相加平均と相乗平均の関係を利用する最大・最小問題パターン演習

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当ページの内容は、前ページ 相加平均と相乗平均の大小関係の基本 を前提としています。

相加相乗を利用すると,\ \bm{積abが定数になるとき,\ 和a+bの最小値を求められる}のであった. \\[.2zh] よって,\ 式の形が\ \bm{○+\bunsuu{1}{○}\ や\ \bunsuu{○}{□}+\bunsuu{□}{○}}\ であることが\bm{相加相乗利用の目安}となる. \\[.8zh] このとき,\ 積が自動的に定数になるからである. \\[.2zh] また,\ x>0,\ y>0のような条件も相加相乗の利用を示唆している. \\[1zh] 本問は展開すると\ ○+\bunsuu{1}{○}\ の形が現れるから,\ これに相加相乗を適用する. \\[.8zh] 余分な+5は後から付け加えておけばよい. \\[.2zh] ここで安心はできず,\ \bm{相加相乗で最大・最小を求めるとき,\ 等号成立条件の確認が必須}なのであった. \\[.2zh] 「9以上」は「最小値9」を意味しないからである.\ 仮に「最小値10」でもそれは「9以上」である. \\[.2zh] 「9以上\ かつ\ =9になりうる実数x,\ yが存在する」ではじめて「最小値9」が確定する. \\[1zh] この部分の認識が不足していると,\ 以下のような\bm{間違い}を犯す可能性がある. \\  辺々を掛けると\therefore\ \ 最小値\ 8 \\[1.5zh] \bm{相加相乗を複数回利用して最小値を求める場合,\ すべての等号が\dot{同}\dot{時}に成立する必要がある.} \\[.2zh] よって,\ x=\bunsuu1y\ かつ\ y=\bunsuu4x,\ つまりxy=1\ かつ\ xy=4のときに等号が成立する. \\[.8zh] しかし,\ \bm{これを満たす正数x,\ yは存在しない}から,\ 最小値8は誤りというわけである. \\[.2zh] 解答の方向性そのものが間違いというわけではないことに注意してほしい. \\[.2zh] 同時に等号を成立させる正数x,\ yが存在する場合であれば,\ この解法でも正答に至る. 等式条件が1つあるので1文字消去が思い浮かぶが,\ 対称性が失われる. \\[.2zh] \bm{1次式と逆数の和があるとき,\ その積を考えると対称性を維持したまま処理できる.} 展開後,\ \bm{積が定数になるように組み合わせて相加相乗を適用する}とよい. \\[1zh] 別解のように,\ \bm{展開せずに各括弧内に相加相乗を適用}してもよい. \\[.2zh] (1)では,\ 等号が同時に成立しなくなるので,\ 一旦展開してから求めるしかなかった. \\[.2zh] 一方,\ 本問の場合は等号が同時に成立するので,\ 展開せずに最小値を求めることが可能である. \\[.2zh] また,\ 展開するにしても,\ 以下のように積が定数になる3項を組み合わせて求めることもできる. x>0のとき,\ x+\bunsuu{9}{x+2}\ の最小値を求めよ.$ \\[1zh] \hspace{.5zw}$(2)\ \ x>0のとき,\ x+\bunsuu{1}{x^2}\ の最小値を求めよ.$ \\[1zh] \hspace{.5zw}$(3)\ \ x^2+x+\bunsuu{1}{x^2+x+1}\ の最小値を求めよ.$ \\  (1)\ \ $\textcolor{cyan}{x+2>0,\ \bunsuu{1}{x+2}>0}であるから,\ \textcolor{purple}{(相加平均)\geqq(相乗平均)}より\textcolor{red}{x=1}のとき等号が成立する.$ \\\\[.5zh] \centerline{$\therefore \bm{x=1のとき 最小値\ 4}$ \bm{相加相乗で最小値を求めるには,\ 積abが定数になる必要がある}のであった. \\[.2zh] a=x,\ b=\bunsuu{1}{x+2}\,として適用すると積abが定数にならず,\ 最小値が求められない. \\[.8zh] +2は自在に調整できるので,\ \bm{a=x+2,\ b=\bunsuu{1}{x+2}\,として適用すると積abが定数になる.\textcolor{purple}{(相加平均)\geqq(相乗平均)}より$ \bm{x=\bunsuu12x+\bunsuu12x\,とみて3文字の相加相乗を適用する}と,\ 積が定数になり最小値が求められる.\,を「3乗根a」といい,\ 3乗してaになる数を表す. (相加平均)\geqq(相乗平均)}より 式の形が相加相乗の利用を匂わせるが,\ 一見してa>0,\ b>0を保証する条件が見当たらない. \\[.2zh] \bm{常にx^2+x+1>0}であることに気付けば,\ 相加相乗が適用できる. \\[1zh] \bm{分母分子をx\ (\neqq0)で割り,\ 変数を分母に集める}と,\ 相加相乗が適用できる形が現れる. \\[.2zh] 平方完成などと同様に\bm{「変数を1ヶ所に集める」}という発想があれば自然な変形といえる. \\[.2zh] 分母と分子にちらばっている変数xを分母に集約したわけである. \\[.2zh] 分子が定数になるので,\ 後は\bm{分母の最小値を求めれば,\ 全体の最大値が求まる}ことになる. \\[.2zh] このように,\ \bm{\bunsuu{1次式}{2次式}\,を変形して相加相乗を使わせるパターン}が頻出である. \\\\ さて,\ 本問が単純ではないのは,\ x>0のような条件がないことである. \\[.2zh] この場合でも,\ 少し工夫することで相加相乗を有効活用することができる. \\[.2zh] とりあえず,\ x=0,\ x>0,\ x<0のときで場合分けをする. \\[1zh] x>0のとき,\ 普通に相加相乗を利用できる.\ ただし,\ 不等号の向きに注意する必要がある. \ が分母にあるから,\ 不等号は逆向き}になる(分母が小さいほど全体が大きい). \\[1zh] x>0のとき明らかに\,\bunsuu{x}{x^2+x+1}>0であることも考慮し,\ \bm{0<\bunsuu{x}{x^2+x+1}\leqq\bunsuu13}\,とわかる. \\\\ 問題はx<0のときだが,\ \bm{x=-\,tと置換するとt>0}となり,\ 相加相乗が利用できる. \\[.2zh] t+\bunsuu1t\geqq2\ruizyoukon{t\cdot\bunsuu1t}\,が分母にあるが,\ \bm{全体に-がついているので結局不等号の向きは変わらない.} \\[1zh] x^2+x+1=\left(x+\bunsuu12\right)^2+\bunsuu34>0より \bm{分母分子をx+2で割って変数を分母に集め,\ 根号内が定数になるよう調整する.} 長方形の周の長さが16であるとき,\ 面積の最大値を求めよ.$縦の長さをx,\ 横の長さをyとすると 2x+2y=16\ より \bm{和x+yが定数のときに積xyの最\dot{大}値を求める}ときも相加相乗の出番である. \\[.2zh] 結局,\ 正方形になるときに面積が最大となるとわかる.