実数$x$に対して,\ $x$を超えない最大の整数を$\gauss x$で表す.
(1)\ \ 実数$x$に対して,\ [x]+[x+1/3]+[x+2/3]=[3x] が成り立つことを示せ.
(2)\ \ 実数$x$,\ 自然数$n$に対して,\ 次の式が成り立つことを示せエルミートの恒等式の証明}
入試頻出の恒等式である.\ 実数xを整数部分mと小数部分\,α\,に分割}して考える.
整数mはガウス記号の外に出せる. のガウス記号をはずせるかが問われることになる.
ガウス記号の定義より,\ \gauss{A}がとる値は,\ Aが整数になるところを境にして変化する.}
0≦α<1を考慮すると,\ α+13,\ α+23\,がとりうる整数値は1のみである.
それぞれ,\ α=23,\ α=13\ のときであるから,\ これを境に場合分けすればよい.
続いて,\ 右辺について考える.\ \ 0≦3α<3より,\ 3α\,がとりうる整数値は0,\ 1,\ 2である.
それぞれ,\ α=0,\ 13,\ 23\ のときであるから,\ これを境に場合分けすればよい.
結局,\ 左辺と右辺で同じ場合分けをする}ことになり,\ どの場合も左辺と右辺が一致する.
(1)を一般化したものであり,\ エルミートの恒等式}と呼ばれる.
(1)で問題の構造が理解できていれば,\ 全く同様にして解答できる.
1n,\ 2n,\ ・・・,\ n-1}{n}\,が境目になるので,\ 普通に場合分けすると,\ n通りの場合分けになる.
k=1,\ 2,\ ・・・,\ nとし,\ n通りをまとめて\,k-1}{n}≦α< kn\,とした場合を示せば十分である.
ここでは,\ わかりやすさを重視して具体的な場合も示しておいた.