確率の乗法定理とくじ引きの確率

10本のくじの中に当たりくじが3本ある.\ 一度引いたくじは戻さない ものとする. 2人A,\ Bが続けて引くとき,\ A,\ Bともに当たる確率を求めよ. 2人A,\ Bが続けて引くとき,\ Bが当たる確率を求めよ. 2人A,\ Bが続けて引き,\ 少なくとも1人が当たった.\ さらにCが 続けて引くとき,\ Cが当たる確率を求めよ.  条件付き確率の定義式$P_A(B)={P(A B)}{P(A)}$を変形すると  これを確率の乗法定理という.  2人のくじの引き方は$P10}{2}$通りが同様に確からしい.} このうち,\ 2人とも当たる引き方は$P32$通りあるAが当たる確率は${3}{10}$である. また,\ Aが当たったという条件のもとでBが当たる確率は$29$}である. 確率の基本通り,\ 10本のくじを全て区別して場合の数の比を考えると本解となる. しかし,\ 本解のように求める人は少ないのではないだろうか. 別解のように求めるほうが自然でわかりやすい. 「A}が当たる」という事象をA,\ 「B}が当たる」という事象をBとする. 確率の乗法定理\ P(A B)=P(A)P_A(B)\ を適用して求めたわけである. これを特別に意識せずに,\ 普通に別解のように考えて求める人が多いだろう. この計算が最初から自然で当たり前だと思えるなら,\ それで何ら問題はない. 結局,\ 確率の乗法定理は目新しく重要な関係式というわけではない. 今まで普通に行ってきた計算が実は確率の乗法定理だっただけである. Aが当たりBも当たる場合}とAがはずれBが当たる場合}が排反}である.Bのくじの引き方は10通りが同様に確からしい 本解は排反な場合分けをする一般的な解法である. この結果から,\ Aが当たる確率とB}が当たる確率はどちらも\ {3}{10}\ であるとわかる. これはたまたまではなく,\ {くじ引きで当たる確率は順番によらず一定}である. 単純に考えると,\ Aが最初にどのくじを引いたかがBの確率に影響しそうである.} 実際,\ 確率は情報を得るごとに変化するのであった.\ それが条件付き確率である. 確かに,\ A}の当たりはずれの情報を得た後は,\ B}の確率は影響を受け変化する. しかし,\ A}に関して何の情報も得ていない時点での{Bが当たる確率が題意である. {まだ誰もくじを引いていない時点でのBが当たる確率}と考えてもよい. Bのみのくじの引き方に着目}し,\ 誰も引いていない時点でのBの確率を考える.} 誰も引いていない時点では,\ B}は10本のうちのどれかを引く可能性がある.} そして,\ 10本のくじは対等であるから,\ {どのくじを引く可能性も同じ}だけある. くじを引く可能性が高く,\ くじを引く可能性が低いなどということはない. よって,\ {どれかのくじを引く10通りが同様に確からしく,\ これを全事象とする.} こう考えると,\ 何番目でも同じ確率となるのは当然のように思えてくるだろう. まだ納得できない人は,\ 次のような状況をイメージしてみるとよいかもしれない. 自分を含む10人が1人ずつ順番にくじを引いていく.\ 自分は何番目でもよい. ただし,\ 引いた後,\ {手を握ったままでくじの当たりはずれは確認しない}ものとする. つまり,\ {引きはしたが,\ 情報は何も得られていない}状態である. 10人が全員引き終わった時点で,\ 自分が当たっている確率を考えて欲しい. まだ誰が当たって誰がはずれたかという情報は何もない. 「自分は\ {3}{10}\ の確率で当たっているはず」と思えるのではないだろうか. 10人全員が同じように思っているはずである. ここで,\ 自分以外の1人が手を開くと,\ 当たっていることがわかった. この時点で,\ 自分が当たっている確率を再び考えて欲しい. 「自分にはまだ\ 29\ の確率で当たる可能性がある」と思えるはずである. 手を開いていない9人が同じように思っているだろう. このように,\ {くじ引きの確率は各人にとって対等}である. ただし,\ {誰かの情報を得るごとに,\ それに応じて残りの人の確率は変化する.} 情報を得て確定すると,\ その分{全事象が縮む}からである(条件付き確率). A,\ Bのうち少なくとも1人が当たる}確率は $1-{7}{10}{6}{9}={8}{15$ { }「当たりくじを引く」を「あ」,\ 「はずれくじを引く」を「は」で表す.求める条件付き確率は A,\ B}に関する情報を得た時点での確率であるから,\ {条件付き確率}の問題である. 「{A,\ B}の少なくとも1人が当たる」という事象をAとする. また,\ 「{C}が当たる」という事象をCとする. このとき,\ 求めるべきは\ P_A(C)\ となる. 条件付き確率は,\ 直接求めることが容易な場合はそうすればよい. {Aが当たったとき,\ B}も当たる条件付き確率が\ 29\ であることは容易にわかる. の別解との本解はこれを利用して求めたわけである. 求めることが容易でない場合,\ {条件付き確率の定義式にあてはめる}ことになる. つまり,\ (A,\ Bのうち少なくとも1人が当たり,\ Cも当たる確率)}{(A,\ Bのうち少なくとも1人が当たる確率)}\ を求める. 「A,\ B}のうち少なくとも1人が当たる」は「2人とも当たらない」の余事象である. 「A,\ Bのうち少なくとも1人が当たり,\ C}も当たる」は,\ 排反な3つの場合がある. {確率の乗法定理は3つ以上の事象に対しても同様に成立する.} よって,\ 普通にそれぞれを求めた後,\ 足し合わせればよい.
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