a+b+c=0\ のとき,\ a^3+b^3+c^3+3(a+b)(b+c)(c+a)=0\ を証明せよ.条件付き等式の証明 \\
$a+b+c=0\ より c=-\,(a+b)}$
$(左辺)}=a^3+b^3+\{-\,(a+b)}\}^3+3(a+b)\{b\,-\,(a+b)}\}\{-\,(a+b)}+a\}$
$=a^3+b^3-(a^3+3a^2b+3ab^2+b^3)+3(a+b)(-\,a)(-\,b)$
$=-\,3a^2b-3ab^2+3ab(a+b)=-\,3a^2b-3ab^2+3a^2b+3ab^2=0}$ \\
[\,対称性と因数分解公式を利用\,]
$a+b+c=0\ より a+b=-\,c,\ \ b+c=-\,a,\ \ c+a=-\,b}$
$(左辺)}=a^3+b^3+c^3+3(-\,c})(-\,a})(-\,b})$
$=a^3+b^3+c^3-3abc$
$=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)}$
$=0}$
等式条件つきの証明は,\ 1文字消去が大原則}である.
1文字消去することで条件を使い切れば,\ 必ず証明できるはずである.
ここではc=の形にして代入することにより,\ cを消去した.\ 後は普通に計算するだけである.
本問のように式に対称性がある場合,\ 対称性を生かす工夫をする}と楽に証明できる(別解).
まず,\ 条件式を変形すると,\ 2文字の和を1文字で表す}ことができる.
これにより,\ 3(a+b)(b+c)(c+a)=-\,3abc\,となる.
その後は因数分解公式(要暗記)を適用し,\ 再びa+b+c=0を利用する.
1文字消去でゴリ押しする解法と対称性を生かす解法の両方を習得しておいてほしい.
1a+1b+1c=1}{a+b+c}\ とする.$
$nが奇数のとき,\ 1}{a^n}+1}{b^n}+1}{c^n}=1}{(a+b+c)^n}\ が成り立つことを示せ.$
$1a+1b+1c=1}{a+b+c} より bc+ca+ab}{abc}=1}{a+b+c}$
$分母をはらうと (bc+ca+ab)(a+b+c)=abc$
$同値変形により (a+b)(b+c)(c+a)=0$
$よって a+b=0\ \ または\ \ b+c=0\ \ または\ \ c+a=0}$
$a+b=0\ のとき a=-\,b}$
与えられた条件式の形のままでは,\ 1文字消去も対称性を生かすのも困難である.
まず,\ 条件式を同値変形して簡潔な表現に変換する}ことを考える.
実質的に,\ 等式の証明というよりも対称式の因数分解}の問題である.
複数の文字を含む因数分解は,\ 最も次数が低い文字で整理して行うのであった.
a,\ b,\ cいずれについても2次なので,\ aで整理することにする.
(bc+ca+ab)(a+b+c)=abc
(bc+ca+ab)(a+b+c)-abc=0
\{(b+c)a+bc\}\{a+(b+c)\}-bca=0 (aの式とみてaで整理してから展開)
(b+c)a^2+\{(b+c)^2+bc\}a+bc(b+c)-bca=0
(b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)=0
(b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}=0
(b+c)(a+b)(a+c)=0
(a+b)(b+c)(c+a)=0 (循環するように整理)
さらに次の同値変形により,\ 条件が簡潔な表現になる.
ABC=0\ ⇔\ A=0\ \ または\ \ B=0\ \ または\ \ C=0}
後は,\ それぞれの場合について左辺と右辺をそれぞれ1文字消去}すると証明できる.
過程が全く同じなのですべて記述する必要はなく,\ 「同様に」で済ませておけばよい.