円周上の有理点とピタゴラス数、既約分数の和が整数となる条件

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点A$(-\,1,\ 0)$を通る傾き$t$の直線$ℓ$と原点を中心とする半径1の円$C$の点Aとは \ \ 異なる共有点Pの座標を求めよ. (2)\ \ 円$C$上に有理点($x座標もy座標も有理数$)が無限に多く存在することを示せ. \\ 円周上の有理点とピタゴラス数 \\   次を知識としてもっておくと,\ 問題の見通しがよくなることがある.   一般に,\ $中心が有理点の円周上}には,\ 有理点が無数に存在する} 有理点が全く存在しない} -.5zw}のどちらかである.}$  (1)\ \ 直線$ℓ$の方程式は $y=t(x+1)$ 円$x^2+y^2=1$と連立すると   (2)\ \ $t$が有理数のとき,\ (1)よりP$(x,\ y)$は有理点である. 直線$ℓ$の有理数の傾き$t$は無数に存在}し,\ 図より傾きが異なると点Pの座標も異なる. よって,\ それに対応して,\ 円$C}$上の有理点は無限に多く存在する.} \\\ 厳密には数II}:図形と方程式の問題だが,\ 未学習でも理解できないものではない. とりあえず,\ 図形と方程式で学習する公式を2つ紹介する.  ①\ \ 1点(x_1,\ y_1)を通る傾きmの直線の方程式 y-y_1=m(x-x_1)  ②\ \ 中心(a,\ b),\ 半径rの円の方程式 (x-a)^2+(y-b)^2=r^2 直線については公式を使わずとも,\ y=tx+bとして中学生的に求められる. 直線と円の方程式を連立することにより,\ 共有点の座標を求めることができる. x^2+y^2=1にy=t(x+1)を代入してyを消去すればよい. 一見複雑なxの2次方程式となるが,\ うまく因数分解でき,\ 割と容易にxの値が求まる. そもそも,\ 点A}自体が直線\,ℓ\,と円Cの共有点}である. よって,\ 当然x=-\,1を解にもつ,\ つまりはx+1を因数にもつわけである. rが有理数のとき,\ x^2+y^2=r^2\,上には明らかな有理点(±\,r,\ 0),\ (0,\ ±\,r)が存在する. 有理点が1点でもあれば,\,その点を通る傾きが有理数の直線との交点として無数の有理点が見つかる.} よって,\ 円x^2+y^2=r^2\ (r:有理数)上の有理点は無数に存在する. rが有理数でない場合は単純ではない. 例えば,\ x^2+y^2=(√2\,)^2\,上には,\ (±\,1,\ ±\,1)など有理点が無数に存在する. しかし,\ x^2+y^2=(√3\,)^2\,上には,\ 有理点が全く存在しない(下で証明).   $t$は有理数であるから,\ $t= nm\ (n,\ m:互いに素な整数,\ m≠0)}$とおくと   よって $(m^2-n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2$   これは,\ $a^2+b^2=c^2$を満たす整数$a,\ b,\ c$が次のように表せることを意味する. $(a,\ b,\ c)=(m^2-n^2,\ 2mn,\ m^2+n^2)$}   こうして,\ 単位円上の有理点から前項で紹介したピタゴラス数の生成公式が導かれる.   そもそも,\ $a^2+b^2=c^2$を変形すると$ ac^2+ bc^2=1$となる.   つまり,\ 以下の[1]と[2]は同じことである.    [1]\ \ $a^2+b^2=c^2\,の整数解を求める(ピタゴラス数を求める).$    [2]\ \ $単位円上の有理点 ac,\ bcを求める.$ a,\ b,\ c,\ dを整数,\ aとb,\ cとdはそれぞれ互いに素,\ b>0,\ d>0$とする. $ ab+ cd$が整数となるための必要十分条件が$b=d$かつ$a+cがb$の倍数であること を示せ.  $\left[\, ab+ cd\,が整数\ ⇒\ b=d\ かつ\ a+cがbの倍数}\,\right]$   $N$を整数として,[.2zh] 以下は整数問題ではよくある流れであり,\ 慣れていれば自然に証明できる. まず,\ 自分で文字で設定して条件を数式で表現する. 