二項定理 (a+b)nの展開式、整式の係数の和

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公式\ $(a+b)^2=a^2+2ab+b^2,\ \ (a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\ を一般化する.$  つまり,\ $(a+b)^n$の展開式を導くことを目指す.  このために,\ そもそも展開とは何かを$(a+b)^3$を例に考えよう.  まず,\ $(a+b)^3=(a+b)(a+b)(a+b)=(a_1+b_1)(a_2+b_2)(a_3+b_3)\ として実際に展開する.$  8つの項がすべて異なる色の文字の積となっている.\ また,\ 同じ項はない.  つまり,\ 各項は$(a_1,\ b_1)},\ (a_2,\ b_2)},\ (a_3,\ b_3)$から1個ずつ選び,\ それらを掛けてできる.} -.5zw}を選んできて掛けたものである.$ % $a_kかb_kかの2通りずつがあるから,\ 場合の数は2^3=8通りである.$ \\ % 展開後の式は,\ 8つの別の項の和となっているから,\ すべての場合が尽くされている. \\  以上から,\ 展開式が次のようにして得られることがわかる. 「各因数内から$a_k\,またはb_k}$の一方を選んで掛けたものをすべて足し合わせる}」  $a_1a_2b_3,\ a_1b_2a_3,\ b_1a_2a_3\,の3項がa^2bであり,\ 足して3a^2bとなることに注目してほしい.$  要は,\ $a^2b}$になる選び方が何通りあるかを考えると,\ それが$a^2b}$の係数というわけである. \\  $(a_1,\ b_1),\ (a_2,\ b_2),\ (a_3,\ b_3)$から1個ずつ,\ 合計3個選ぶとする.  このとき,\ 3つの( )から$b$を何個選ぶかに着目し,\ 何通りの選び方があるかを考える.   $aを3個},\ color{violet}{bを0個}を選ぶとa^3}となり,\ その選び方は\ C30=1\ 通り}である.$   $aを2個},\ color{violet}{bを1個}を選ぶとa^2}color{violet}{b}となり,\ その選び方は\ C31=3\ 通り}である.$   $aを1個},\ color{violet}{bを2個}を選ぶとa}color{violet}{b^2}\,となり,\ その選び方は\ C32=3\ 通り}である.$   $aを0個},\ color{violet}{bを3個}を選ぶとcolor{violet}{b^3}となり,\ その選び方は\ C33=1\ 通り}である.$  このように考えると,\ 実際に展開計算せずとも展開式を得ることができる. $(a+b)^3=C30a^3+C 31a^2b+C32ab^2+C33 b^3}=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$}  一般化すると,\ 次の二項定理が導かれる. aではなくbを何個選ぶかを考えたのは,\ 左から\ C n0,\ C n1,\ ・・・\ と並ぶように書きたいからである. aを何個選ぶかを考えて立式すると,\ (a+b)^3=C 33a^3+C 32a^2b+C 31ab^2+C30b^3\ となる. 一般に\,C nr=C{n}{n-r}\,で,\ C30=C33,\ C31=C32\,なので同じ結果だが,\ 0から並べて書く方が美しい.\ 特定の項を考慮する問題では,\ 一般項(第r+1項)が\ C nr}a^{n-rb^r\ であることが重要になる. 当然,\ 0≦ r≦ n}である.\ また,\ a^0=1,\ b^0=1である(後に指数関数と対数関数分野で学習). よって,\ r=0のとき\,C n0a^nb^0=a^n,\ \ r=nのとき\,C nna^0b^n=b^n\,である. なお,\ (二項式)^n\,の展開式に現れることから,\ 組合せ記号\,C nr\,を二項係数}ともいう. \ (2x-3y)^5\ を展開せよ.\ また,\ 各項の係数の和を求めよ.$ $(2)\ \ (3x-2y)^{10}\ のx^3y^7\ の項の係数を求めよ.$ $(3)\ \ 2x^2-3}{x}^6\ の定数項を求めよ.$ $(4)\ \ (x-2)^4(3x+1)^3$の$x^5$の項の係数を求めよ. \\ 各項の係数の和は,\ $(2x-3y)^5\,にx=y=1を代入}$して (1)\ \ 展開は二項定理を適用するだけである. \ \ さて,\ 二項展開式にx=y=1を代入すると,\ 32-240+720-1080+810-243となる. \ \ これは各項の係数の和に他ならない. \ \ 整式に1を代入して係数の和を求められる}というのは言われれば単純だが盲点だろう. (2)\ \ 10個の因数から3xを3個,\ -2yを7個選べばx^3y^7\,の項ができる}ことはすぐにわかる. \ \ よって,\ 即座に\ C{10}{7}・3^3・(-2)^7\ として求めてもよいが,\ 複雑な問題に応用できない. \ \ 一旦一般項を文字で表し,\ x^3y^7\,となるような整数rを考える}のが標準解法である. \ \ C{10}{7}=C{10}{3}\ として計算する. (3)\ \ 結果的には,\ 6個の因数からx^2\,を2個,\ 1x\,を4個選べば,\ (x^2)^2・1x^4=1より定数項となる. \ \ 本問は,\ x^2\,と\,1x\,が打ち消しあうため,\ 何個ずつ選べばよいかが(2)ほど単純にはわからない. \ \ 一般項を考えると,\ 確実に特定することができる.\ 一般項を計算し,\ xの部分をまとめる. \ \ 12-3r=0},\ つまりr=4のとき,\ x^0=1\ より定数項となる. \ \ 詳細は指数関数と対数関数分野で学習するが,\ 以下の指数法則を用いる必要がある. \ (4)\ \ 例えば,\ (x-2)^4\,のx^4\,の項と(3x+1)^3\,のxの項の積がx^5\,の項になる. \ \ 他にも,\ (x-2)^4\,のx^3\,の項と(3x+1)^3\,のx^2\,の項の積もx^5\,の項になる. \ \ 問題が複雑になると,\ 何個ずつ選ぶべきかが複数パターン存在するようになってくる.} \ \ 本問の場合,\ x^5\,になるパターンをすべて考慮しなければならない. \ \ 1つずつしらみつぶしに考えようとすると見落としが生じる可能性がある. \ \ 一般項を立式し,\ 数式的に求めるのが確実である. \ \ (x-2)^4\,と(3x+1)^3\,の一般項をそれぞれ求め,\ 掛け合わせる.} \ \ xの部分は\ x^{4-p}・ x^{3-q}=x^{(4-p)+(3-q)}=x^{7-p-q\ となる. \ \ 整数p,\ qのとりうる値の範囲を考慮する}と,\ (p,\ q)が3組あるとわかる. \ \ それぞれの場合の係数を求めて足し合わせると最終的な答えとなる.