素数は,\ 1と自身以外の正の約数をもたない自然数である.
よって,\ 自然数を並べたとき,\ 素数は2の倍数や3の倍数を避けるように分布している.
ゆえに,\ 剰余類で場合分けをすると素数の分布の一端が垣間見えるのである.
なお,\ 詳しい素数の分布は現在でもわかっていない.$pを3より大きい素数とする.\ \ pとp+2がともに素数のとき,\ p+1は6の倍数となる$
$pは3より大きい素数であるから,\ 奇数}である.$
よって,\ $pとp+2は奇数}であるから,\ p+1は偶数}である.$
また,\ $p,\ p+1,\ p+2は連続する3整数}なので,\ 少なくとも1つは3の倍数}である.$
ここで,\ $pとp+2は3より大きい素数であるから,\ 3の倍数ではない.$
ゆえに,\ $p+1が3の倍数}であり,\ 偶数でもあるから,\ p+1は6の倍数である.}$
偶素数は2のみ}であるから,\ 3より大きい素数というだけでpは奇数であるとわかる.
つまり,\ p+1は偶数である.\ 6の倍数証明なので,\ 後は3の倍数であることを示せばよい.
連続する3整数とその性質に着目する}ことができれば,\ 簡潔に済む.
剰余類で場合分けするならば,\ 以下のようになる.
pは素数であるから,\ p=3k+1またはp=3k+2\ (k:自然数)とおける.
p=3k+1のときp+2=3(k+1)より,\ p+2が素数にならない.
よって,\ p=3k+2であり,\ このときp+1=3(k+1)よりp+1は3の倍数となる.
5以上の素数は,\ ある自然数nを用いて\,6n+1\,または\,6n-1\,の形で表されること$
\ \ を示せ.
(2)\ \ $p$を5以上の素数とするとき,\ \ $p^2$を12で割ったときの余りを求めよ. \\
5以上のすべての整数は,\ $6n,\ \ 6n±1,\ \ 6n±2,\ \ 6n+3}\ のいずれかの形で表せる.$
$6n,\ 6n±2=2(3n±1)は2の倍数,\ \ 6n+3=3(2n+1)は3の倍数}である.$
∴ 5以上の素数は6n±1の形で表される.}$}
p^2\,を12で割ったときの余り\ 1
(1)\ \ 以前に全く同じ問題を取り上げた.
\ \ 6を法とする6つの剰余類}を考えると,\ そのうち4つは2の倍数または3の倍数である.
\ \ 言い換えると,\ 2の倍数でも3の倍数でもない6n±1しか素数になりえない.
\ \ 素数が存在しうるのは,\ 6の倍数の直前か直後のみということになるわけである.
\ \ 6n±1がともに素数であるとき,\ その間が6の倍数(6n)であることを示したのが前問である.
(2)\ \ (1)を利用すると容易である.\ 無誘導の場合に可能な解答(略解)を2つ示しておく.
\ \ すべての整数は,\ 12n,\ 12n±1,\ 12n±2,\ 12n±3,\ 12n±4,\ 12n±5,\ 12n+6\ で表せる.
\ \ このうち5以上の素数になり得るのは,\ 12n±1,\ 12n±5\ のみである.
\ \ (12n±1)^2=12(12n^2±2n)+1,\ \ (12n±5)^2=12(12n^2±10n+2)+1
\ \ すべての整数は,\ 4n,\ 4n±1,\ 4n+2\ で表せる.\ また,\ 3n,\ 3n±1\ とも表せる.
\ \ このうち5以上の素数になり得るのは,\ それぞれ4n±1,\ 3n±1\ のみである.
\ \ p^2\,は4で割っても3で割っても1余る数であるから,\ 12で割ったときの余りは1である(*).
\ \ (*)について少し追加説明しておく.\ 余りが等しくならない場合はここまで単純にはいかない.nを自然数とする.\ \ n,\ n+2,\ n+4がすべて素数であるのはn=3の場合だけである$
$ことを示せ. \ \ [\,早稲田大学\,]$
$n=3\ のとき (n,\ n+2,\ n+4)=(3,\ 5,\ 7)\ より,\ すべて素数である.$
$以下,\ n≧4}\ のときを考える.$
$(.14zw}i.14zw})}\ \ n=3k}\ (k:自然数)のとき$ $nは3の倍数}であり,\ 素数ではない.$
$(ii)}\ \ n=3k+1}\ (k:自然数)のとき$
$n+2=3}\,(k+1)\ より,\ n+2は3の倍数}であり,\ 素数ではない.$
$(\scalebox{.75}[1]{iii})}\ \ n=3k-1}\ (k:自然数)のとき$
$n+4=3}\,(k+1)\ より,\ n+4は3の倍数}であり,\ 素数ではない.$
∴ すべて素数であるのはn=3\ のときだけである.}$}
いきなりこのような解答を作成できるのは,\ あらかじめ知識を持っている人だけである.
初見の場合には,\ まず具体的に実験して規則性を探る}必要がある.
本問に限らず,\ この姿勢は整数分野では常に重要である.
実験から,\ 以下の2点が成り立つという予想ができるかが問われている.
①\ \ nが偶数のとき,\ すべて偶数であり,\ 素数ではない.
②\ \ nが奇数のとき,\ どれか1つが3の倍数であり,\ すべて素数とはならない.
予想はあくまでも予想に過ぎないので,\ 証明しなければならない.
予想①,\ ②から,\ nが偶数のときと奇数のときで場合分けすることが思い浮かぶかもしれない.
しかし,\ nが偶数のときも含め,\ すべてのnに対し,\ 少なくとも1つが3の倍数}となりそうである.
つまり,\ 偶奇で分けずとも,\ 少なくとも1つが3の倍数であることを示せばそれで十分である.
当然,\ 3を法とする剰余類で場合分け}する.\ 合同式を用いた表現は以下である.
n,\ n+2,\ n+4は1つおき(差が2)の3つの整数である.
一般に,\ 差が2の2つの素数の組を双子素数という. \rei\ \ (5,\ 7),\ (7,\ 11)
双子素数は無限に多く存在すると予想されているが,\ 2021年の時点では証明されていない.
本問は,\ 差が2の3つの素数の組は(3,\ 5,\ 7)しか存在しないことを主張している.
1組しか存在しないので,\ (n,\ n+2,\ n+4)を三つ子素数と定義しても面白くない.
3個の素数の組(n,\ n+2,\ n+6),\ (n,\ n+4,\ n+6)を三つ子素数という. \rei\ \ (5,\ 7,\ 11)
三つ子素数は無限に多く存在することが予想されているが,\ 2021年の時点では証明されていない.