1の3乗根(虚数立方根)ωの性質、x²+x+1で割ったときの余り

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x^2+x+1=0\ の解の1つを\ \omega\ とするとき,\ 次の値を求めよ.$ \\[1zh] \hspace{.5zw}\begin{tabular}{l} (1)\ \ $\bunsuu{1}{\omega^{20}}+\bunsuu{1}{\omega^{10}}$            (2)\ \ $(1+\omega-\omega^2)(1-\omega+\omega^2)$ \\[1zh] (3)\ \ $1+\omega+\omega^2+\omega^3+\cdots\cdots+\omega^{30}$ \\[.8zh] (4)\ \ $\kumiawase60+\kumiawase61\omega+\kumiawase62\omega^2+\kumiawase63\omega^3+\kumiawase64\omega^4+\kumiawase65\omega^5+\kumiawase66\omega^6$ 1の3乗根(虚数立方根)\ \omega\ の性質}$}}}} \\\\[.5zh]   1の3乗根とは,\ \textcolor{magenta}{$x^3=1$の解}のことである. \\[.5zh]   $x^3-1=0\ より (x-1)(x^2+x+1)=0$    よって\ \ $\bm{\textcolor{cyan}{x=1,\ \ \bunsuu{-\,1\pm\ruizyoukon3\,i}{2}}}$ \\[1zh]   この中で,\ \textbf{\textcolor{red}{2つある虚数解のうちの一方を普通$\bm{\omega}$とおく.}} \\[.2zh]   どちらを$\omega$とおいた場合でも,\ 以下の性質が成立する. \\[.2zh]   理由も問われるので,\ それを理解した上でさらに暗記しておくことが望ましい. $[1]$\ \ $\bm{\textcolor{red}{\omega^3=1}}$ \\[.5zh] $[2]$\ \ $\bm{\textcolor{red}{\omega^2+\omega+1=0}}$ \\[.5zh] $[3]$\ \ $x^3=1\ の3解は \bm{\textcolor{red}{1,\ \ \omega,\ \ \omega^2}}$ [1],\ [2]\ \ \omega\ は,\ 2つの方程式\ \ x^3=1,\ \ x^2+x+1=0\ \ の解である. \\[.2zh]    \ \ よって,\ \omega^3=1,\ \ \omega^2+\omega+1=0\ が成立する. \\[.2zh]    \ \ この\,\omega\,についての等式は,\ \bm{\omega\ の高次式の次数下げ}に利用できる(最重要). \phantom{[3]}\ \ このように,\ \bm{どちらの虚数解を\ \omega\ とおいても,\ 一方を2乗すると他方になる.} \\[.2zh] \phantom{[3]}\ \ よって,\ 1の3つの3乗根は,\ 1,\ \omega,\ \omega^2\ と表すことができる. \\[1zh] \text{[4]}\ \ \bm{実数係数2次方程式の2つの虚数解は互いに共役}なので,\ 一方を\ \omega\ とすると\bm{他方は\ \kyouyaku\omega}\ となる. \\[.2zh] \phantom{[3]}\ \ よって,\ [3]より,\ \omega^2=\kyouyaku\omega\ が成立する. \\[.2zh] \phantom{[3]}\ \ さらに,\ 解と係数の関係\,\alpha\beta=\bunsuu ca\,より\,\bm{\omega\kyouyaku\omega=\bunsuu11=1}\ であることから,\ \kyouyaku\omega=\bunsuu{1}{\omega}\ が導かれる. 問題を見た瞬間に\bm{1の3乗根の問題だと気付けるか}が最大のポイントである. \\[.2zh] あらかじめ,\ \bm{x^2+x+1が特別な式であるという認識}をもっていなければならない. \\[1zh] まず,\ \bm{\omega\ に関して成立する2つの等式\ \omega^3=1,\ \ \omega^2+\omega+1=0\ を導く.} \\[.2zh] 1の3乗根\,\omega\,の性質についての知識をもっていなければ,\ このような発想には至らないだろう. \\[.2zh] 後は,\ この2つの等式を用いて\bm{次数を下げていく}とよい. \\[.2zh] \bm{=0の方程式による高次式の次数下げ}と同様である. \\[.2zh] 等式は2次式であるから,\ どんな高次式であっても必ず1次以下の式にできるはずである. \\[1zh] 先に,\ 3乗以上の項を\ \omega^3=1\ を用いて簡単にする. \\[.2zh] さらに,\ \omega^2=-\,\omega-1\ を繰り返し適用していけば,\ 最終的には必ず1次以下の式にできるのである. \\[.2zh] 状況次第では,\ \bm{\omega^2+\omega=-\,1},\ \bm{\omega^2+1=-\,\omega},\ \bm{\omega+1=-\,\omega^2}\,として利用するとより簡潔に済む. \\[1zh] (1)\ \ \omega^3=1\ で簡単にした後通分し,\ \omega^2=-\,\omega-1\ を適用すると約分できる. \phantom{(1)}\ \ 状況によっては,\ 次数が高くなったとしても\bm{項数を減らす}ことがより効果的である. \\[1zh] (2)\ \ \omega^2=-\,\omega-1\ を適用して次数を下げ,\ 括弧内を整理してから展開するとよい. