a,\ b,\ x,\ y$は正の実数とする.\ 次の不等式が成り立つことを示せ.
また,\ 等号成立条件を調べよ. {根号を含む不等式の証明
$A≧0,\ B≧0\ のとき\ \ A≧ B\ ⇔\ A^2≧ B^2$ を利用する. (左辺)^2-(右辺)^2}=
根号を含む不等式A≧ Bの証明では,\ A-B≧0を示すことが難しい.
根号のせいで計算を進めることができなくなるからである.
そこで,\ 左辺も右辺も0以上ならば,\ 両辺を2乗しても同値である}ことを利用するのが基本となる.
A≧ Bを示す代わりにA^2≧ B^2,\ つまりはA^2-B^2≧0を示せばよい}というわけである.
本問は等式条件つきの不等式なので,\ 1文字消去}の基本に従いbを消去すると本解となる.
展開してx,\ yで整理するとa(1-a)をくくり出せるので,\ 残りを平方完成(因数分解)すればよい.
a^2-2ab+b^2=(a-b)^2\,とするだけだが,\ 根号を含む場合は紛らわしくなるので演習が必要である.
a>0,\ b=1-a>0より,\ ≧0が示される.
最後,\ 2乗をはずすとき,\ 前提条件A≧0,\ B≧0の確認を忘れてはならない.}
a≠0,\ b=1-a≠0より,\ √ x-√ y=0},\ つまりx=yのとき等号が成立する.
実は,\ 別解のようにbを消去せずに対称性を保ったまま処理すると簡潔に済む.
次の不等式が成り立つことを示せ} $a≧0,\ b≧0,\ c≧0$のとき $√{a+b+c}≦√ a+√ b+√ c≦√{3(a+b+c)}$ \
左側の不等式は,\ 2乗の差を計算すると容易に証明できる.
√{ab}≧0,\ √{bc}≧0,\ √{ca}≧0\ より,\ 等号成立条件は\ ab=0\ かつ\ bc=0\ かつ\ ca=0}\ である.
この条件は,\ a,\ b,\ cのうち少なくとも2つが0}と言い換えることができる.
右側の不等式を証明するには,\ 対称性を生かして平方完成する}必要がある.
一見難しく見えるが,\ 前項で学習した\ a^2+b^2+c^2≧ ab+bc+ca\ の証明}に他ならない.bm{等号成立条件は\ a=b=c}\ である.