x軸上を動く点Pがあり,\ 最初原点の位置にある.\ \ 1個のサイコロを繰り返し振り,\
4以下の目が出ると正の向きの1進み,\ 5または6の目が出ると正の向きに2進むとき,\
点Pが$x=n$に止まる確率$p_n$を求めよ.\ ただし,\ $n$は自然数とする. \\
隣接3項間確率漸化式 \\
点Pが$x=n+2$に止まる場合は以下の2つがあり, 互いに排反である.
[1]\ \ 直前に$x=n+1$に止まっていて,\ 4以下の目が出る.}
[2]\ \ 直前に$x=n$に止まっていて,\ 5または6の目が出る.}
点Pが$x=n+2$に止まる場合は以下の2つがあり,\ 互いに排反である.
[1]\ \ 最初に4以下の目が出て,\ 点1から$n+1$進んだ点に止まる.}
[2]\ \ 最初に5または6の目が出て,\ 点2から$n$進んだ点に止まる.}
点Pが$x=n+1$に止まる場合は以下の2つの場合があり,\ 互いに排反である.
[1]\ \ $x=n$に止まり,\ $x=n+1$に止まる.}
[2]\ \ $x=n$に止まらず,\ $x=n+1$に止まる.}
本問は,\ 複数の状態を行き来する問題ではない.
しかし,\ 同じ試行の繰り返しで,\ ある回のx座標は直前のx座標によってのみ決まる.}
よって,\ 漸化式の作成が有効である.
ただし,\ 直前のx座標が2通りあるため,\ 3項間の漸化式を作成する}ことになる.
なお,\ 本問のnは回数ではないことに注意する.
p_n\,は,\ 何回目かは不明だが,\ x=nに止まる確率である.
3項間の確率漸化式の作成は,\ 最後の1回か最初の1回で排反に場合分けをする}のが基本である.
本解は最後の1回,\ 別解1は最初の1回で場合分けをするものである.
本問ではどちらの手法も同じようなものだが,\ 問題によっては大きく違ってくる.
隣接3項間型漸化式a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0}は,\ やや難易度が高い部類の漸化式である.
しかし,\ 誘導なしで出題されることが多いので,\ 解法の習得が必須である.
まず,\ a_{n+2}=x^2,\ a_{n+1}=x,\ a_n=1とした特性方程式x^2+px+q=0を解く.
これの2つの解を特殊解\,α,\ β\,とする.
このとき,\ 2つの等比数列型漸化式\
a_{n+2}-α a_{n+1}=β(a_{n+1}-α a_n)
a_{n+2}-β a_{n+1}=α(a_{n+1}-β a_n)
}-1zw}を作成できる. [-.8zh]
それぞれの漸化式を解き,\ 2式からa_{n+1}\,を消去するとa_n\,が求まる.
特性方程式\ x^2-23x-13=0より (3x+1)(x-1)=0 ∴\ \ x=-13,\ 1
p_2\,は,\ 最初に4以下の目が2回出る場合と最初に5または6の目が1回出る場合がある.
別解1では,\ 初期位置によらず,\ n進んだ点に止まる確率がp_n\,である}ことを利用している.
実は,\ x=nに止まるか否かで場合分けする}と,\ 2項間の確率漸化式を作成できる(別解2).
x=nに止まらない確率は1-p_n\,であるが,\ このとき確実にx=n-1とx=n+1に止まる.}
(2)\ \ 途中で点Pの$x$座標が$n$にならず,\ $2n$になる確率を求めよ. \\
Aと書かれたカードが2枚,\ Bと書かれたカードが1枚入った袋の中から1枚取り出し
て元に戻すことを$n$回繰り返す.
(1)\ \ Aが2回連続して出ない確率$p_n$を求めよ.
(2)\ \ $n$回目に初めてAが2回連続して出る確率$q_n$を求めよ. \\
(1)\ \ $n+2$回取り出してAが2回連続しない場合は以下の2つがあり,\ 互いに排反である.
n+1回でAが2回連続しない(p_{n+1}n+2回でAが2回連続しない(p_{n+2})$ [2] n回でAが2回連続しない(p_n)n+2回でAが2回連続しない(p_{n+2})$
$n+2$回取り出してAが2回連続しない場合は以下の2つがあり,\ 互いに排反である.
ある回に連続する・しないは直前の文字によってのみ決まる}から,\ 漸化式の作成が有効である.
もしAもBも連続しない}ということであれば,\ ABAB・・・\,とBABA・・・\,}の2つの場合しかない.
よって,\ 漸化式を作成するまでもない.
しかし,\ 本問は「\,Aのみ連続しない}」なので,\ その確率の漸化式を作成することになる.
最後の1回で場合分けすると,\ その直前が確定しない場合とする場合がある.}
結局,\ 3項間の漸化式を作成する}ことになる.
1回取り出して Aが2回連続することはないから,\ 当然p_1=1である.
2回取り出して Aが2回連続しない確率は,\ Aが2回連続する確率の余事象として求めた.
特性方程式\ x^2-13x-29=0\ より (3x+1)(3x-2)=0 ∴\ \ x=-13,\ 23
最初の1回で場合分けしても同様に漸化式を作成できる(別解).
本問は最後の2回がAA}で確定しており,\ 最後の1回で場合分けすることができない.
このように,\,最後が特定の条件を満たすときの確率では最初の1回で場合分けする}ことが有効である.