
互角の能力を持つ3人の選手A,\ B,\ Cが以下のような巴戦を行って優勝者を決める. \\[.5zh] \hspace{.5zw} [1]\ \ 最初にAとBが対戦する. \\[.5zh] \hspace{.5zw} [2]\ \ その後は直前の対戦の勝者と待機していた者が対戦することを繰り返す. \\[.5zh] \hspace{.5zw} [3]\ \ 先に2連勝した者を優勝者とし,\ そこで終了する. \\\\ \hspace{.5zw}(1)\ \ 6回目の対戦までにA,\ B,\ Cが優勝する確率をそれぞれ求めよ. \\[.8zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ A,\ B,\ Cが優勝する確率をそれぞれ求めよ(数I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I). 巴戦の確率}}}} \\\\[.5zh] (1)\ \ 以下,\ AがBに勝つことを$\mathRM{A_B}$のように表す. \\\\ 3回目,\ 6回目でAの優勝が決まることはない. \\\\ \phantom{ (1)}\ \ \textbf{6回目までにAの優勝が決まる確率}は \phantom{ (1)}\ \ AとBは対等であるから,\ \textbf{6回目までにBの優勝が決まる確率}は $3回目}でCの優勝が決まるのは6回目}でCの優勝が決まるのは 2回目,\ 4回目,\ 5回目でCの優勝が決まることはない. \bm{勝者だけではなく,\ 敗者も含めて優勝までの推移を考える}のが巴戦の確率の最大のポイントである. \\[.2zh] 巴戦は仕組みがやや複雑だが,\ その複雑さゆえにありえるパターンは限られるので意外と簡潔に済む. \\[.2zh] 実際,\ 2,\ 4,\ 5回目で\text Aが優勝するパターンはそれぞれ1通りしかない(自分の手を動かしてみよ). \\[.2zh] さらに,\ 3,\ 6回目で\text Aが優勝するパターンに至っては0通りである. \\[.2zh] 本問では1回の試合の確率が\,\bunsuu12\,で,\ 各試合は独立なので,\ 結局\,\bunsuu12\,を試合回数分掛けるだけである. \\[.8zh] 3つの場合は互いに排反であるから,\ 後は足し合わせればよい.\ \,\text Bについても同様である. \\[1zh] 一方,\ \text Cの優勝が決まるのは3回目か6回目で,\ それぞれ排反な2パターンがある. \\[1zh] さて,\ 特筆すべきは,\ \textbf{Cの優勝確率がA,\ Bの優勝確率よりもやや少ない}ことである. \\[.2zh] つまり,\ \bm{巴戦は公平ではなく,\ 1回目の対戦に参加しなかった者は不利}になる. \\[.2zh] \text{AやB}は初戦で負けたとしても,\ 2回目の対戦で\text Cが勝てばまた優勝チャンスが訪れる. \\[.2zh] しかし,\ \text Cは自身にとっての初戦で負けると,\ その時点で\text{AかB}の優勝が決まってしまう. 以下,\ $n$回繰り返すことを$[ ]_n$のように表す. \\\\ AとBは対等であるから,\ \textbf{Bが優勝する確率}は \bm{どの選手も優勝しないとき,\ 必ず\mathRM{[\,A_B\ →\ C_A\ →\ B_C\,]か[\,B_A\ →\ C_B\ →\ A_C\,]}のループになる.} \\[.2zh] 結果,\ \text Aの優勝パターンは,\ 3n+2回目または3n+1回目で決まるものが1つずつあるのみである. \\[.2zh] 後は,\ 各場合についてそれぞれ,\ すべてのnについて足し合わせればよい. \\[.2zh] (2回目で決まる)+(5回目で決まる)+(8回目で決まる)+ (4回目で決まる)+(7回目で決まる)+(10回目で決まる) 結局,\ 無限等比級数の和を求めることに帰着する. \\[.2zh] \bm{初項a,\ 公比rの無限等比級数はのとき収束し,\ その和は\,\bunsuu{a}{1-r}}\,となるのであった. \text Cの優勝確率は,\ \bm{余事象を利用}して求めると簡潔に済む. \\[.2zh] やはり,\ \text Cの優勝確率は,\ \text{A,\ B}の優勝確率に比べるとやや少ない.