{1つの分数式を2つ以上の分数式の和・差に分解する式変形を部分分数分解という.
入試では部分分数分解自体が問われることは稀である.
主に,\ 数III}の積分計算問題を解く過程で部分分数分解が必要になる.
部分分数分解の代表例が以下の3つであり,\ どのように分解できるかは覚えておく.
分母に$( )^n}$がある場合,\ $( )^1,\ ( )^2,\ ・・・・・・,\ ( )^n}$に分解できる. }{分母が$n}$次式ならば分子は$n-1}$次以下の式になる.
(1)\ \ 両辺に$(x+2)(x+4)$を掛けて得られる等式も$x$についての恒等式である.
両辺の係数を比較}すると両辺に$(x+2)(x+4)$を掛けて得られる等式も$x$についての恒等式である.
通分すると\,2x+3}{(x+2)(x+4)}=A(x+4)+B(x+2)}{(x+2)(x+4)}\,となるから,\ 後は分子が恒等式となればよい.
本解は係数比較法},\ 別解は数値代入法}により,\ 定数A,\ Bを定めている.
数値代入法では,\ 式が簡単になるx=-\,2,\ -\,4を代入した.
与式の分母が(x+2)(x+4)なのにx=-\,2,\ -\,4を代入してもよいのかと思ったかもしれない.
代入したのはあくまでも①}であり,\ 与式は関係ない.
x=-\,2,\ -\,4の代入では必要条件に過ぎないので,\ 実際に両辺が一致するかを確認する(十分条件).
こうして,\ どんなxの値についても成り立つ恒等式\ 2x+3=12(x+4)+52(x+2)\,が得られる.
x≠-\,2,\ -\,4のとき,\ これの両辺を(x+2)(x+4)で割った式も恒等式となる.
問題で\,2x+3}{(x+2)(x+4)}\,とあればx≠-\,2,\ -\,4が暗黙の了解なので,\ このときに成り立てばよい.
さて,\ 応用問題では,\ 部分分数分解は過程ではなく結果のみが求められる場合が多い.}
その場合,\ 数値代入法が圧倒的に有利}である.\ 十分条件の確認が必要ないからである.
数値代入法で素早くA,\ Bを求め,\ 以下のように部分分数分解するとよい.
数値代入法をさらに簡略化(結果だけでよい場合)\,のAを素早く求める方法を考える.$
以上を一般化すると以下となる.
(2)\ \ 両辺に$(x+1)^2$を掛けて得られる等式も$x$についての恒等式である.
実戦での利用度が高い数値代入法での解法を示す.\ まず,\ x=-\,1の代入で素早くBを求められる.
Bだけが消えるようなxの値は存在しないので,\ 簡単なx=0を代入してAを求めた.
実は,\ 本問は係数比較法の方が速い. (右辺)=Ax+A+Bより A=5,\ A+B=3
Aを求めるだけならば,\ 恒等式は微分(後に学習)しても恒等式である}ことも利用できる.
5x+3=A(x+1)+B\ の両辺をxで微分}すると 5=A}
部分分数分解すると
(3)\ \ 両辺に$(x-1)(x^2+x+1)=x^3-1$を掛けて得られる等式も$x$についての恒等式である.
簡単に求まる文字から求め,\ その結果を代入しつつ他の文字を求めるとよい.
まず,\ x=1を代入すると直ちにAが求まる.
次に,\ A=2,\ x=0を代入するとCが求める.
後はA=2,\ C=1と簡単なxの値を代入してBを求めればよい.