有限小数と循環小数、既約分数が有限小数となるための条件

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実数の分類  $実数}\有理数}{有限小数} 小数第何位かまでで終わる小数  循環小数} 同じ列の数字が一定周期で循環する無限小数  無理数 循環しない無限小数\ 整数}{整数}\,で表せない     循環小数において,\ 循環する数字の列のうち最短のものを循環節という.   例えば,\ $0.222・・・$の循環節は2,\ \ $0.12345345345・・・$の循環節は345である. 循環小数は,\ 循環節の最初と最後の数字の上に・をつけて表す.  高校数学では,\ 有限小数と循環小数は別物で,\ 分数はどちらか一方のみに属する}という扱いである. しかし,\ 実は整数や有限小数は循環小数の一種とみなすこともできるので,\ 参考程度に述べておく. (理由1) 例えば,\ 1は1.000・・・=1.\dot{0}\,のように循環節が0の循環小数とみなすことができる. (理由2) 一般に1=0.999・・・=0.\dot{9}\,などが成り立つから,\ 有限小数は循環節9の循環小数で表せる. (理由2)} 0.\dot{9}\,は1より小さい数ではなく,\ 1そのものなのである. (理由2)} 数III}の知識があれば,\ 0.\dot{9}=0.9+0.09+0.009+・・・=0.9}{1-0.1}=1と証明できる. (理由3)\ \ 10進法で有限小数でも,\ 他の記数法で循環小数になることがある.\ その逆もある(別項). (理由2)} \rei\ \ 10進法での0.5\,は,\ 3進法で表すと0.\dot{1}\,である. 既約分数が有限小数となるための条件   整数でない既約分数$ mn$について \ 分母nの素因数が2,\ 5のみ}\   [\,$⇒$の証明}\,]    $n=2^p5^q}\ (\,p,\ q:0以上の整数,\ p^2+q^2≠0\,)$とおける.    $ mn=m}{2^p5^q=m・2^q5^p}{2^p5^q・2^q5^p}=m・2^q5^p}{10^{p+q$    $m・2^q5^p$は整数,\ $1}{10^{p+q$は有限小数}であるから,\ $ mn\,は有限小数}$である.   [\,$\Longleftarrow$の証明}\,]    既約分数$ mn$が小数第$k$位までの有限小数であるとする.    このとき,\ $ mn=m・10^k}{n}\,は整数}$である.    $m,\ n$は互いに素}であるから,\ $n$は$10^k=2^k・5^k$の約数}である.    つまり,\ 分母$n}$の素因数は2,\ 5のみ}である. \\ 既約分数が有限小数となるための条件は要暗記である. 記述試験で無断使用してもよいと思われるが,\ 中級者以上は証明も確認しておいてほしい. 対偶をとると,\ 分母nの素因数に2,\ 5以外のものがある\ ⇔\ 分数\, mn\,が循環小数}\ となる. 証明は以下の具体例を一般化しただけであり,\ そこまで難しくはない. \ 分母の素因数が2,\ 5のみならば,\ 分母分子に2や5の累乗数を掛けて分母を10の累乗数にできる. 分母が10の累乗数ということは有限小数ということである. p^2+q^2≠0は,\ pとqがともに0ではないことを意味する. 一般にa^0=1\ (数II})なので,\ p=q=0のときn=1となり,\ mn\,が分数ではなくなってしまう. \Longleftarrow の具体例  mn=0.23とすると\,100m}{n}=23=(整数)\,より,\ nは100=2^2・5^2\,の約数である. 既約分数なのでm,\ nは互いに素であり,\ nがmを割り切ることはない. bunsuu{7}{26}$を小数で表したとき,\ 小数第100位の数字を求めよ. (2)\ \ $137}{3125}$は小数第何位までの有限小数か. \\ (1)\ \ 筆算で割り算し,\ 分数を循環小数に変換する.