次に,\ 共通因数をもつものをまとめて両辺を積の形にして,\ 倍数・約数条件を考える.} ここで,\ 「\,aとbが互いに素のとき,\ anがbの倍数ならばnがbの倍数}」を利用する(無断使用可). あえて分母を完全にはらわず,\ (分数)=(整数)にして倍数・約数条件を考える}手法も重要である.  ad}{b}=dN-c\ において,\ 右辺が整数なので左辺も整数である.  aとbは互いに素であるから,\ dはbの倍数である. \Longleftarrow の証明は容易である. aとb,\ cとdはそれぞれ互いに素であるから,\ ab\,と\, cd\,は既約分数である. 本問から,\ 2つの既約分数の和が整数となるとき,\ その2つの分数の分母は等しい}ことがわかる. なお,\ 3つ以上の既約分数に対しては成り立たない. $a,\ bを整数とする.\ a^2+b^2\,が3の倍数ならば,\ a,\ bはともに3の倍数であることを$ \ \ 示せ. (2)\ \ 円$x^2+y^2=3$上に有理点が存在しないことを示せ. \\ 一般に,\ 整数$n$に対して $n≡0のときn^2≡0,\ \ n≡±\,1のときn^2≡1\ ±od3$ $a,\ b$の少なくとも1つが3の倍数でないと仮定}すると $a^2+b^2≡1,\ 2±od3}$ これは,\ $a^2+b^2≡0±od3$であることに矛盾}する. よって,\ $a,\ bはともに3の倍数である.}$  (2)\ \ 円$x^2+y^2=3$上に有理点$(x,\ y)$が存在すると仮定}する. 和が整数より,\ $x= ac,\ y= bc\ (a,\ b,\ c:整数,\ c≠0,\ a,\ bはcと互いに素)}$とおける. $ ac^2+ bc^2=3$より $a^2+b^2=3c^2}$ $a^2+b^2$は3の倍数であるから,\ (1)より$a,\ bはともに3の倍数$である. よって,\ $a=3k,\ b=3l\ (k,\ l:整数)$とおける. $(3k)^2+(3l)^2=3c^2$\ より $3(k^2+l^2)=c^2$ ゆえに,\ $c^2$は3の倍数である.\ さらに,\ 3は素数であるから,\ $c$は3の倍数である. これは,\ $a,\ b$が$c$と互いに素であることに矛盾}する. ∴\ \ 円x^2+y^2=3上に有理点は存在しない.}$} 有理点が無限に多く存在することの証明は,\ 図形的に考えると簡潔に済んだ. 有理点が存在しないことの証明は,\ 整数問題として数式的に考えて行う. (1)\ \ まず,\ 一般に nは3の倍数 & ⇔\ n^2\,は3の倍数 nは3の倍数でない & ⇔\ n^2\,は3で割ると1余る数 }であることを示す. [-.3zh] \ \ これは,\ 合同式を用いると簡潔に示せるのであった. \ \ 本題を背理法}(結論の否定を仮定して矛盾を示す)で証明する. \ \ a,\ bの少なくとも1つが3の倍数でないとき,\ (a^2,\,b^2)≡(1,\,0),\ (0,\,1),\ (1,\,1)±od3である. \ \ ここから,\ 両辺の余りの不一致という矛盾}が導かれる. (2)\ \ 背理法}を用いて証明する.\ このとき,\ 有理数を文字で設定することになる \ \ 有理数とは,\ (整数)}{(0でない整数)\,で表せる数のことである. \ \ 既約分数(分子と分母は互いに素)}で設定すると,\ 約分の可能性など余計な考慮をせずに済む. \ \ 特に背理法を利用する場合,\ 互いに素という設定と矛盾が生じる}ことが多い. \ \ 前問を考慮すると,\ x= ab,\ y= cd\,とせずとも3文字で設定できる}のがポイントである. \ \ 実際には,\ 和が整数のとき分母が等しくなることを記述試験で無断使用してよいかは微妙である. \ \ 分母をはらうと整数問題に帰着し,\ (1)を利用すると自然な流れで矛盾を示すことができる. \ \ x^2+y^2=3上の有理点を求めることは,\ a^2+b^2=3c^2\,の整数解を求めることと同じなのである. \ \ 「\,n^2\,が\dot{素}\dot{数}\,pの倍数ならばnがpの倍数}」は無断使用してよいが,\ pが素数であることは断る. \ \ pが素数でない場合,\ 「\,n^2\,が4の倍数ならばnが4の倍数」などは成り立たない(n=2).