
4人でじゃんけんを1回行うとき,\ あいこになる確率を求めよ. \\ n}$人のじゃんけんの確率と期待値\bm{n人}$のじゃんけんで$\bm{k}$人勝つ確率}}は {1人が勝つ}確率は 勝負が決まる手の出し方を考える4人がちょうど2種類の手を出す}確率は あいこになる確率は じゃんけんの確率は,\ まずは基本公式がある\bm{勝つ人数を考える方法}(本解)を習得する. \\[.2zh] 初見では難しいじゃんけんの確率だが,\ 実は基本公式を覚えておくだけで多くの問題に対応できる. \\[1zh] じゃんけんでは,\,1人につき3通りの手の出し方がある.\ 無論,\,各人の手の出し方は互いに影響しない. \\[.2zh] よって,\ \bm{n人がじゃんけんをするときの手の出し方は重複順列3^n\,通りが同様に確からしい.} \\[.2zh] ちょうどk人が勝つとき,\ 勝つ人の選び方は\,\kumiawase nk\,通りである. \\[.2zh] 勝つ人さえ選べば,\ 負ける人は自動的に決まる(1通りである)から無視してよい. \\[.2zh] さらに,\ どの手で勝つかが\,\kumiawase31=3通りある. \\[.2zh] 勝つ人の手さえ選べば,\ 負ける人の手は自動的に決まる(1通りである)から無視してよい. \\[.2zh] 結局,\ k人が勝つときの場合の数は,\ \bm{(誰が勝つか)\times(どの手で勝つか)=(誰)\times3}\ で求められる. \\[1zh] さて,\ \bm{あいこになる確率は余事象を利用して求める}のが基本である. \\[.2zh] 「\,1人が勝つ」「\,2人が勝つ」「\,3人が勝つ」は\bm{排反}であるから,\ これらを足した後で1から引く. \\[1zh] 本解はわかりやすいが,\ 一般化しやすいのは別解の考え方である. \\[.2zh] \bm{4人の出した手が2種類であれば勝負が決まる}から,\ この確率を1から引けばよい. \\[.2zh] まず,\ \bm{2種類の手をグー,\ チョキ,\ パーの3種類から選ぶ}方法は\,\kumiawase32\,通りである. \\[.2zh] 仮に,\ グー(○)とチョキ(△)を選んだとする. \\[.2zh] 4人の手の出し方は,\ \bm{○と△から重複を許して4個選んで並べる}ことに等しく,\ 2^4\,通りある. \\[.2zh] ただし,\ 2^4\,通りに含まれる\bm{4個すべて○の場合とすべて△の場合の2通りを除く}必要がある. n$人\ $(n\geqq3)$でじゃんけんを1回行うとき,\ 次の問いに答えよ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ あいこになる確率を求めよ. \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ 勝つ人数$X$の期待値$E(X)$を求めよ. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{ (1)}\ \ 必要ならば,\ $k\,\kumiawase nk=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\ (1\leqq k\leqq n)$を用いてもよい. $k$人が勝つ確率は $\bunsuu{\textcolor{cyan}{\kumiawase nk}\times\textcolor{magenta}{3}}{\textcolor{forestgreen}{3^n}}=\textcolor{red}{\bunsuu{\kumiawase nk}{3^{n-1}}\ \ (1\leqq k\leqq n-1)}$ \\\\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ $あいこになる確率は,\ 1,\ 2,\ \cdots,\ n-1人勝つ確率の余事象である.$ \\[.5zh] 1-\bunsuu{\kumiawase n1+\kumiawase n2+\kumiawase n3+\cdots+\kumiawase{n}{n-1}}{3^{n-1}}=\bm{1-\bunsuu{2^n-2}{3^{n-1}}}$n人がちょうど2種類の手を出す}確率は \bunsuu{\textcolor{magenta}{\kumiawase32(2^n-2)}}{\textcolor{forestgreen}{3^n}}=\bunsuu{2^n-2}{3^{n-1}}$ \\[1zh] \centerline{$\therefore あいこになる確率は \bm{1-\bunsuu{2^n-2}{3^{n-1}}} 前問の一般化であり,\ 基本方針は同様であるが,\ 最後の計算で数\text{I\hspace{-.1em}I}の知識が必要になる. \\[.2zh] これらをすべて足し合わせた後で1から引く.