
素数の定義} \textcolor{red}{2個の正の約数(1と自分自身)をもつ自然数}} \\\\ $[1]$\ \ 素数の定義より,\ $素数pの\bm{\textcolor{red}{約数は\pm1と\pm p}}に限られる.$ \\[1zh] $[2]$\ \ \textbf{\textcolor{red}{偶数の素数は2のみ}} 逆に言えば,\ \textbf{\textcolor[named]{ForestGreen}{3以上の素数は全て奇数}} \\[1zh] $[3]$\ \ $素数pは,\ \bm{\textcolor{red}{1,\ 2,\ 3,\ \cdots\cdots,\ p-1\ のすべてと互いに素}}であユークリッドの補題}}2整数m,\ nの積mnが素数pの倍数}}ならば,\ \bm{\textcolor{red}{mまたはnがpの倍数}}である.$ \\が素数pの倍数}}ならば,\ \bm{\textcolor{red}{nがpの倍数}}である.$ \\\\[1zh] 素数はこれまでにも所々で登場してきていたが,\ 本項であらためてその性質をまとめておく. \\[.2zh] 問題に素数という条件があるとき,\ これらの性質の利用を試みてほしい. \\[.2zh] 「整数」自体かなり厳しい条件だが,\ その中でも\bm{「素数」は最強に厳しい条件}である. \\[.2zh] 例えば,\ 「素数pは90\leqq p\leqq100を満たす」とわかった時点でp=97が確定する. \\\\ \text{[1]}\ \ 素数7の約数は\pm1と\pm7のみ. \\[1zh] \text{[2]}\ \ 特に\bm{複数の素数の和・差・積}があるとき,\ この性質の利用が有効であることが多い. \\[.2zh] \phantom{[1]}\ \ 例えば,\ 3つの素数p,\ q,\ rがp+q=r,\ p
n-13を考慮すると,\ (n-7,\ n-13)=(-\,1,\ -\,p),\ (p,\ 1)の可能性しかない. \\[.2zh] 後は,\ 実際に\bm{全体が素数となるか(十分条件)を確認}して最終的な答えとする. \\[.2zh] 1\cdot6=6のように,\ 一方の因数が\pm1だからといって全体が素数になるとは限らない. $nを2以上の自然数とするとき,\ n^4+4は素数にならないことを示せ. [\,宮崎大\,]$ \\ {n^4+4は素数にならない. まず,\ 因数分解により\bm{積の形}にできることに気付かなければならない. \\[.2zh] n^4+4は\bm{複2次式}(2乗の2次式)なのでn^2=Aとしてみるも,\ A^2+4となり因数分解できない. \\[.2zh] この場合,\ \bm{無理矢理( )^2-( )^2\,の形を作ってみる}のであった. \\[1zh] 因数分解できたときは,\ \bm{各因数の範囲を考えてみる}と整数の組の候補を限定できることがある. \\[.2zh] \text{\scalebox{.97}[1]{$n^2+2n+2>1より,\ n^4+4が素数になるとき(n^2+2n+2,\ n^2-2n+2)=(p,\ 1)となるしかない.$}} \\[.2zh] しかし,\ n^2-2n+2=1からは,\ (n-1)^2=0よりn=1しか導かれない. \\[1zh] 一方の因数が1になるとき,\ 全体が素数になる可能性がある. \\[.2zh] 言い換えると,\ \bm{どちらの因数も2以上の整数になるとき,\ 全体が素数ではなくなる(合成数になる).} \\[.2zh] 平方完成して各因数の範囲を求めてみると,\ いずれも2以上であることがわかる(別解). $nが素数または4のとき,\ (n-1)\kaizyou\ はnで割り切れないことを示せ. [\,東京工業大\,]$ \\ \,$a,\ dを正の整数とする.\ x_1=a,\ \ x_2=a+d,\ \ x_3=a+2d,\ \ x_4=a+3d$とおく. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\,$x_1,\ x_2,\ x_3,\ x_4\ がすべて素数であるとき,\ aは奇数であることを示せ.$ \\[.2zh] \hspace{.5zw}また,\ $dは偶数であることを示せ. [\,奈良女子大\,]$ \ 複数の素数が絡むとき,\ \bm{素数の和・差・積の偶奇性がポイントになる}ことが多い. \\[.2zh] \bm{偶素数が2しかない}という素数の性質を利用できる可能性があるからである. \\[1zh] (偶数)\pm(偶数)=(偶数) \\[.2zh] (偶数)\pm(奇数)=(奇数) \\[.2zh] (奇数)\pm(奇数)=(偶数) 整数の和・差における偶奇性と偶素数が2しかないことから以下がいえる. \\[.2zh] \bm{2つの素数の和・差が奇数ならば,\ 一方が2でありかつ他方は2以外の素数である}ことが確定する. \\[.2zh] \bm{2つの素数の和・差が偶数ならば,\ 両方が奇素数(2以外の素数)である}ことが確定する. \\[1zh] 本問では,\ x_1\,とx_3,\ x_2\,とx_4\,の偶奇がそれぞれ一致する. \\[.2zh] 偶素数は1つしかないので,\ 結局\bm{x_1,\ x_2,\ x_3,\ x_4\,はすべて奇素数}である. m,\ nを自然数とする.\ \ m+nとmnがともに素数pの倍数であるとき,\ mとnが$ \\[.2zh] \hspace{.5zw}$ともにpの倍数であることを示せ.$mn$が素数$p$の倍数であるから,\ $mまたはnがpの倍数$}である. {\small [\,\textcolor{brown}{ユークリッドの補題}\,]} \\[1zh] [1]\ \ \textcolor{cyan}{$m$が$p$の倍数}のとき \\[.5zh] $m=pk,\ \ m+n=pl\ (k,\ l:整数)$とおくと $\textcolor{red}{n}=pl-m=pl-pk=\textcolor{red}{p(l-k)}$ \\[.2zh] $l-k$は整数であるから,\ \textcolor{cyan}{$n$も$p$の倍数}である. \\[1zh] [2]\ \ \textcolor{cyan}{$n$が$p$の倍数}のとき,\ 同様にして\textcolor{cyan}{$m$も$p$の倍数}である. \bm{mとnはともにpの倍数である.}$ 倍数条件をm+n=pk,\ mn=plなどとそのまま数式に変換しても行き詰まる. \\[.2zh] \bm{ユークリッドの補題を利用}し,\ \bm{mとnを分割して扱う}とうまく証明できる.