\ 100を循環節の桁数で割ると4余る. \ \ 循環は小数第2位から始まるから,\ 小数第100位は循環節の3番目の数字}である. \ \  0.2\,|\,\underbrace{692307\,|\,692307\,|・・・\,|\,692307}_{6桁×16\,=\,96個}\,|\,692307 (2)\ \ 先程の証明と同様に,\ 分母分子に2,\ 5の累乗数を掛けて分母を10の累乗数にする}とよい. \ \ 念のため分子の一の位が0ではないことを確認し,\ 小数第何位までかが確定する. \ \ 有限小数とあるから分母の素因数は2,\ 5のみのはずで,\ 3125=5^5\,に気付くことは難しくない. \ \ 具体的には,\ 137}{3125}=4384}{10^5}=0.04384である. \ \ 分母が2^p5^q\,の分数を小数に変換する際には,\ この発想により割り算が掛け算に変わる. 3n$がちょうど小数第3位までの有限小数となるような自然数$n$をすべて求めよ. \\ bunsuu{3000}{n}=2^3・3・5^3}{n}$が一の位が0ではない自然数になる}ことが必要十分条件である. \dot{ち}\dot{ょ}\dot{う}\dot{ど}小数第3位までであるから,\ 3}{10}=0.3のように小数第1位までのものは含まない. よって,\ 3n=0.abc\ (c≠0)}となればよく,\ 両辺を1000倍すると 3000}{n}=abc=(自然数) 3000}{n}\,が自然数となるnを考えてもよいが,\ 先に\,3000}{n}\,のとりうる自然数を考える}方が楽である. 2^3・3・5^3\,の約数が候補だが,\ c≠0より,\ 2と5を両方素因数にもっているものは不適}である. ここに注意して\,3000}{n}\,のとりうる自然数をすべて書き出し,\ 対応するnを求めればよい. 場合の数を学習済みならば,\ 約数の個数を計算で求めることができ,\ 見落としが生じにくくなる. 2^3・3・5^2\,から素因数2を何個取り出せるかは,\ 0個,\ 1個,\ 2個,\ 3個の4通りがありえる. 同様に,\ 3は0個,\ 1個の2通り,\ 5は0個,\ 1個,\ 2個,\ 3個の4通りの取り出し方がある. よって,\ 2^3・3・5^3\,の約数の個数は 4・2・4=32\,個 一般に,\ p^aq^br^c\,と素因数分解できる自然数の正の約数の個数は(a+1)(b+1)(c+1)個である. $2,\ 5を少なくとも1個ずつ素因数にもつ約数を作るとき,\ 2,\ 5の取り出し方は1,\ 2,\ 3の3通りとなる.$} よって,\ 全部で32個ある約数のうち2と5を両方素因数にもつものは 3・2・3=18\,個 ゆえに,\ 条件を満たす自然数nは全部で32-18=14\,個}あるはずである. すべてのnについて具体的に小数を求めると以下となる. 12}{n}$が循環小数となるような2桁の自然数$n$は何個あるか. \\  $12=2^2・3$より,\ $n=2^p・3^q・5^r\ (\,p,\ q,\ r:0以上の整数\ ;\,q=0,\ 1)$}とおける.  $10≦ n≦99$に注意して$12}{n}$が整数または有限小数になるもの}をすべて書き出すと 循環小数(分母の素因数に2,\ 5以外のものがある)となるものの個数を直接求めるのは面倒である. 全体から整数と有限小数になるものを引く}のがよい. 有限小数になるための条件は,\ \uwave{既約分数にしたとき}の分母の素因数が2,\ 5のみである. 分子12が素因数3を1個もつから,\ 分母nは2,\ 5に加えて3を1個までならもっていてもよい.} 12}{n}\,が整数となる場合も含め,\ 2^p・3^q・5^r\ (q=0,\ 1)の形のnの個数を数えればよいとわかる. 本問の場合,\ n=2^2・3=12のときのみ\,12}{n}\,が整数となる.