ k=1からの和になっていなければならない. \\[.2zh] k=1,\ 2のときk(k-1)(k-2)=0より,\ k=3からの和をk=1からの和とすることができる. \\[.2zh] 以下の公式を適用後,\ 因数分解する方向で整理する. \\[.5zh] \retuwa{k=1}{n}k^3=\left\{\bunsuu12n(n+1)\right\}^2=\bunsuu14n^2(n+1)^2, \retuwa{k=1}{n}k^2=\bunsuu16n(n+1)(2n+1), \retuwa{k=1}{n}k=\bunsuu12n(n+1) \\\\ 最後,\ \bm{nに簡単な数値を代入して検算しておく}ことが望ましい. \\[.2zh] n=3のとき,\ 3個の玉のうち一番大きい数字Xは100\%確実に3である. \\[.2zh] よって,\ E(X)=3と予想でき,\ \bunsuu34(n+1)にn=3を代入してみると確かにE(X)=3となる. \\\\ \bm{k(k-1)(k-2)は連続整数の積}なので,\ \bm{階差を利用して和を求める}こともできる(別解1). \\[.2zh] 一般に,\ 一般項a_k\,を階差の形f(k)-f(k+1)で表すことができれば,\ 以下の原理で必ず和が求まる. \\[.2zh] \retuwa{k=1}{n}a_k=\retuwa{k=1}{n}\{f(k)-f(k+1)\}=\{f(1)-f(2)\}+\{f(2)-f(3)\}+\cdots+\{f(n)-f(n+1)\} \\[.2zh] \phantom{\retuwa{k=1}{n}a_k}=f(1)-f(n+1) \\[1zh] 連続整数の積は,\ 以下のような規則で階差の形に変形できることが知られている. \\[.2zh] [1]\ \ k(k+1)=\bunsuu13\{k(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)\} \\[.8zh] [2]\ \ k(k+1)(k+2)=\bunsuu14\{k(k+1)(k+2)(k+3)-(k-1)k(k+1)(k+2)\} \\[.8zh] 本問は,\ [2]のkをk-2に変えたものである. \\\\ 変数Yのとりうる値は1,\ 2,\ \cdots,\ n-2である. \\[.2zh] 最小の数字がkのとき,\ 残りの数字はk+1,\ k+2,\ \cdots,\ nのn-k個の数字の中から2つ選ぶ. \\[.2zh] k=n-1,\ nのときk(n-k)(n-k-1)=0より,\ n-2までの和をnまでの和としてよい. \\\\ 変数X-Yのとりうる値は2,\ 3,\ \cdots,\ n-1である. \\[.2zh] 例えば,\ 選んだ玉が(3,\ 4,\ 5)ならばX-Y=2,\ (1,\ 3,\ n)ならばX-Y=n-1である. \\[.2zh] X-Y=kとなる組は(X,\ Y)=(n,\ n-k),\ (n-1,\ n-k-1),\ \cdots,\ (k+1,\ 1)のn-k組ある. \\[.2zh] 残り1個の数字は,\ XとYの間にあるk-1個の数字の中から1つ選ぶことになる. \\[.2zh] k=1,\ nのときk(n-k)(k-1)=0より,\ \retuwa{k=2}{n-1}を\retuwa{k=1}{n}としてよい. \\\\ E(X),\ E(Y)が既知ならば,\ \bm{和(差)の期待値の公式}を用いると瞬殺できる(別解). \\[.2zh] E(X),\ E(Y),\ E(X-Y)のうち2つが求まれば,\ 残り1つも直ちに求まるわけである. \\[1zh] \bm{期待値が平均}という観点があれば,\ \bm{非復元抽出}の場合はE(X)とE(Y)を以下のように解釈できる. \\[.5zh] n個から3個選ぶとき,\ 平均すると右の△,\ □,\ ◇が選ばれる. \underbrace{○○○}_{\frac{n-3}{4}個}△\underbrace{○○○}_{\frac{n-3}{4}個}□\underbrace{○○○}_{\frac{n-3}{4}個}◇\underbrace{○○○}_{\frac{n-3}{4}個} \\\\[-.5zh] よって E(Y)=△=\bunsuu{n-3}{4}+1=\bunsuu14(n+1) E(X)=◇=n-\bunsuu{n-3}{4}=\bunsuu34(n+1) 1から$n$までの数字が1つずつ書いてある玉が$n$個入っている袋から1個の玉を選び, \\[.2zh] \hspace{.5zw}数字を確認してから元に戻すことを繰り返す.\ 確認した中で最大の数字を$X$とする. \\[1zh] \hspace{.5zw}\ \ (1)\ \ 3回繰り返すとき,\ $X$の期待値$E(X)$を求めよ(数B). \\[.8zh] \hspace{.5zw}\ \ (2)\ \ $r$回繰り返すときの$X$の期待値$E(X)$に対して,\ {X=k}$となる確率は 前問は非復元抽出であったが,\ 本問は\bm{復元抽出}における最大値の期待値である. \\[1zh] 3回選んで最大の数字がkを言い換えると,\ 「少なくとも1回がk\ かつ\ 残りの2回がk以下」である. \\[.2zh] 2,\ 3回程度ならばまだしも,\ 回数が多くなると直接的にこの確率を求めるのが難しくなる. \\[.2zh] そこで,\ \bm{差事象を利用する}のが基本であった.\ この考え方ならば,\ 何回であっても容易に求められる. \\[.2zh] 結局,\ \bm{(最大の数字がk)=(3回ともk以下)-(3回ともk-1以下)}\ と考えれば済む. \\[1zh] 一応,\ 検算しておく.\ \ n=1のとき,\ 100\%の確率でX=1であるから,\ E(X)=1となるはずである. \\[.2zh] E(X)=\bunsuu{(n+1)(3n-1)}{4n}\,にn=1を代入してみると,\ 確かにE(X)=1となる. 和の扱いが難しいが,\ とりあえず書き出して整理してみると,\ 意外と簡潔な形にまとまる. \\[.2zh] 求める極限は\dlim{n\to\infty}\bunsuu1n\retuwa{k=1}{n}f\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu kn\right)の形をしており,\ あからさまに\bm{定積分の定義の利用}を匂わせる. \\[1zh] 定積分の定義 \bm{\dint{0}{1}f(x)\,dx=\dlim{n\to\infty}\bunsuu1n\retuwa{k=1}{n}f\hspace{-.2zw}\left(\bunsuu kn\right)} (区分求積法) \\[1.2zh] n\to\infty\,とするから,\ nの係数さえ同じならば\retuwa{k=1}{n}でも\retuwa{k=1}{n-1}でも変わらない.