3次方程式の代数的解法(3次方程式の解の公式、カルダノの方法)

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本項は発展的な内容です。

complex-number-equality
1の虚数立方根の1つを$\omega$とするとき,\ 次の等式が成り立つことを示せ. \\[.2zh]      $a^3-b^3-c^3-3abc=(a-b-c)(a-b\omega-c\omega^2)(a-b\omega^2-c\omega)$ \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ (1)を利用して$x^3+3x-14=0$の解をすべて求めよ.\ \ $\omega$を用いて答えてよい. \\ 3次方程式の代数的解法}$}}}} \\\\[.5zh]  (1)\ \ $(右辺)=(a-b-c)(a^2-ab\omega^2-ca\omega-ab\omega+b^2\omega^3+bc\omega^2-ca\omega^2+bc\omega^4+c^2\omega^3)$ \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ $\phantom{(右辺)}=(a+b+c)\{a^2+b^2+c^2+(-\,ab+bc-\,ca)\omega^2+(-\,ab+bc-\,ca)\omega\}$ \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ $\phantom{(右辺)}=(a+b+c)\{a^2+b^2+c^2+(-\,ab+bc-\,ca)(\textcolor{red}{\omega^2+\omega})\}$ \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ $\phantom{(右辺)}=(a-b-c)(a^2+b^2+c^2+ab-bc+ca)$  {\small $[\,\textcolor{brown}{\because\ \ \omega^2+\omega=-\,1}\,]$} \\[.2zh] \phantom{ (1)}\ \ $\phantom{(右辺)}=a^3-b^3-c^3-3abc=(左辺)$ \\\\[1zh] \centerline{{\small $\left[\textcolor{brown}{\begin{array}{l} 複雑な右辺を展開し,\ 簡単な左辺を導けばよい. \\[1zh] \bm{1の虚数立方根\,\omega\,の性質}を(1)でも(2)でも利用する必要があるので,\ 一通りおさらいする. \\[.2zh] \omega\,はx^3=1,\ つまり(x-1)(x^2+x+1)=0の虚数解だが,\ \omega\neqq1よりx^2+x+1=0の解である. \\[.2zh] よって,\ \bm{\omega^3=1},\ \ \bm{\omega^2+\omega+1=0}\ が成り立つ.\ この等式を用いて\,\bm{\omega\,の次数を下げる}のであった. \\[1zh] x^2+x+1=0を解くと x=\bunsuu{-\,1\pm\ruizyoukon3\,i}{2} \\[.8zh] \bm{2つの共役な虚数解のうちどちらを\,\omega\,としても,\ もう一方は\,\omega^2}\,となる. \\[1zh] 変形の最終過程で導かれる等式は,\ 以下の因数分解公式でb\,→\,-b,\ c\,→\,-c\ としたものである. \\[.2zh]    \bm{a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)} \\[.2zh] つまり,\ 本問で与えられた等式は,\ これをさらに\bm{もう一段階因数分解した式}である. \\[.2zh] 実数の範囲ではできない1次式への因数分解が,\ 複素数の範囲では可能なのである. \\[1zh] 因数分解公式を利用すると,\ 左辺から右辺に変形することができる. \\[.2zh] b\,→\,-b,\ c\,→\,-cとして公式を適用した後,\ a^2+b^2+c^2+ab-bc+caをさらに因数分解する. \\[.2zh] 複数の文字を含む因数分解では,\ 1つの文字の式とみなすことが重要なのであった. \\[.2zh] aの式とみなすと\ a^2+(b+c)a+b^2-bc+c^2\ となるが,\ たすき掛けでは因数分解できない. \\[.2zh] x^2+px+q=0の2つの解が\,\alpha,\ \beta\,のときx^2+px+q=(x-\alpha)(x-\beta)となることを利用する. \\[.2zh] aの2次方程式a^2+(b+c)a+b^2-bc+c^2=0の2解\,\alpha,\ \beta\,を求めると,\ (a-\alpha)(a-\beta)とできる. \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ これは,\ 3次方程式$\textcolor{red}{x^3-3bcx-b^3-c^3=0}\ \cdots\maru1$が次の3解をもつことを意味する. \\[.5zh] \centerline{$\textcolor{red}{x=b+c,\ \ b\omega+c\omega^2,\ \ b\omega^2+c\omega}$} \\[1zh] \phantom{ (1)}\ \ \maru1の左辺と$x^3+3x-14$の係数を比較すると $\textcolor{cyan}{-\,3bc=3,\ \ -\,b^3-c^3=-\,14}$ \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ $\textcolor{forestgreen}{b^3c^3=-\,1,\ \ b^3+c^3=14}$\ より,\ 2解$b^3$,\ $c^3$をもつ2次方程式は $t^2-14t-1=0$ \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ これを解いて $t=7\pm5\ruizyoukon2$ \\[.5zh] \phantom{ (1)}\ \ 対称性より,\ $b^3=7+5\ruizyoukon2,\ \ c^3=7-5\ruizyoukon2$\ としても一般性を失わない. \\[.5zh] 3次方程式の解は3個しかない}}から 突然だが,\ 3次方程式\,\bunsuu12x^3+\bunsuu32x^2+3x-5=0\ \cdots\,\maru{\text A}を因数定理を利用せずに解くことを考えよう. \\[.8zh] 全ての3次方程式は,\ x^3\,の係数が1になるように変形できる. x^3+3x^2+6x-10=0 \\[.2zh] 次に,\ 左辺に\bm{立方完成}なる式変形を施す. \\[.2zh] これは,\ x^2\,とx^1\,の項をまとめて基本形(x-p)^2+qにする平方完成と同様の変形である. \\[.2zh] x^3\,とx^2\,の項をまとめ,\ さらにx^1\,の項も形を合わせて(x-r)^3+p(x-r)+qにする. \\[.2zh] x-r=Xとおくことで,\ \bm{全ての3次方程式は2次の項がないX^3+pX+q=0の形に帰着する.} さて,\ (1)でa=x,\ -\,3bc=p,\ -\,b^3-c^3=qとすると,\ \bm{左辺はx^3+px+q}になる. \\[.2zh] つまり,\ (1)は\bm{x^3+px+qをxの1次式の3つの積に因数分解できる}ことを意味している. \\[.2zh] 因数分解できるということは,\ x^3+px+q=0の解を求められるということである. \\[1zh] 実際には,\ \bm{bc=-\bunsuu p3,\ \ b^3+c^3=-\,q\,となるb,\ cを求める}必要がある. \\[.8zh] 1文字消去してもよいが,\ \bm{対称性を生かしてb,\ cを求める}のがスマートである. \\[.2zh] b^3c^3=-\bunsuu{p^3}{27}\,とした後b^3=B,\ c^3=Cとおくと,\ \bm{BC=-\bunsuu{p^3}{27},\ B+C=-\,q}の連立になる. \\[.8zh] ただし,\ \bm{b^3c^3=-\bunsuu{p^3}{27}\,は\,bc=-\bunsuu p3\,であるための必要条件}であることに注意する. \\[.8zh] 例えば,\ x^3=1だからといってx=1とは限らず,\ x=\omega,\ \omega^2\,の可能性もあるわけである. \\[.2zh] 後でb^3c^3=-\bunsuu{p^3}{27}\,として求まった解がbc=-\,1を満たすかを確認しているのはこのためである. \\[.8zh] B+C,\ BCは2変数基本対称式なので,\ B,\ Cを解にもつ2次方程式を作成できる. \\[.2zh] (t-B)(t-C)=0,\ つまり\bm{t^2-(B+C)t+BC=0}を作成して解けばよい. \\[1zh] b^3,\ c^3\,からb,\ cを求めるとき,\ 前提知識が要るので確認する. \\[.2zh] まず,\ \bm{\ruizyoukon[3]{A}}\,を「3乗根A」といい,\ \bm{3乗してAになる\underline{実数}}を表す(指数分野で学習).  \rei\ \ \ruizyoukon[3]{8}=2 \\[.4zh] 次に,\ x^3=Aのとき,\ \bm{x=\ruizyoukon[3]{A},\ \ruizyoukon[3]{A}\omega,\ \ruizyoukon[3]{A}\omega^2}\ である.\ \ 特にA=1のときx=1,\ \omega,\ \omega^2\,である. \\[.5zh] よって,\ bとcの組み合わせは全部で3\times3=9組ある. \\[.2zh] この中でbc=-\,1を満たすb,\ cの組を探すと,\ その1つに(b,\ c)=(\ruizyoukon[3]{B},\ \ruizyoukon[3]{C}\,)が見つかる. \\[.2zh]  bc=\ruizyoukon[3]{B}\ruizyoukon[3]{C}=\ruizyoukon[3]{BC}=\ruizyoukon[3]{49-50}=\ruizyoukon[3]{-\,1}=-\,1 (3乗して-1になる\underline{実数}は-1のみ) \\[.2zh] このb,\ cをx=b+c,\ b\omega+c\omega^2,\ b\omega^2+c\omega\,に代入すると3個の解が求まる. \\[.2zh] \bm{3次方程式の解は3個しかないから,\ 他のb,\ cの組を探すまでもなくこれが答え}で確定する.  