自然数nに対し,\ 自然数a_n,\ b_n\,を(2+√3\,)^n=a_n+b_n√3\ となるように定める.$
\ \ $a_{n+1},\ b_{n+1}$を$a_n,\ b_n$を用いて表せ.
(2)\ \ $(2-√3\,)^n=a_n-b_n√3\ と表せることを示せ.$
(3)\ \ $数列\suuretu{a_n},\ \suuretu{b_n}の一般項を求めよ.$
(4)\ \ ${a_n}^2-1\ が3の倍数であることを示せ.$
(5)\ \ $ある自然数mを用いて,\ (2±√3\,)^n=√ m±√{m-1}\ と表せることを示せ.$
(6)\ \ $(2+√3\,)^n\ の整数部分が奇数であることを示せ.$ \\
$(a±√ b\,)^n\,の共役性と漸化式}$ \\
共役性 $a,\ bが自然数のとき,\ (a±√ b\,)^n=A± B√ b\ \ (A,\ Bは自然数)\ と表せる.$
有名問題であり,\ 共役性を生かした特有の解法がある.
ゴリ押しは厳しいので,\ 経験の有無が大きな差になる.
なお,\ 数Bの数列を学習済みであることを前提とする. a_{n+1},\ b_{n+1},\ a_n,\ b_n$は自然数(有理数),\ $√3$は無理数である.
常に誘導があるとは限らないので,\ 漸化式を作成するという特有の解法をパターン暗記すべき}である.
a_{n+1}+b_{n+1}√3=(2+√3\,)^{n+1},\ a_n+b_n√3=(2+√3\,)^n\ からa_{n+1},\ b_{n+1}\,と\ a_n,\ b_n\,の関係を出す.
a_{n+1},\ b_{n+1}\ をa_n,\ b_nで表した後,\ √3\ について整理し,\ 係数を比較}すればよい.
このとき,\ 次を利用することになる.
a,\ b,\ c,\ dが有理数,\ √ k\,が無理数のとき a+b√ k=c+d√ k\ ⇔\ a=c\ かつ\ b=d}
前提条件を確認したことに記述がなければ減点対象になるので注意してほしい.
$\{a_n-b_n√3\,\}は,\ 初項2-√3,\ 公比2-√3\ の等比数列}である.$
a_{n+1}-b_{n+1}√3\ を計算する.
漸化式を適用後にa_n,\ b_n\,について整理}すると,\ うまく因数分解でき,\ a_n-b_n√3\,が表れる.}
a_n-b_n√3=c_n\,とおくとc_{n+1}=(2-√3\,)c_n\,となるから,\ これは等比数列型漸化式}である.
共役な2式をa_n\,とb_n\,の連立方程式とみて解くと容易に求められる.
(1)で求めた連立漸化式を解いても求まるが,\ 大変である.
一般項はかなり複雑な見た目をしているが,\ 当然このa_n,\ b_n\,は自然数}である.
∴ b_n\,は自然数であるから,\ {a_n}^2-1\ は3の倍数}である.$}
{a_n}^2\,を作り出すために共役な2式の両辺を掛ける}と証明できる.
不定方程式x^2-Dy^2=±\,1\ (x,\ y:整数,\ D:平方数ではない自然数)をペル方程式}という.
{a_n}^2-3{b_n}^2=1は,\ (a_n,\ b_n)がペル方程式x^2-3y^2=1の自然数解}であることを意味している.
ペル方程式については,\ 次項で詳しく紹介する.
言われれば単純だが,\ 初見では難問である.
(4)で導かれた等式{a_n}^2-3{b_n}^2=1を用いてb_n\,を消去し,\ {a_n}^2\,をmに置き換えればよい.
整数部分は奇数である.
共役な2式の両辺を足す}と証明できる.\ \ (3)の①+②より,\ (2+√3\,)^n\ をa_nで表せる.
すると,\ (2+√3\,)^n\,が,\ 偶数である2a_nから1未満の正数を引いたもの}であるとわかる.
つまり,\ (2+√3\,)^n\,の整数部分は奇数である.\ 例えば,\ 2-0.4=1.6の整数部分は奇数である.