3つの自然数\ 152,\ 212,\ 422\ をある自然数mで割ると,\ 余りが等しくなる.$
$このようなmのうち,\ 最大のものを求めよ.$ \\
余りの一致条件 \\
$「余りが一致」という条件は,\ 余りrを含まない条件に言い換えて扱う}のが基本である.$
$aとbはmで割ったときの余りrが等しい}\ ⇔\ a-bがmで割り切れる$}
合同式で表現すると $a≡ b\ ±od m}\ ⇔\ a-b≡0\ ±od m$
152,\ 212,\ 422を$m$で割ったときの商をそれぞれ$q_1,\ q_2,\ q_3$,\ 余りを$r$とすると
いきなり差がmで割り切れるとしてもよいが,\ ここではより丁寧に過程を示した.
問題の条件をすべて数式で表現し,\ mを求めにいけばよい.
aをbで割ったときの商がq,\ 余りがrは,\ 等式a=qb+r\ (0≦ r1)$をもつと仮定し,\ $n=ga,\ n-1=gb\ (a,\ b:自然数)$とおく.
このとき$g(a-b)=1$となり$g>1$と矛盾するから,\ $nとn-1は互いに素}$である.
$よって,\ nとn-1の一方は4の倍数,\ 他方は25の倍数}である.$
一般に,\ ある整数の下2桁の数は100で割ったときの余り}として取り出せる.
よって,\ 本問は次のように言い換えて解くことができる.
(下2桁が同じ)=(100で割ったときの余りが等しい)=(差が100の倍数)}
実際には,\ n(n-1)=(100の倍数)}\ という不定方程式に帰着する.
n(n-1)=100であれば,\ 積が100になる自然数の組をしらみつぶしすることも可能だろう.
しかし,\ 本問の右辺は100の倍数であり,\ 100,\ 200,\ 300,\ ・・・\ など無限にある.
10≦ n≦99より90≦ n(n-1)≦9702を考慮して有限にはなるが,\ しらみつぶしは現実的でない.
nとn-1が連続する2整数}であること,\ 連続する2整数は互いに素}であることを利用する.
これを自明としてよいかは微妙なので,\ 証明も簡潔に示しておいた.
1より大きい公約数が存在すると仮定して矛盾を導く}という互いに素の証明(背理法})である.
100=2^2×5^2\,であり,\ 2と5は互いに素(最大公約数1)である.
nは2桁の整数であるから,\ 2^2\,と5^2\,がすべてnとn-1の一方だけに分配される可能性はない.
2^2\,と5^2\,はそれぞれ,\ nとn-1のどちらか一方に分配されなければならない.
つまり,\ (n,\ n-1)=(5^2a,\ 2^2b),\ (2^2a,\ 5^2b)}に限られるわけである.
後は,\ 10≦ n≦99に注意しながらしらみつぶし}すればよい.
このとき,\ 5^2=25の倍数を基準にすると最小限の考慮で済む.
2桁の25の倍数は3個しかないからである.
nとn-1の一方を25の倍数としたとき,\ 他方が4の倍数になるものを探す}ことになる.
ちなみに,\ \ 25^2=625,\ \ 76^2=5776\ \ である.
一の位から順に特定する\,]
求める2桁の自然数を$n=10a+b\ (a,\ b:整数,\ 1≦ a≦9,\ 0≦ b≦9)$}とおく.
$n^2=(10a+b)^2=100a^2+20ab+b^2=10(10a^2+2ab)+b^2$
よって,\ $n^2$の一の位は$b^2$の一の位に等しい.}
$b^2$の一の位と$b$が一致しなければならないから,\ $b=0,\ 1,\ 5,\ 6$が必要}である. \\
下2桁が一致するためには,\ それ以前に下1桁(一の位)が一致しなければならない.
2乗しても下1桁が変わらない1桁の数は,\ 0^2=0,\ 1^2=1,\ 5^2=25,\ 6^2=36のみである.
この程度の記述でも十分だが,\ 十の位の特定も見越して数式で議論すると解答のようになる.
各桁の数に着目する問題では,\ 各桁の数を文字で設定し,\ それに10^n\,を掛けた和で自然数を表す.}
また,\ 一の位を考えることは10で割ったときの余りを考えること}である.
よって,\ 10でくくれるだけくくり,\ 残りの部分の条件を考えればよいわけである.
一の位が特定されれば,\ 次は十の位の特定である.
100でくくれるだけくくり,\ 残りの部分の条件を考えればよい.
aに1から9までの値を代入し,\ 条件を満たすものを探すことになる.