検索用コード
この不等式が,\ \bm{二項定理を途中で打ち切ってできる不等式}であることを知っておく必要がある. \\[.2zh] 一度理解してしまえば簡単には忘れないだろう.\ 高校数学で時々登場し,\ 意外な活躍を見せる. \\[.2zh] 証明も,\ 実際に二項展開して途中で打ち切るだけである. \\[.2zh] (a+b)^n=\kumiawase n0a^n+\kumiawase n1a^{n-1}b+\kumiawase n2a^{n-2}b^2+\cdots+\kumiawase nra^{n-r}b^r+\cdots+\kumiawase{n}{n-1}ab^{n-1}+\kumiawase nnb^n \\[.2zh] h>0で,\ さらに常に\,\kumiawase nk>0\,なのですべての項が正であり,\ 途中で打ち切ると小さくなる. \\[.2zh] 二項定理さえ理解していれば簡単な証明だが,\ \bm{場合分けを必要とする}という思わぬ落とし穴がある. \\[.2zh] \kumiawase n2\,の項で打ち切るわけだが,\ \kumiawase n2\,はn\geqq2でしか定義されない.\ \kumiawase 12\,などとなると意味不明である. \\[.2zh] \bm{極限を考えやすい整式でr^n\,を評価できる}という点で意義深い不等式であり,\ 以下で利用する.
証明せずとも自明だろうと思ったかもしれない. \\[.2zh] 確かに,\ 例えばr=2ならば2,\ 4,\ 8,\ \cdots\ となるから,\ 無限大に発散するのは明らかである. \\[.2zh] しかし,\ r>1ということはr=1.01などの場合もあり得るということである. \\[.2zh] このとき,\ 1.01,\ 1.0201,\ 1.030301,\ \cdots\ であり,\ もはや自明ではない.\ 厳密な証明が必要である. \\[.2zh] r=1+hとおいて二項定理による不等式を利用するこの証明は,\ 経験がないと思い浮かばない. \\[.2zh] \dlim{n\to\infty}r^n\,の結果を丸暗記している学生が多いが,\ \bm{誘導なしで証明できるようにしておく}べきである. \\[.5zh] (1)はh>0のとき成り立つ不等式なので,\ その適用条件を満たすかを確認した上で適用する. \\[.2zh] ここでは(1)を利用したが,\ (2)の証明だけなら二項定理を\,\kumiawase n1\,の項で打ち切れば十分である. \\[.2zh] 二項定理を\,\kumiawase n1\,の項で打ち切った(1+h)^n\geqq1+nhを特にベルヌーイの不等式という.
0<\bunsuu{n}{r^n}\,は明らかであるから,\ 極限が0に収束するもので上から評価できればよい. \\[.6zh] 分子がn\,(1次式)であることを考慮すると,\ \bm{\bunsuu{n}{(nの2次以上の式)}}\ となれば極限が0に収束する. \\[.8zh] このためには,\ \bm{(1)の不等式の右辺の3項目のみ取り出してくれば十分}である. \\[.2zh] (4)や(6)の証明は,\ (2),\ (3)よりもはるかによく問われる.\ 誘導なしで証明できるのが望ましい. \end{array}}\right]$}} \\\\\\\\  (5)\ \ $\textcolor{cyan}{h>0,\ n\geqq3}$のとき,\ \textcolor{magenta}{二項定理}より \\[.5zh] はさみうちの原理より \bm{\dlim{n\to\infty}\bunsuu{n^2}{r^n}=0}$} \\\\[1zh] \centerline{{\small $\left[\textcolor{BrickRed}{\begin{array}{l} 分子がn^2\,(2次式)であるから,\ 極限が0に収束するためには分母が3次式でなくてはならない. \\[.2zh] 二項定理を\,\kumiawase n3\,の項で打ち切った不等式を利用する必要があり,\ まずはそれを証明する. \\[.2zh] このとき,\ h>0とn\geqq3という条件がなければならないことに注意してほしい. \\[.2zh] n→\,\infty\,とするのであるから,\ 不等式の証明問題でもない限りn=1,\ 2のときを確認する必要はない. \\[1zh] 同様にして,\ \dlim{n\to\infty}\bunsuu{n^k}{r^n}=0\ (k:自然数)であることも示される. \\[.6zh] これは,\ \bm{r^n\,の発散速度がn^k\,の発散速度に比べてはるかに速い}ことを意味している. \\[.2zh] n→\,\infty\,の世界では,\ 2^n\,と比べるとn^2\,だろうがn^{10000}\,だろうが無同然というわけである.
r=\bunsuu1s\,とおいて(4)を利用してもよいが,\ 通常は単独で問われるので(1)を利用する方針でいく. \\[.6zh] もっとも,\ r=\bunsuu{1}{1+h}\,とおけば(4)と全く同じである. \\[.6zh] r=1+hとおいても0<r<1より-1<h<0なので,\ h>0が必要な(1)は適用できない.
本問は二項定理を使わずとも証明できる.\ まず,\ \bm{n個の分数に分割}して考える. \\[.2zh] n→\,\infty\,とするのであるから,\ n\geqq r+1としてよい. \\[.2zh] このとき,\,\bunsuu{r}{n-1}\leqq1,\ \bunsuu{r}{n-2}\leqq1,\ \cdots,\ \bunsuu rr=1なので,\ これを利用して上から評価する. \\[.6zh] 最終的に0に収束させることを見越し,\ \bm{\bunsuu rn\,だけはそのままにしておく}のがポイントである. \\\\
本問の結果は,\ \bm{n\kaizyou\,の発散速度がr^n\,の発散速度に比べてはるかに速い}ことを意味している. \\[.2zh] 結局,\ 発散速度は\ n<n^2<n^3<\cdots<n^{10000}<\cdots<2^n<3^n<\cdots<10000^n<\cdots<n\kaizyou\ である. \\[.2zh] この事実は極限の予想に役立つので覚えておくべきである. \end{array}}\right]$}} \\\\\\\\  (8)\ \ $\textcolor{red}{n>1}$のとき,\ $\textcolor{red}{\ruizyoukon[n]{n}=1+h}$とおくと$\textcolor{cyan}{h>0}$である.本問も二項定理の不等式を利用する有名問題である.\ 一度は経験が必要だろう. \\[.2zh] n→\,\infty\,とするのであるからn>1としてよく,\ このとき\ruizyoukon[n]{n}>1である. \\[.2zh] よって,\ \ruizyoukon[n]{n}=1+h\,とおくとh>0となり,\ (1)を適用できる. \\[.2zh] 全てのnを同時に極限にとばさなければならないので,\ \dlim{n\to\infty}n^{\frac1n}=\dlim{n\to\infty}n^0=1としてはならない.