図のような格子状の道路があり,\ A点からB点へ最短距離で移動するものとする.
このとき,\ (1)\,~\,(4)の確率を,\ [1]と[2]のそれぞれの条件のもとで求めよ.
[1]\ \ コイン1枚を投げて,\ 表が出たら上に1区画,\ 裏が出たら右に1区画進む.
\ \ ただし,\ 一方向しか進めない場合はその方向に確率1で進む.
[2]\ \ AからBまでの最短経路を等確率で1つ選んで進む.
(1)\ \ 赤線のルートで移動する確率
(2)\ \ 青線のルートで移動する確率
(3)\ \ 点Pを通る確率
(4)\ \ S君とT君がそれぞれA点,\ B点を同時に出発し,\ 最短経路かつ同じ速さで
それぞれB点,\ A点に向かうとき,\ S君とT君が途中で出会う確率を求めよ.
(1)\ \ 本問は,\ A\,→\,B}の最短経路\,8!}{3!5!}=56\,通りの内の1通りなので\,1}{56}\,とする間違い}が多発する.
\ \ これが間違いである理由は,\ [1]の条件のときは56通りが同様に確からしくない}からである.
\ \ 実際,\ [1]の場合,\ どのタイミングで突き当たるかによって確率が変わってくる.}
\ \ 突き当たった後の経路は一択になるからである.
\ \ 各回の試行は独立であるから,\ 1回ごとの確率の積として求めることになる.
(3)\ \ Pまでは↑2回,\ →\,3回進めばよく,\,どの交差点でも2択で1回ごとの確率は常に\,12\,である.
\ \ よって,\,反復試行の公式}で求められる.\ \ C52\,通りの経路すべてが等確率12^5というわけである.
\ \ 後はP\,→\,B}の確率である.\ 単純には,\ どこで突き当たるかで場合分けしようと思うかもしれない.
\ \ しかし,\ [1]のルールでは必ずbf Bに到達する}から,\ 考えるまでもなくP\,→\,B}の確率は1}である.
\ \ 一応確認しておくと,\ 以下の3つの場合の和なので,\
\ \ 場合の数分野と同様,\ 各交差点までの確率を書き込んでいく最終手段}も重要である(右図).
\ \ ただし,\ 場合の数とは異なり,\ 単に左と下の確率を足せばよいわけではないことに注意する.
\ \ 例えば,\ 点bf Pには左と下からそれぞれ\,12\,の確率で移動してくるので,\ これを掛けてから足す.
\ \ 当然,\ 突き当たりの交差点から移動してくる場合には\,12\,を掛けてはならない.
\ \ このようにして左下から順番に書き込んでいくと,\ 点B}までの確率は必然的に\,128}{128}=1となる.
2人が出会うのは下図のK点,\ L点,\ M点,\ N点のいずれかである.
まずは2人がどの地点で出会うかを確認する.
A点から出発する S君は,\ コインをn回投げたとき,\ n番目の斜線上のどこかの点にいる.}
B点から出発する T君についても同様であるから,\ 2人が出会う可能性があるのは4点である.
「 K点で出会う」は,\ 「S君がA\,→\,K\,→\,BかつT君がB\,→\,K\,→\,A}」である.
ただし,\ S君のK\,→\,BとT君のK\,→\,A}の確率は1であり,\ 実質無視できる.
結局,\ 対称性}も考慮すると,\ 求める必要があるのは4ルート(A\,→\,K,\ L,\ M,\ N})の確率である.
A\,→\,K}の確率は,\ 突き当たるか否かで場合分けを要する(A\,→\,k_1\,→\,KとA\,→\,k_2\,→\,K}).
最後,\ (K点で出会う)+(L点で出会う)+(M点で出会う)+(N点で出会う)}を計算すればよい.
最短経路の1つ1つが同様に確からしい}のが[2]である.
よって,\ 単純に\,(条件を満たす最短経路の数)}{(最短経路の総数)}\,を求めればよい.
縦m区画,\ 横n区画の最短経路の総数は,\ (m+n)!}{m! n!\,で求められるのであった.
これは,\ m個の↑とn個の\,→\,の順列(同じモノを含む順列)の総数である.
図のような格子状の道路があり,\ A点からB点へ最短距離で移動するものとする.
コイン1枚を投げて,\ 表が出たら上に1区画,\ 裏が出たら右に1区画進む.
ただし,\ その方向に進めない場合は交差点に留まるものとする.
(1)\ \ コインを8回投げて,\ P点を経由してB点に到達する確率を求めよ.
(2)\ \ コインをちょうど10回投げて,\ P点を経由してB点に到達する確率を求めよ. \\
(2)\ \ P点到達後にコインを5回投げてC点,\ D点(下図)の内の一方に到達}すればよい.
(1)\ \ 前問とは異なり,\ 進めない場合にはその場に留まる}ことに注意する.
\ \ 突き当たった後も Bの方向に進む確率は\,12\,なので,\ 場合分けをする必要がなくなる.
\ \ その一方,\ 必ず Bに到達するとは言えなくなるので,\ P\,→\,Bの確率は1ではなくなる.}
\ \ 8回で Bに到達するには停滞なく進む必要があるから,\ 表と裏の回数はすぐにわかる.
(2)\ \ 最後の1回を分けて考える.}
\ \ ちょうど10回で Bに到達するとき,\ 9回の時点でCかD}にいる}はずである.
\ \ A\,→\,P}で停滞する可能性はないので,\ P\,→\,CかP\,→\,D}のどこかで2回停滞する}必要がある.
\ \ 停滞が絡むと面倒になりそうに思えるが,\ 場合分けする必要もない.
\ \ P\,→\,C}では,\ 停滞するならば一番上の道路にいるときに表(↑)が出るパターンしかない.
\ \ よって,\ 表を2回プラスすれば済む.\ \ 同様に考えると,\ P\,→\,D}では裏を2回プラスすれば済む.
\ \ A\,→\,P}は(1)より\,38,\ C\,→\,B,\ D\,→\,B}はいずれも\,12\,である.
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