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 展開後に再び次数下げをしたが,\ 2(1+\omega)(-\,2\omega)=2(-\,\omega^2)(-\,2\omega)=4\omega^3=4\ とした方が速い. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ また,\ 別解のようにうまく\bm{項数を減らす}とより簡潔に済む. \\[1zh] (3)\ \ \omega^2+\omega+1=0\ の利用を見越し,\ \bm{3項ずつ組み合わせる.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 数\text B:数列の知識があれば,\ 初項1,\ 公比\,\omega,\ 項数31の等比数列の和として扱える(別解). \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 初項a,\ 公比r,\ 項数nの等比数列の和 \bm{\bunsuu{a(1-r^n)}{1-r}}\ \ (r\neqq1) \\\\ (4)\ \ 最悪ゴリ押しで計算しても求まるが,\ 当然そのような出題意図ではない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{二項係数\,\kumiawase nr\,の和を見かけたとき,\ (1+x)^n\,の二項展開式を考える}ことが基本であった. \phantom{(1)}\ \ 本問の式はx=\omega,\ n=6の場合なので(1+\omega)^6\,とでき,\ さらに\bm{項数を減らす}と簡潔に求まる.$a,\ b$を実数,\ $z$を虚数とするとき,\ $a+bz=0\ \Longleftrightarrow\ a=0\ かつ\ b=0$が成り立つ \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ ことを示せ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ $2x^{100}+3x^{99}+x^{98}$を$x^2+x+1$で割ったときの余りを求めよ.{x^2+x+1で割ったときの余り}$a+bz=0\ \Longrightarrow\ a=0\ かつ\ b=0$}を示す. \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ \textcolor{red}{$b\neqq0$と仮定する}と$z=-\bunsuu ab$とできるが,\ \textcolor{red}{$(虚数)=(実数)$なので矛盾}である. \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ よって $b=0$   このとき $a+bz=0$より $a=0$ $a=0\ かつ\ b=0\ \Longrightarrow\ a+bz=0$}\ は明らかに成り立つ. \\[1zh] \centerline{$\therefore \bm{a+bz=0\ \Longleftrightarrow\ a=0\ かつ\ b=0}$\ が成り立つ.$2-n,\ 1-m$は実数,\ $\omega$は虚数 (1)\ \ 複素数の相等条件は,\ \bm{\Cnum{a}+{b}\ \Longleftrightarrow\ a=0\ かつ\ b=0}\ (a,\ b:実数)であった. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 本問は,\ iではなく虚数zの場合も同様の定理が成り立つことの証明である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ iの場合と同様,\ \bm{背理法}で証明する.\ 手順も同様である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ b\neqq0を仮定し,\ b=0ではできない(bで割る)ことをあえて行うと矛盾が生じる. \\[1zh] (2)\ \ 2次式で割ったときの余りを求めるとき,\ \bm{割り算について成り立つ等式を作成する}のであった. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 割る式が2次式なので,\ \bm{余りは1次以下の式}である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 実数係数の整式の割り算であるから,\ \bm{余りも実数係数}になるはずである. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ Q(x)が消えるようなxの値を両辺に代入することになるが,\ これは虚数\,\omega\,に他ならない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \omega\,を利用するという発想に至るには,\ \bm{x^2+x+1が特別な式である}という認識が必要である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 左辺は\,\omega\,の100次式だが,\ 2つの等式を利用して\,\omega\,の1次式にまで次数下げできる. \phantom{(1)}\ \ =0の形に整理すると,\ (1)を利用できる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ (1)は,\ \bm{a,\ bが実数,\ zが虚数という前提条件のもとで成り立つ}ので,\ これの確認が必須である.