コーシー・シュワルツの不等式の証明 (a²+b²)(x²+y²)≧(ax+by)²

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次の不等式を証明せよ.\ また,\ 等号成立条件を示せ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ $(a^2+b^2)(x^2+y^2)\geqq(ax+by)^2$ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ $(a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)\geqq(ax+by+cz)^2$コーシー・シュワルツの不等式の証明}}(a^2+b^2)(x^2+y^2)-(ax+by)^2}${(ay-bx)^2\geqq0}${(a^2+b^2)(x^2+y^2)\geqq(ax+by)^2}$} \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ また,\ $等号が成立するのは\ \bm{ay=bx}\ のときである.(a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)-(ax+by+cz)^2}${(ay-bx)^2+(bz-cy)^2+(cx-az)^2\geqq0}$ 等号が成立するのは\ \bm{ay=bx\ かつ\ bz=cy\ かつ\ cx=az}\ のときである. $(a^2+b^2)(x^2+y^2)\geqq(ax+by)^2$ \\} $(b^2+c^2)(y^2+z^2)\geqq(by+cz)^2$  $(c^2+a^2)(z^2+x^2)\geqq(cz+ax)^2$ 3式の辺々を足す}と \\ (1)\ \ \bm{差を計算して2乗の形に因数分解する}だけで容易に証明できる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 等号成立条件も同時に求まるが,\ その扱い方に注意が必要になる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ ay=bxは,\ \bm{a:b=x:y}\ と表すこともできる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ また,\ \bm{x=0のときa=0,\ y=0のときb=0と決めると\,\bunsuu ax=\bunsuu by}\ と表すこともできる. \\\\ (2)\ \ (1)を拡張した不等式なので,\ (1)にならって(ay-bx)^2\,を作ることを念頭に変形する. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 等号成立条件は\ a:b=x:y\ かつ\ b:c=y:z\ かつ\ c:a=z:x つまり\ \bm{a:b:c=x:y:z} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ x=0,\ y=0,\ z=0のときそれぞれa=0,\ b=0,\ c=0と決めると \bm{\bunsuu ax=\bunsuu by=\bunsuu cz} \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ 別解は,\ \bm{文字を循環させた3式を足し合わせる}ものである. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 最終形を見越し,\ 展開後は両辺からa^2x^2+b^2y^2+c^2z^2\,を除いてから因数分解する. \\[1zh] さて,\ \bm{コーシー・シュワルツの不等式はベクトルの内積(数\textbf B)との関係が重要}である. \\[.4zh] 内積の定義\  コーシー・シュワルツの不等式は,\ $\bm{\textcolor{blue}{n項の場合にまで一般化}}$できる. \{a_k=0\ のときは\ b_k=0}}\ と定める.${すべての実数tに対して}${(a_1t-b_1)^2+(a_2t-b_2)^2+\cdots+(a_nt-b_n)^2\geqq0}$ \{{a_1}^2+{a_2}^2+\cdots+{a_n}^2=0}\ のとき a_1=a_2=\cdots=a_n=0\ より,\ \maru{\text A}は成立する.$ \\[1.5zh] 全ての実数$t$に対して\maru{\text B}が成り立つための条件は,\ $(左辺)=0$の判別式を$D$として n項の場合にはこのような驚くべき証明が知られている.\ 考えて思いつくものではないので暗記する. \\[.2zh] 高校は3次元までなので,\ n次元ベクトルを\,\zettaiti{\bekutoru*a}^2\zettaiti{\bekutoru*b}^2\geqq(\bekutoru*a\cdot\bekutoru*b)^2\ に代入するのは推奨しない. \\[1zh] \bm{f(t)=(a_1t-b_1)^2+(a_2t-b_2)^2+\cdots+(a_nt-b_n)^2}\ という式を考える. \\[.2zh] この式は2乗の和なので,\ \bm{tの値によらず常に0以上}になる. \\[.2zh] また,\ f(t)をtで整理し直した式をg(t)とする.\ f(t)=g(t)より,\ 当然g(t)\geqq0である. \\[1zh] t^2\,の係数\,{a_1}^2+{a_2}^2+\cdots+{a_n}^2=0のとき,\ g(t)がtの2次式にならないので場合分けする. \\[1zh] a_1=a_2=\cdots=a_n=0のとき,\ 両辺が0となるから\maru{\text A}は成り立つ. \\[1zh] t^2\,の係数が0でないときを考える. \\[.2zh] {a_1}^2+\cdots+{a_n}^2<0となることはないから,\ {a_1}^2+\cdots+{a_n}^2>0のときということになる. \\[.2zh] このとき,\ g(t)は下に凸の2次関数となる. \\[.2zh] \bm{tの値によらずg(t)\geqq0より,\ D\leqq0が成り立つ}はずである. \\[.2zh] 常にg(t)\geqq0は,\ 図形的には2次関数y=g(t)がt軸と接するかt軸より上にあることを意味する. \\[.2zh] このときg(t)=0の実数解は1個または0個であるから,\ D\leqq0が成り立つわけである. \\[1zh] 既に述べた通り,\ {a_1}^2+{a_2}^2+\cdots+{a_n}^2=0のとき,\ 両辺が0となるから等号が成立する. \\[.2zh] 一方,\ {a_1}^2+{a_2}^2+\cdots+{a_n}^2=0のときの\bm{等号成立条件はD=0}である. \\[.2zh] このとき,\ \bm{g(t)=0となる実数tが存在する.}\ 図形的には,\ 2次関数y=g(t)がt軸と接する. \\[.2zh] つまり,\ \bm{f(t)=0となる実数tが存在する}ということである. \\[.2zh] よって,\ 等号成立条件は\ a_1t-b_1=a_2t-b_2=\cdots=a_nt-b_n=0\ となる. \\[1zh] tが残っていて扱いづらいので,\ tを消去する.\ まず,\ a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n\,がすべて0でないとする. \\[.2zh] a_1t-b_1=0,\ a_2t-b_2=0,\ \cdots,\ a_nt-b_n=0\ からtを消去して \bm{\bunsuu{b_1}{a_1}=\bunsuu{b_2}{a_2}=\cdots=\bunsuu{b_n}{a_n}}=t \\[.8zh] a_k=0\ のとき,\ a_kt-b_k=0よりb_k=0である. \\[.2zh] 比で表すと,\ \bm{a_1:a_2:\cdots:a_n=b_1:b_2:\cdots:b_n}\ となる.