恒等式A=Bの証明 ラグランジュの恒等式

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次の等式が成り立つことを示せ. \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ $(a^2+b^2)(x^2+y^2)=(ax+by)^2+(ay-bx)^2$ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ $(a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)$ \\[.3zh]            $=(ax+by+cz)^2+(ay-bx)^2+(bz-cy)^2+(cx-az)^2$   恒等式\ $A=B\ の証明の基本は,\ 以下の3手法である.$ \\[1zh]    $[1]$\ \ $AまたはBの\bm{\textcolor{red}{より複雑な方を変形}}し,\ \bm{他方を導く.}$ \\[.5zh]    $[2]$\ \ $\bm{\textcolor{cyan}{両辺ともに複雑}}な場合,\ \bm{\textcolor{red}{A,\ Bをそれぞれ変形}}し,\ \bm{\textcolor{red}{同じ式を導く.}}$ \\[.5zh]    $[3]$\ \ $\bm{\textcolor{red}{A-B=0}}\ を示す.$ \\\\\\ 本問は両辺ともに複雑なので,\ [2]の方法が手っ取り早い. \\[.2zh] あるいは,\ [3]の(左辺)-(右辺)=0を示す方法も有効である. \\[.2zh] \bm{=0という明確な目標に向かって変形していける}からである. \\[.2zh] 左辺と右辺をそれぞれ変形する場合,\ どこまで変形するかを迷うことがある. \\[.2zh] (2)は[2]の方法のみを示した. \\[1zh] 本問のように両辺ともに複雑な場合,\ [1]の一方を他方に変形する方法は難しい. \\[.2zh] 一応1つの解答例として,\ 右辺から左辺への変形を示しておいた. \\[1zh] さて,\ 等式の証明において,\ 以下のような記述をする学生が少なくないが,\ やめるべきである. \\[.5zh]  (a^2+b^2)(x^2+y^2)=(ax+by)^2+(ay-bx)^2 \\[.2zh]  a^2x^2+a^2y^2+b^2x^2+b^2y^2=(a^2x^2+2axby+b^2y^2)+(a^2y^2-2aybx+b^2x^2) \\[.2zh]  a^2x^2+a^2y^2+b^2x^2+b^2y^2=a^2x^2+a^2y^2+b^2x^2+b^2y^2 \\[.5zh] 問題の式は,\ \bm{成立を示すべき式であり,\ 条件として与えられた式ではない.} \\[.2zh] よって,\ すでに成立することが示されているかのような記述は避けるなければならない. \\[1zh] 本問の等式を\bm{ラグランジュの恒等式}といい,\ ある種の応用問題にも登場する.