整式を2次以上の式で割ったときの余り

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x^n\ (n≧2)を\ x^2-1\ で割ったときの余りを求めよ.$ (2)\ \ $x^{11}\ を\ x^2+1\ で割ったときの余りを求めよ.$ (3)\ \ 整式$P(x)$は,\ $x-1$で割ると余りが4,\ \ $(x+1)(x+2)$で割ると余りが$-\,3x-5$で \ \ ある.\ このとき,\ $P(x)$を$(x-1)(x+1)(x+2)$で割ったときの余りを求めよ. (4)\ \ 整式$P(x)$は,\ $x^2+x+1$で割ると余りが$2x-1$,\ \ $x-1$で割ると余りが7である. \ \ このとき,\ $P(x)$を$x^3-1$で割ったときの余りを求めよ. (5)\ \ 整式$P(x)$は,\ $(x-2)^2$で割ると余りが$2x+5$,\ \ $x-3$で割ると余りが15である. \ \ このとき,\ $P(x)$を$(x-2)^2(x-3)$で割ったときの余りを求めよ. \次以上の式で割ったときの余り}$ \\  剰余定理の原理が理解できていれば,\ 2次式で割ったときの余りも同様にして求められる.  とにかく,\ まず\割り算について成り立つ等式を作成する.  このとき,\ $n}$次式で割ったときの余りは,\ $n-1}$次以下の式となることに注意する.  よって,\ 2次式で割ったとき,\ 余りは\ $ax+b}$\ とおくことになる.  後は,\ 商$Q(x)}$が消えるような値を両辺の$x}$に代入すればよい. x^n=(x+1)(x-1)Q(x)+ax+b}\ とおける.$  (1)\ \ }$両辺にx=1を代入}すると 2.1zw}1^n=a+b$  (1)\ \ }$両辺にx=-1を代入}すると (-\,1)^n=-\,a+b$  (1)\ \ }$連立すると  余りをax+bとおくことになるので,\ 未知数が2つを特定するには,\ 方程式が2つ必要である. そのためには,\ 商Q(x)が消えるような値を2つ代入しなければならない. 割る式は2次式なので基本的には=0となる解を2つもつはずであり,\ それを代入すればよい. 場合分けすると簡潔な答えになる.\ nの値によらず,\ 1^n=1である.  nが偶数}のとき (-\,1)^n=1より  余りは\ 1}  nが奇数}のとき (-\,1)^n=-\,1より 余りは\ x} {x^{11}=(x^2+1)Q(x)+ax+b\ (a,\ b:実数)}\ とおける.$  (1)\ \ }両辺に$x=i$を代入}すると $i^{11}=ai+b$  (1)\ \ }よって         \ \ .2zw}$-\,i=ai+b$ {a,\ bは実数であるから  求める余りは -\,x}$ 実数係数の割り算であるから,\ 余りも実数係数}になるはずである. Q(x)を消去するため,\ x^2+1=0となるx=±\,iを代入する.\ 恒等式には虚数を代入してもよい. i^2=-\,1,\ i^3=-\,i,\ i^4=1\ より i^{11}=i^4・ i^4・ i^3=-\,i 後は,\ 複素数の相等条件\ \Cnum{a}+{b}=\Cnum{c}+{d}\ ⇔\ a=c,\ b=d}\ を用いる. ただし,\ 実部と虚部が実数という前提条件がある}ので,\ 下線部}の記述が必須である. さて,\ 実数係数の方程式が虚数解を持つとき,\ その共役複素数も必ず解にもつ}のであった. つまり,\ x=iを解にもつという条件とx=-\,iを解にもつという条件は一体的なものである. よって,\ 虚数解の場合,\ 共役複素数のうちの一方を代入するだけで余りを特定できる. 最悪,\ 普通に筆算で割り算して求めることができる.  (3)\ \ $P(x)$を$(x-1)(x+1)(x+2)$で割ったときの商を$Q(x)$とする. $P(x)$を$(x+1)(x+2)$で割ったときの商を$Q_1(x)$とする.  $P(x)$を$(x-1)(x+1)(x+2)$で割ったときの商を$Q(x)$とする. $P(x)=(x-1)(x+1)(x+2)Q(x)+a(x+1)(x+2)-3x-5}\ ・・・・・・\,①$\ とおける. $P(x)$は$x-1$で割ると余りが4であるから  3次式(x-1)(x+1)(x+2)で割るのであるから,\ 余りは2次以下}であり,\ ax^2+bx+cとおける. 未知数3個を特定するには,\ 式が3つ必要である. まず,\ 剰余定理よりP(1)=4である. P(x)=(x-1)Q'(x)+4にx=1を代入するのが剰余定理の原理であった. 1次式で割ったときの余りの条件については等式を作る必要はなく,\ 直ちにP(1)=4とすればよい. 2次式で割ったときの余りの条件については等式を作り,\ Q_1(x)が消える値を代入する. Q_1(x)が消える値は2つあるから,\ 2つの条件に変換される. 後は,\ ①に3つの値を代入してできる3式を連立すればよい. 別解は,\ 2つの余りの条件うちの一方を最初から等式に組み込む}というスマートな解法である. 本解のように余りをax^2+bx+cとおくと,\ 文字が多くなり後処理が面倒になる. より高次の式で割ったときの余りの条件を優先的に等式に組み込む}と文字を減らすことができる. 本解の①を(x+1)(x+2)で割ったとき,\ (x-1)(x+1)(x+2)Q(x)の部分は必ず割り切れる. よって,\ その余りは,\ ax^2+bx+cを(x+1)(x+2)で割ったときの余りに等しい.} これは2次式を2次式で割ったことになるから,\ 商は定数である. すなわち,\ ax^2+bx+c=a(x+1)(x+2)-3x-5}が成り立つはずである. こうして,\ 条件「\,(x+1)(x+2)で割ったときの余り-3x-5\,」を予め組み込むことができる. すると,\ 残りの条件P(1)=4を考慮するだけで直ちに余りが求まる. 以下のように考えて設定しても同じ式が導かれる. まず,\ P(x)=(x+1)(x+2)Q'(x)-3x-5\ とおける. さらに,\ Q'(x)をx-1で割ったときの余りをaとすると Q'(x)=(x-1)Q”(x)+a よって P(x)=(x+1)(x+2)\{(x-1)Q”(x)+a\}-3x-5     P(x)}=(x+1)(x+2)(x-1)Q”(x)+a(x+1)(x+2)-3x-5$P(x)$を$x^3-1$で割ったときの商を$Q(x)$とする. 前問別解と同様,\ 「\,x^2+x+1で割ったときの余り2x-1\,」を組み込んで設定すると簡潔に済む. x^2+x+1=0の解がx=-\,1±√{3}\,i}{2}\,なので,\ ax^2+bx+cと設定してしまうと後が面倒である.  (5)\ \ $P(x)$を$(x-2)^2(x-3)$で割ったときの商を$Q(x)$とする. 「\,(x-2)^2で割ったときの余り2x+5\,」を組み込んで設定する. 本問の場合,\ Q(x)が消えるのはx=2,\ 3のみである. よって,\ ax^2+bx+cと設定してしまうと条件が足りなくなり,\ 前問以上に後が面倒になる. その場合の解答も簡単に示しておく. 結局はax^2+bx+cを(x-2)^2\,で割る羽目になるので,\ 回りくどいだけである.  ax^2+bx-9a-3b+15を(x-2)^2\,で割ると(筆算),\ その余りは  この他に微分して式の数を増やすという方法もあるが,\ 数III}の微分が必要になる.