\ このとき,\ \bm{二項係数\,\kumiawase nr\,の和}を求める必要が生じる. \\[.2zh] 二項係数の和を見かけたら,\ 次の二項展開式(数\text{I\hspace{-.1em}I})を思い浮かべるのが基本である. \bm{(1+x)^n=\kumiawase n0+\kumiawase n1x+\kumiawase n2x^2+\cdots+\kumiawase{n}{n-1}x^{n-1}+\kumiawase nnx^n} \\[.2zh] これと求める二項係数の和の式を見比べると,\ \bm{x=1を代入}すればよいとわかる. \\[1zh] 前問の別解の考え方ならば,\ 4人をn人にするだけで直ちに一般化できる. \betu\ \ 変数$X_k$を以下のように定める. \\[1zh] \ 1 & (\,k人目が勝つ) \\[.2zh] \ 0 & (\,k人目が負ける) 期待値の公式にあてはめるだけだが,\ その後の計算はかなりの慣れが必要である. \\[1zh] 分子の和を求めるとき,\ いわゆる\bm{リーダーの等式\ k\kumiawase nk=n\kumiawase{n-1}{k-1}}\,を利用する. \\[.2zh] リーダーの等式の左辺であるから このように,\ リーダーの等式は\bm{2ヶ所に散らばっている変数kを1ヶ所に集める}という役割をもつ. \\[.2zh] その結果,\ nをくくり出すことができるようになり,\ 二項係数の和に帰着する. \\[.2zh] 数\text B:数列を学習済みならば,\ \retuwa{k=1}{n-1}k\kumiawase nk=n\retuwa{k=1}{n-1}\kumiawase{n-1}{k-1}\ と書くと,\ その意義がよくわかるだろう. \\\\ 後は括弧内の和であるが,\ \bm{(1+x)^{n-1}\,の二項展開式にx=1を代入する}と得られる. リーダーの等式ではなく,\ 微分(数\text{I\hspace{-.1em}I})を利用して和を求めるより楽な方法もある(別解1). \\[1zh] なお,\ リーダーの等式が問題で与えられているとは限らない. \\[.2zh] 以下のような組合せ論的意味合いを踏まえて覚えておくことが望ましい. \\[1zh] 生徒n人からk人の代表を選び,\ そのk人の代表の中から1人のリーダーを選ぶとする. \\[.2zh] その選び方は \kumiawase nk\cdot\kumiawase k1=k\,\kumiawase nk\ (通り) \\[.5zh] 生徒n人から1人のリーダーを選び,\ 残りのn-1人からk-1人の代表を選ぶのも同じである. \\[.2zh] その選び方は \kumiawase n1\cdot\kumiawase{n-1}{k-1}=n\,\kumiawase{n-1}{k-1}\ (通り) \\[1zh] 単にリーダーの等式を証明するだけならば,\ \bm{階乗の形\ \kumiawase nr=\bunsuu{n\kaizyou}{r\kaizyou(n-r)\kaizyou}\ で表す}とよい. 本問は,\ \bm{個数の期待値}問題の扱いで求めると簡潔に済む. \\[.2zh] \bm{特定の1人が勝つたびに+1ずつカウントするダミー変数X_k\,を導入する.} \\[.2zh] 何人勝つかはX_k\ (1\leqq k\leqq n)の和なので,\ E(X_k)は\bm{E(X+Y)=E(X)+E(Y)}で分割できる.\\[.2zh] 結局,\ \bm{特定の1人が勝つ確率を求める}ことに帰着する. \\[1zh] \scalebox{.98}[1]{$E(X+Y)=E(X)+E(Y)はX,\,Yが独立でなくとも成り立つから,\,他の人の勝敗はどちらでもよい.$} \\[.2zh] まず,\ 勝つ1人の手の出し方は\,\kumiawase31\,通りである.\ 仮にパーで勝つとしよう. \\[.2zh] 他のn-1人の手の出し方は,\ 基本的にはパーでもグーでもよいから,\ 2^{n-1}\,通りある. \\[.2zh] ただし,\ \bm{n-1人全員がパーの場合はあいこになってしまうから,\ この1通りを除く.}