1回の試合でAが勝つ確率が$13$であるとき,\ 次の確率を求めよ.
(1)\ \ Aが1勝した時点で終了するとき,\ $n$回以内の試合で終了する確率
(2)\ \ Aが3勝した時点で終了するとき,\ $n$回以内の試合で終了する確率 \\
反復試行の確率($n}$回以内に$k}$回勝つ) \\
(1)\ \ 余事象はAが$n$回目の試合まで全敗する事象}であるから
試合回数で場合分けして直接的に求める(数列の知識が必要)
直接的に求めようとすると面倒だが(別解),\ 余事象を利用する}とあっさりと解決する.
余事象は「\,n回以内で終了しない」,\ 言い換えると「\,n回でAが0勝」}である.
本問は,\ パターン暗記ではなく,\ 初見で余事象の利用に気付いて解けるかが重要である.
常に余事象の利用を意識しているかどうかが問われるわけである.
別解は,\ (1回で終了)+(2回で終了)+・・・+(n回で終了)}を計算するものである.
n回で終了する場合は,\ n-1回連続負けて最後の1回だけ勝つ確率を求めることになる.
立式自体は簡単だが,\ 問題はその後の計算である.
nが具体的な数字ならばゴリ押しも可能だが,\ 文字nがあるので数 B:数列の知識を要する.
初項a,\ 公比r,\ 項数nの等比数列の和 a(1-r^n)}{1-r}\ \ (r≠1)
余事象はAが$n$回目の試合までに0\,~\,2勝する事象}であるから,
終了までに少なくとも3回は試合することになるので,\ n≧3}として立式する.
指数計算は厳密には数II}の学習内容だが,\ 意味合いを理解していれば数II}を未学習でも対応できる.
a^n\,はaをn個掛けたものである. a^n=\underbrace{a× a× a×\ ・・・\ × a}_{n個}
よって,\ 指数計算は結局aを何個掛けたものになるか}を考えればよい.
\rei\ \ a^3× a^2=(aaa)×(aa)=a^{3+2}=a^5,\ \ a^3÷ a^2=(aaa)÷(aa)=a^{3-2}=a^1
本問では,\ 3^2×3^{n-2}=3^{2+(n-2)}=3^n,\ \ 2^{n-2}÷2=2^{(n-2)-1}=2^{n-3}\ と計算できる.
また,\ 分数をまとめると分子は\ 2^n+n・2^{n-1}+n(n-1)・2^{n-3}\ となる.
この場合,\ 一番指数部分が小さい2^{n-3}\,をくくり出す}ことができる.
2^6+2^5+2^3=2^3(2^3+2^2+1)\ と同様に,\ 2^n+2^{n-1}+2^{n-3}=2^{n-3}(2^3+2^2+1)である.
自然数nの問題では,\ nに簡単な数字を代入して検算する癖をつけておく}ことが重要である.
3回で終了するのは Aが3連勝する場合であるから,\ その確率は\,13^3=1}{27}\,である.
n=3を代入してみると確かに\ 1-26}{27}=1}{27}\,となる.\ なお,\ a^0=1とする決まりである(数II}).
n=1,\ 2の場合も考慮する.}\ 当然2回以内で終了する可能性はないから,\ その確率は0である.
求めたのはあくまでもn≧3の場合の式だが,\ 試しにn=1,\ 2を代入してみると0になる.
よって,\ n≧1の場合の式とすることができる.\ なお,\ a^{-n}=1}{a^n}\,とする決まりである(数試合回数で場合分けして直接的に求める(数列と微分の知識が必要;超上級者用)}\,
初項$x$,\ 公比$x$,\ 項数$n$の等比数列の和は
両辺を$x$で微分}すると {両辺を$x$で微分}すると
$n=1,\ 2$を代入すると0になるから,\ この式は$n=1,\ 2のときも成り立つ.}$ \
計算量が膨大で全く実戦向きではないが,\ 超上級者用の参考として一応大筋を示した.
数 B:数列に加え,\ 数III}の微分法の知識を要する.
Σを用いて表すと,\ いわゆる(2次式)×(等比)の和}に帰着する.
S-rSを2回計算して数 Bの範囲で求めることも可能だが,\ ここでは微分法を利用した.