最大公約数} 2つ以上の整数に共通する約数の中で最大の数}最小公倍数} 2つ以上の整数に共通する倍数の中で最小の\dot{正}数$ \最大公約数と最小公倍数に関する定理すべての公倍数は最小公倍数の倍数である.すべての公約数は最大公約数の約数である.
例えば,\ 2と3の公倍数には-6,\ -\,12,\ ・・・\ などがあるので,\ キリがない.
そこで,\ 最小公倍数は正の数に限定している.\ 最大公約数は自動的に正の数になる.
なお,\ 1つでも0を含むときは公倍数が0になるので,\ この場合の最小公倍数を0と定める.
定理[1],\ [2]は高校数学では自明としてよいが,\ よく知られた証明を示しておく.
上級者以外はスルーしてよい.\ なお,\ 除法の原理を前提とする.
[1]\ \ a,\ b,\ c,\,・・・\,の最小公倍数をl,\,任意の公倍数をm,\,mをlで割ったときの商をq,\,余りをrとする.
\ \ l,\ mはaの倍数であるから,\ l=al’,\ m=am’\ (l’,\ m’は整数)とおける.
\ \ r=m-ql=am’-qal’=a(m’-ql’)\ より,\ rもaの倍数である.
\ \ 同様に,\ rはb,\ c,\ ・・・\ の倍数である.\ つまり,\ rはa,\ b,\ c,\ ・・・\ の公倍数である. およびlが最小の\dot{正}の公倍数であることから,\ r=0である.
\ \ よって,\ m-ql=0よりm=ql,\ つまりmはlの倍数である.
[2]\ \ a,\ b,\ c,\ ・・・\ の最大公約数をg,\ 任意の公約数をdとする.
\ \ lをgとdの最小公倍数とすると,\ aはgとdの公倍数であるから,\ [1]よりaはlの倍数である.
\ \ 同様に,\ b,\ c,\ ・・・\ はlの倍数である.\ つまり,\ lはa,\ b,\ c,\ ・・・\ の公約数である.
\ \ gは最大公約数であるから g≧ l
\ \ 一方,\ lはgとdの最小公倍数であったから g≦ l
\ \ よって,\ g=lより,\ gはdの倍数である.\ つまり,\ dはgの約数である.
次の数の組の最大公約数と最小公倍数を求めよ.
中学までに筆算での求め方を習ったかもしれないが,\ 応用性に欠ける.
高校数学では,\ 素因数分解}して求めるのが基本となる.
最大公約数は,\ 共通する素因数をすべて取り出して掛ける}と得られる.
(1)\ \ 2を2個と3を1個取り出せば,\ それ以外に共通する素因数はない.
(2)\ \ 3数の場合,\ 3数に共通する素因数をすべて取り出す.
最小公倍数は,\ 2数の構成に最低限必要な素因数をすべて掛け合わせる}と得られる.
132の倍数になるには,\ 最低でも2が2個,\ 3が1個,\ 11が1個必要である.
360の倍数になるには,\ 最低でも2が3個,\ 3が2個,\ 5が1個必要である.
両方の倍数になるには,\ 最低でも2が3個,\ 3が2個,\ 5が1個,\ 11が1個必要であるとわかる.
3数以上の場合も同様である.
のいずれに掛けても積が自然数となるような最小の分数を求めよ. \\
分母が21と28の最大公約数},\ 分子が10と15の最小公倍数}であればよい.
求める分数を\, ba\ (既約分数)とおき,\ 21}{10}・ ba,\ 28}{15}・ ba\ が共に自然数となる条件を考えよう.
自然数になるということは,\ 分母が約分によって消えなければならないということである.
つまり,\ 分母aは21と28の公約数でなければならない.
また,\ 分子bは元からある分母10と15を約分によって消してしまえる数でなければならない.
つまり,\ 分子bは10と15の公倍数でなければならない.
さらに,\ 分母aが最大,\ 分子bが最小のとき,\ 分数\, ba\,が最小}となることを考慮すると求められる.
21=3・7,\ 28=2^2・7より最大公約数7,\ \ 10=2・5,\ 15=3・5より最小公倍数}縦245\,cm,\ 横420\,cmの床を同じ大きさのできる限り大きい正方形のタイルですき間な
く敷き詰める.\ \,1辺の長さが何cmのタイルを縦と横にそれぞれ何個ずつ敷き詰めるこ \\
正方形のタイルの1辺の長さをxとする.
すき間なく敷き詰めるには,\ 245と420がいずれもxの整数倍にならなければならない.
逆に言えば,\ xは245と420の公約数でなければならない.
できる限り大きいタイルであるから,\ 最大公約数を求めることになる.
縦横何個ずつかを求めるとき,\ 245と420が素因数分解済みならばそれを利用すると速い.
245=5・7^2=35・7,\ \ 420=2^2・3・5・7=12・35
なお,\ 本問および以下の問題は中学数学の範疇である.
縦42\,cm,\ 横54\,cmのタイルをすき間なくすべて同じ向きに並べて,\ できる限り小さい
正方形を作る.\ \,1辺の長さは何cmになるか.\ また,\ 全部で何枚のタイルが必要か. \\
正方形の1辺の長さをxとする.
すき間なく並べて正方形を作るとき,\ xは42と54の整数倍,\ つまりは公倍数となるはずである.
できる限り小さい正方形であるから,\ 最小公倍数を求めることになる.
タイルの枚数を求めるとき,\ 42と54が素因数分解済みならば,\ 以下のように考えるのが本質的ある. \\リンゴ87個とミカン125個を何人かの子供にできる限り多く均等に配ったところ,
それぞれ3個,\ 5個余った.\ 考えられる子供の人数をすべて求めよ.
余った分を引いて,\ 実際に配られた個数で考える.}
均等に配ったのであるから,\ 84と120がいずれも子供の人数の整数倍になっているはずである.
逆に言えば,\ 子供の人数は84と120の公約数のはずである.
すべての公約数は最大公約数の約数}であるから,\ まず最大公約数を求めるとよい.
12の正の約数は1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 6,\ 12だが,\ これらすべてが答えになるわけではないことに注意する.
「\,できる限り多く配って5個余った」ということは,\ 最低でも子供は6人いた}はずだからである.
6人に配るとき リンゴは14個ずつ,\ \ ミカンは20個ずつ.
12人に配るとき リンゴは7個ずつ,\ \ ミカンは10個ずつ.