本問から\textbf{\textcolor{blue}{3次方程式を解く一般的な手順}}がわかったことになるので,\ 改めて整理する. \\[1zh]   [1]\ \ \textbf{\textcolor{purple}{立方完成}}により,\ 2次の項がない$\bm{\textcolor{red}{x^3+px+q=0}}$の形に変形する. \\[.7zh]   [2]\ \ $\bm{\textcolor{magenta}{x^3+px+q}}$と$\bm{\textcolor{magenta}{x^3-3bcx-b^3-c^3}}$が一致するような$b,\ c$を求める. \\[.7zh]   [3]\ \ \textbf{\textcolor{forestgreen}{$\bm{x^3-b^3-c^3-3xbc=(x-b-c)(x-b\omega-c\omega^2)(x-b\omega^2-c\omega)}$}}\ より \\[.2zh]      $\bm{\textcolor{red}{x=b+c,\ \ b\omega+c\omega^2,\ \ b\omega^2+c\omega}}$ \\\\  実際に$x^3+px+q=0$の3解を求めてみる. \\[1zh]  $b^3+c^3=-\,q$,\ \ $b^3c^3=-\bunsuu{p^3}{27}$より,\ \ $b^3,\ c^3$は$t^2+qt-\bunsuu{p^3}{27}=0$の2解である. \\[.5zh]  これを解くと $t=\bunsuu{-\,q\pm\ruizyoukon{q^2+\bunsuu{4p^3}{27}}}{2}=-\bunsuu q2\pm\ruizyoukon{\bunsuu{q^2}{4}+\bunsuu{p^3}{27}}$ \\[.8zh]  結局,\ $x^3+px+q=0$の3解は以下であり,\ これは\textbf{\textcolor{blue}{3次方程式の解の公式}}に他ならない. \\[1zh] 公式\bm{a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)}は,\ 数\text Iで学習した. \\[.2zh] 他の因数分解公式に比べ複雑で,\ 最初は公式の存在意義・学習意義に疑問を感じた学生も多いだろう. \\[.2zh] 3変数基本対称式への変形や3変数の相加相乗\,\bunsuu{a+b+c}{3}\geqq\ruizyoukon[3]{abc}の証明でも利用した. \\[.8zh] それら以上に,\ \bm{3次方程式の解の公式を作り出すという凄まじい潜在力を秘めた公式}だったのである. \\[1zh] 受験生にとっては因数分解公式の利用が重要だが,\ 最初に発表されたのは\bm{カルダノの方法}である. \\[.5zh]  x=b+cとおくとx^3+px+q=0より (b+c)^3+p(b+c)+q=0 \\[.2zh]  整理すると b^3+c^3+q+(3bc+p)(b+c)=0 \\[.2zh]  よって,\ b,\ cがb^3+c^3+q=0,\ \ 3bc+p=0を満たすことが十分条件である. \\[.2zh]  つまり,\ bc=-\bunsuu p3,\ \ b^3+c^3=-\,q\ であり,\ 先程と同様にして3組の(b,\ c)を求めればよい. \\[1zh] なお,\ 真の発見者はタルタリアである.\ 解法を聞いたカルダノが勝手に自著で発表したとされる. \\[1zh] 2次方程式の解の公式は,\ 紀元前からすでに知られていた. \\[.2zh] 16世紀になってようやく3次方程式の解の公式を発見した数学者達だが,\ 1つの困難に直面する. \\[.2zh] x^3-15x-4=0の解を求めるとしよう. \\[.2zh] 因数定理を用いると,\ (x-4)(x^2+4x+1)=0より,\ 3つの実数解x=4,\ -\,2\pm\ruizyoukon3\ をもつ. \\[.4zh] しかし,\ 解の公式を用いると,\ \ruizyoukon{\bunsuu{q^2}{4}+\bunsuu{p^3}{27}}=\ruizyoukon{4-125}=\ruizyoukon{-\,121}=11i\ のように虚数が現れる. \\[.8zh] 16世紀当時は,\ 虚数はおろか,\ 負数に対してさえ抵抗感がある時代であった. \\[.2zh] しかし,\ 「虚数は想像上の数」などといっていると,\ 解の公式で求めたときだけ解なしになってしまう. \\[.2zh] 実は,\ \bm{3次方程式の解の公式は,\ 最終的には実数になる場合でも,\ 計算途中には虚数が現れる.} \\[.2zh] このような事情で,\ 数学者達は虚数を受け入れざるを得なくなったのである. 実数解$x=\ruizyoukon[3]{7+5\ruizyoukon2}+\ruizyoukon[3]{7-5\ruizyoukon2}$をもつ係数が整数の3次方程式を1つ求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ $x$が整数であることを示せ. (1)\ \ 3次方程式の解の公式の背景知識をもっていなければ,\ 式に圧倒されてしまうかもしれない. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{3乗して3乗根をはずす}ことを考える.\ 以下,\ \alpha=\ruizyoukon[3]{7+5\ruizyoukon2},\ \ \beta=\ruizyoukon[3]{7-5\ruizyoukon2}\,とする. \\[.2zh] (2)\ \ 因数定理で簡単に解を求められる3次方程式である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ \bm{因数定理による解と解の公式による解を比較}してこのような等式を導く問題を時々見かける. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 有理数解をもつ3次方程式であっても,\ 解の公式を使うと複雑な形で導かれてしまうのである.
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