ガウス記号の定義と性質,\ 整数部分と小数部分 \\
$[1]$\ \ $ガウス記号\gauss xの定義$
$実数xに対して,\ \gauss{x\,はxを超えない最大の整数を表す.
③\ \ $x=m+α\
[1]}\ \ xを超えない最大の整数と表現されることが多いが,\ 要はx以下の最大の整数}である. \\
\ \ 負数では\gauss{-\,2.7}=-\,3などとなるので,\ 安易に小数以下を無視すると考えるのは危険である.
[2]}\ \ ①\ \ 当たり前だが,\ ガウス記号がついてさえいれば,\ 中身が何であれ必ず整数}になる.
[1]\ \ ①}\ \ このことを強烈に意識するため,\ あえて文字でおいて扱うとわかりやすくなることが多い.
[2]}\ \ ②\ \ 定義から明らかに成り立つ.\ これを定義と考えることもできる.
[2]}\ \ ③\ \ x=(整数部分m)+(小数部分\ α)}\ に分解する. そうでなければ一意に定まらない. 後で示すように整数部分はガウス記号の外に出せるから,\ 本質をあぶり出すことができる
[1]\ \ ①}\ \ 要するに,\ \gauss xはxの整数部分を表している.}
[1]\ \ ①}\ \ x=\gauss x+α\ より,\ 小数部分は\,α=x-\gauss x}\ と表される.
x,\ y$を実数,\ $n$を整数とするとき,\ 以下の性質が成り立つことを示せ.
(1)\ \ 最もよく利用する性質であり,\ 通常は無断使用してよい.
\ \ 例えば,\ x=1.4,\ n=2のとき\gauss{1.4+2}=\gauss{1.4}+2が成り立つというだけの話である.
\ \ xについての不等式を元にx+nの範囲を考える.
\ \ すると,\ x+nは連続する2整数\gauss x+n,\ \gauss x+n+1の間にある数}であるとわかる.
\ \ よって,\ x+n以下の最大の整数\gauss{x+n}は\gauss x+nに等しい.
\ \ わかりにくいならば,\ \gauss x=m\ (m:整数)とおいて考えるとよい.
\ \ よって,\ x+n以下の最大の整数\gauss{x+n}はm+n=\gauss x+nに等しい.
(2)\ \ x,\ yについての不等式を元にx+yの範囲を考える.
\ \ すると,\ x+yは2整数\gauss x+\gauss y,\ \gauss x+\gauss y+2の間にある数}であるとわかる.
\ \ よって,\ x+y以下の最大の整数\gauss{x+y}は,\ 2整数\gauss x+\gauss y,\ \gauss x+\gauss y+1といずれかと等しい.
\ \ この2整数のいずれにしろ,\ \gauss x+\gauss y以上}というわけである.
\ \ 整数部分と小数部分に分けて考える別解も示した.\ (1)を利用し,\ とにかく整数部分を外に出す.}
\ \ \gauss{α+β}に帰着するが,\ 小数部分\,α,\ β\,の範囲を考慮すると値を求められる.
(3)\ \ \gauss yは整数であるから,\ 整数\gauss x+1より小さいならば整数\gauss x以下である.
\ \ 2つの不等式を合体させる場合,\ 必ず和として合体させる必要があるのであった.
正の実数$x$の小数部分をガウス記号を用いて表せ.
(2)\ \ 正の実数$x$の小数第1位を四捨五入した数をガウス記号を用いて表せ.
(3)\ \ 正の実数$x$の小数第3位を四捨五入した数をガウス記号を用いて表せ.
(4)\ \ $a,\ b$を自然数とする.\ \ $a$を$b$で割ったときの余りをガウス記号を用いて表せ.
(2)\ \ とにかく具体的な数値で考えてみる.
\ \ よって,\ A=x+0.5\,とすればよいことがわかる.
\ \ 四捨五入した数の表現は1つではなく,\ 別解も有名な表現である.
\ \ 整数部分\gauss xに,\ 小数部分が0.5未満ならば0,\ 0.5以上ならば1となるような式を足せばよい.}
\ \ xの小数部分を表すx-\gauss x}を2倍してガウス記号をつけることで実現できる.
(3)\ \ 一旦xを100倍した数を考えて(2)と同様に処理した後,\ 100で割って桁を戻せばよい.
\ \ 例えば,\ x=1.258とすると,\ 100x=125.8である.
\ \ \gauss{100x+0.5}=\gauss{126.3}=126を100で割って1.26が得られる.
(4)\ \ 割り算についての等式よりr=a-bqとなるから,\ qをa,\ bを用いて表せばよい.
\ \ 等式の両辺をbで割ると,\ q+ rb\,は(整数部分)+(小数部分)の形}になっている.
\ \ よって,\ これにガウス記号をつけると整数部分qとなる.
\ \ 要は,\ 分数にガウス記号をつけたものは商に等しい}というわけである.
\ \ 文字だけで見ると難しく感じるが,\ \gauss{18}{7=\gauss{2+47}=2というだけである.
}正の実数$x$の小数部分を$\{x\}$で表すとき,\ 次の(1),\ (2)を証明せよ.
(1)\ \ $m$が正の整数のとき,\ $1m,\ 2m,\ ・・・・・・,\ nm,\ ・・・・・・$\ の中には相異なる
\ \ 数は有限個しかない.
(2)\ \ $a$が無理数のとき,\ $\{a\},\ \{2a\},\ ・・・・・・,\ \{na\},\ ・・・・・・$\ はすべて異なる. [\,茨城大\,]
(1)\ \ 任意の自然数$n$に対して,\ $n=mq+r\}$を満たす整数$q,\ r$が存在する. {2m,\ ・・・・・・,\ nm,\ ・・・・・・\ の中の相異なる数は有限個である.}$
(2)\ \ 異なる自然数$k,\ l$に対して,\ $\{ka\}=\{la\}$となるものが存在すると仮定}する.
このとき $ka-la=N\ (N:整数)}$
$k-l≠0$より$a=N}{k-l$とできるが,\ $(無理数)=(有理数)$}より,\ 矛盾}である.
(1)\ \ 割り算の等式を元に整数部分と小数部分に分離する.}
\ \ \{ \}は小数部分なので整数部分qは無視でき,\ rm\,のみが残る.
\ \ mで割ったときの余りrは0,\ 1,\ ・・・,\ m-1のm種類しかないことから題意が示される.
(2)\ \ 背理法}で証明できる.\ 一致するものが存在すると仮定し,\ 矛盾を導く.
\ \ このとき,\ 「小数部分が等しい\ ⇔\ 差が整数}」を利用する.
\ \ 以前に次を用いて余りがすべて異なること(完全剰余系の基本定理)を証明したのと同様である.
\ \ 「\,nで割ったときの余りが等しい\ ⇔\ 差がnの倍数」