実数係数のn次方程式\ a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+・・・+a_1x+a_0=0\ がある.$
$この方程式が虚数解\ α\ を解にもつとき,\ その共役複素数\ α\ も解にもつことを示せ.$ \\
{実数係数方程式が共役複素数解をもつことの証明}$ \\
実数係数の2次方程式は,\ 解の公式より明らかに$\Cnum{a}±{b}\ (b≠0)$をペアで解にもつ.
3次以上の方程式の場合も同様であることを証明する.
事実としては何となく知っていても,\ 証明を知らないという学生が多い.
非常にスマートな証明があるので,\ 習得しておいてほしい. \\
共役複素数に関する以下の性質を利用する.
両辺の共役複素数をとると
共役複素数に関する性質[1],\ [2],\ [3]は覚えておく.
要は,\ 上のバーはどんどん分割してもかまわない}ということである.
さて,\ x=α\ を解にもつということは,\ x=α\,を代入して成り立つということである.
x=α\,を代入した式に対し,\ 両辺の共役複素数をとる.}
[1],\ [2]\,よりバーを分割でき,\ [3]より実数係数a_n,\ ・・・,\ a_0\,のバーは取り払える.}
ここで「実数係数」という条件が効いてくることに注意してほしい.
つまり,\ x=α\ は方程式①の解であるといえる.
この定理は,\ 通常の問題の中では無断使用してもかまわない.
「実数係数}のn次方程式が虚数解\Cnum{a}+{b}をもつとき,\ 共役複素数\Cnum{a}-{b}も解にもつ」
ただし,\ 使用の際に「実数係数なので」の一言は必須}である.
n次方程式は,\ 複素数の範囲では必ずn個の解をもつのであった.
よって,\ 実数係数の奇数次の方程式が少なくとも1個の実数解をもつ}こともわかる.
3次方程式ならば3個の解をもつから,\ ペアが作れない少なくとも1個は実数解である.
また,\ 以下の類似の定理も有名である(無断使用可能).\ \ a,\ bを有理数,\ √ k\,を無理数}とする.
「有理数係数}のn次方程式が無理数解a+b√ k\,をもつとき,\ 共役無理数a-b√ k\,も解にもつ」
α=a+b√ k\,の共役無理数を\,α=a-b√ k\,とおけば,\ 証明は全く同じである.
a_n,\ ・・・,\ a_0\,が有理数係数ならば,\ a_n}=a_n,\ ・・・,\ a_0}=a_0\,が成り立つからである.