箱の中に1番からN番までの番号札が1枚ずつ合計N枚入っている.\ この箱から同$
$時に4枚の番号札を取り出す.\ この4枚の札の中で,\ 最小の番号が3である確率をP_N$
$とする.\ ただし,\ N≧6\ とする.$
$ (1)\ \ P_N$を求めよ.
$ (2)\ \ P_N$を最大にする$N$とその最大値を求めよ. 確率の一般項$P_n}$の最大値・最小値}3以外の3枚の札を,\ 4番からN番のN-3枚の中から取り出す確率}である.$
(1)\ \ 3番(最小となる番号札)を選ぶことが確定済みなので,\ 残りの3枚を選べばよい.
\ \ 4番からN番まではN-4枚ではないので注意!\ (N-4とすると4番も除かれてしまう)
(2)\ \ もはや数 B:数列の問題であるが,\ 数列を学習済みである必要はない.
\ \ 一般に,\ 数列P_N\,の最大・最小は,\ 隣り合う項P_N\,とP_{N+1}\,の大小関係を考えて求める.}
\ \ つまり,\ P_{N+1}\gtreqqless P_{N}\,となる整数Nの範囲を調べると,\ P_N\,の最大・最小が求まる.
\ \ 2つの方法「差P_{N+1}-P_N\gtreqqless0\,を考える}」「比\,P_{N+1{P_N}\gtreqqless1\,を考える}」がある.
\ \ P_{N+1}\gtreqqless P_N\ ⇔\ P_{N+1}-P_N\gtreqqless0}\ ⇔\ P_{N+1{P_N}\gtreqqless1}\ (P_N>0)\ を利用するわけである.
\ \ なお,\ P_{N+1}\,は,\ P_N\,のNにN+1を代入して得られる.
\ \ $4(N-4)}{(N+1)N(N-1)(N-2)}>0\ (N≧6)より,\,P_{N+1}-P_N\,の正負は11-Nの正負と等しい.}$
\ \ こうして,\ Nの値によってP_{N}\,とP_{N+1}\,の大小関係がどのように変化するかが求められる.
\ \ N≦10,\ つまりN=6,\ 7,\ 8,\ 9,\ 10のときP_NP_{N+1}\,の場合も合わせると,\ P_N\,の最大が一目瞭然となる.
\ \ しかし,\ 本問のようにP_N\,が最大をとるNが2つあるような場合,\ 一方を見落とすミスが多い.}
\ \ P_N=P_{N+1}\,の場合の考慮を忘れない}ように注意してほしい.
\ \ 比を考える場合も基本的な流れは同じである(別解).
\ \ ただし,\ 一般項P_N\,が0や負になりうる数列に対しては,\ 安易に比を考えてはならない.}
\ \ 分母が0になることは許されないし,\ 負の分母をはらうと大小関係が逆転する.
\ \ 確率の数列に限れば,\ 常に\,0≦ P_N≦1\,が確実ではあるが,\ P_N=0には注意が必要である.
\ \ そこで,\ 常にP_N=4(N-4)(N-5)}{N(N-1)(N-2)}>0\ (N≧6)であることを確認したわけである.
\ \ 一般項P_N\,が積・商の形の場合,\ 比を考えると約分で式が簡単になる}メリットがある.
\ \ 一方で,\ 以下のように分母をはらって不等式を解く必要があり,\ 分母の正負にも注意を要する. \サイコロを50回投げるとき,\ 1の目が何回出る確率が最大となるか.$ \\
1の目が$k$回出る確率を$P_k$\ $(1≦ k≦50)$とすると
まずは,\ 1の目が出る回数を文字でおき,\ その確率を求める.
基本的な反復試行の確率}である.\ \ 1回の試行で事象Aの起こる確率をpとする.
試行をn回繰り返すとき,\ 事象Aがr回起こる確率は C nrp^r(1-p)^{n-r}
後は,\ 前問と同様,\ 隣り合う項の差または比を考えてP_{k}\,とP_{k+1}\,の大小関係を求めればよい.
本問の最大のポイントは,\ そもそも差や比の計算ができるかにある.
指数計算はともかく,\ C nr\,の計算にはかなりの慣れを要する.
C nr\,においてrに文字を含むとき,\ 階乗で表して計算せざるを得ない.}
差で考える場合,\ C{50}{k+1}\,と\,C{50}{k}\,を階乗で表し,\ 共通因数をくくり出す}(本解). わかりにくければ,\ 具体的な数値で考えてみる.
一般に,\ 指数が小さい方をくくり出せる.
後は,\ 括弧内を通分して整理する.\ \ 1≦ k≦50のとき分母は正なので,\ 分子のみで正負が決まる.}
本問の場合,\ P_{k+1}=P_k\,となるような整数kは存在しない.
比で考える場合,\ C{50}{k+1}\,と\,C{50}{k}\,を階乗で表し,\ 約分する}(別解).