-\,1,\ 2,\ 3を3解とする3次方程式を1つ作成せよ.$
(2)\ \ $連立方程式\ x+y+z=0,\ x^2+y^2+z^2=14,\ x^3+y^3+z^3=-\,18\ を解け.$
\ \ ただし,\ $x≧ y≧ z$とする.
(3)\ \ $x^3-2x^2+x-3=0$の3つの解を$α,\ β,\ γ$とするとき,\ $α+β,\ β+γ,\ γ+α$を
\ \ 3つの解にもつ3次方程式を1つ作成せよ. \\
3つの解から3次方程式の作成}$ \\
3つの解$α,\ β,\ γ}$をもつ3次方程式の1つは $(x-α)(x-β)(x-γ)=0$
左辺を展開して整理すると $x^3-(α+β+γ)x+(αβ+βγ+γα)x-αβγ=0$
$α+β+γ,\ \ αβ+βγ+γα,\ \ αβγ$は,\ 3変数の基本対称式である.
$α+β+γ=p},\ \ αβ+βγ+γα=q},\ \ αβγ=r\ とすると$
(1)\ \ $3つの解を\ α=-\,1,\ β=2,\ γ=3\ とすると$
(1)\ }$
α+β+γ}=-\,1+2+3=4}
αβ+βγ+γα}=(-\,1)・2+2・3+3・(-\,1)=1}
αβγ}=(-\,1)・2・3=-\,6}
$
∴ x^3-4x^2+x+6=0}$}
(2)\ \ $x^2+y^2+z^2=(x+y+z)^2-2(xy+yz+zx)}=0-2(xy+yz+zx)=14$
よって $xy+yz+zx=-\,7}$
$x^3+y^3+z^3=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)+3xyz}=0+3xyz=-\,18$
よって $xyz=-\,6}$
$x,\ y,\ z$を3つの解にもつ3次方程式の1つは $t^3-\,7}t+6}=0$
よって $(t-1)(t-2)(t+3)=0$\ より $t=1,\ 2,\ -\,3$
∴\ \ x≧ y≧ z\,より (x,\ y,\ z)=(2,\ 1,\ -\,3)}$}
$\left[l}
x+y=1,\ x^2+y^2=1程度の連立ならば,\ 1文字消去法も有効である.
しかし,\ 3変数でしかも2次式や3次式がある本問の場合,\ 1文字消去によるゴリ押しは厳しい.
対称性を生かしてスマートに解くことが要求される.
つまり,\ 基本対称式の値を求め,\ 3次方程式を作成することになる.
対称式の基本変形により,\ xy+yz+zxとxyzの値を求められる.\ 以下の因数分解公式を利用する.
x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)}
文字xは問題で使用済みであるから,\ 文字tを用いて3次方程式を作成した.
後は,\ 因数定理}を利用して因数分解する.\ すぐにt=1を解にもつとわかる.
(t-1)(t^2+t-6)=0 \\[-4.3zh]
35.5zw}+-1.5zw}\syndiv{1,0,-7,6}{1}
x≧ y≧ zがない場合,\ 6組をすべて答える必要がある(3個の数字の並び方は3!=6通り).
(3)\ \ 解と係数の関係より $α+β+γ=2,\ \ αβ+βγ+γα=1,\ \ αβγ=3$
$(α+β)+(β+γ)+(γ+α)}=2(α+β+γ)=4}$
$(α+β)(β+γ)+(β+γ)(γ+α)+(γ+α)(α+β)}$
$=(2-γ)(2-α)+(2-α)(2-β)+(2-β)(2-γ)$
$=4-2(γ+α)+γα+4-2(α+β)+αβ+4-2(β+γ)+βγ$
$=12-4(α+β+γ)+(αβ+βγ+γα)=12-4・2+1=5}$
$(α+β)(β+γ)(γ+α)}=(2-γ)(2-α)(2-β)$
ここで,\ $x^3-2x^2+x-3=(x-α)(x-β)(x-γ)$とおける.
両辺に$x=2$を代入すると $-\,1=(2-α)(2-β)(2-γ)}$
∴\ \ x^3-4x^2+5x+1=0}$} \\
解と係数の関係より $α+β+γ=2$
よって,\ $2-α,\ 2-β,\ 2-γ$を解にもつ3次方程式を作成すればよい.
$2-α=A,\ 2-β=B,\ 2-γ=C}$とおくと $α=2-A,\ β=2-B,\ γ=2-C}$
$α,\ β,\ γ$は$x^3-2x^2+x-3=0$を満たすから
$(2-A)^3-2(2-A)^2+(2-A)-3=0$
$(2-B)^3-2(2-B)^2+(2-B)-3=0$
$(2-C)^3-2(2-C)^2+(2-C)-3=0$
よって $A^3-4A^2+5A+1=0,\ \ B^3-4B^2+5B+1=0,\ \ C^3-4C^2+5C+1=0$
∴\ \ 求める3次方程式は\ \ x^3-4x^2+5x+1=0}$
α+β=A,\ β+γ=B,\ γ+α=Cとおく.
A+B+C,\ AB+BC+CA,\ ABCを求める}と,\ A,\ B,\ Cを3解とする3次方程式を作れる.
AB+BC+CAとABCはそのまま展開してしまうと後の計算が大変になる.
α+β+γ=2\,より\,α+β=2-γ\,であることなどを利用し,\ 文字を減らす}と楽になる.
さらに,\ (k-α)(k-β)(k-γ)の値を求めるとき,\ 以下が成り立つことを利用するのが有効であった.
ax^3+bx^2+cx+d=0の解がx=α,\ β,\ γ\,のとき ax^3+bx^2+cx+d=a(x-α)(x-β)(x-γ)
別解は「解の変換」}という考え方を用いたものであり,\ 2次方程式の作成の項でも取り上げた.
元の解\,α,\ β,\ γ\,に対し同じ変換操作をしたものを解にもつ方程式を作成できる.
実際には,\ 新たな解を一旦文字でおき,\ α,\ β,\ γ\,について解く.
この\,α,\ β,\ γ\,はx^3-2x^2+x-3=0の解なのであるから,\ 当然代入すると成り立つ.
整理すると,\ x^3-4x^2+5x+1=0にx=A,\ B,\ Cを代入した式ができる.
これは,\ x^3-4x^2+5x+1=0がA,\ B,\ Cを解にもつ3次方程式であることを意味している.