関数の極限③:片側極限(左側極限・右側極限)と極限の存在

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関数の片側極限と極限の存在 $x$が定数$a$に近づくとき,\ その近づき方は左側からと右側からの2通りが考えられる. そのため,\ 関数の極限には片側極限という概念があり,\ 近づき方で極限が異なることがある. 片側極限が問題になるのは,\ 主に不連続な関数の極限を調べる場合である. 「連続」は後に学習するので,\ 今は「$不連続=グラフが途切れている$」と考えてほしい. その最も代表的な例は,\ $lim[x→0]1x$である.\ 関数$y=1x$は,\ $x=0$で途切れている. 途切れている$x=0$への極限を考えるとき,\ 左側極限と右側極限が異なる可能性がある. グラフを元に図形的に考えると,\ 一目瞭然である. グラフで考えるとわかりやすいが,\ 常にグラフをイメージできるとは限らない. よって,\ 式を見ただけで極限を求めることができるようにしておく必要がある. $lim[x→0]1x$を単純に考えると${1}{0}$となる.\ これを具体的に考えてみよう. まず,\ 分母を右側(正の側)から0に近づけていく. すると,\ ${1}{0.1},\ {1}{0.01},\ ,\ {1}{0.00001},\ $ のようになる. つまり,\ $10,\ 100,\ ,\ 100000,であり,\ {∞ に発散していく.$ 次に,\ 分母を左側(負の側)から0に近づけていく. すると,\ ${1}{-0.1},\ {1}{-0.01},\ ,\ {1}{-0.00001},\ $ のようになる. つまり,\ $-10,\ -100,\ ,\ -100000,であり,\ {-∞\ に発散していく.$ 次の極限を調べよ.\ ただし,\ $[x]$は$x$を超えない最大の整数を表す. 分子のx+1はx=2で連続であるから,\ どちらから近づいても当然3になる. 分母は2乗なので,\ 常に正の値をとりながら0に近づいていくことになる. 右側から2に近づくと (2.1-2)²=0.01,\ (2.01-2)²=0.0001,\ (2.001-2)²=0.000001,\ 左側から2に近づくと (1.9-2)²=0.01,\ (1.99-2)²=0.0001,\ (1.999-2)²=0.000001,\ いずれも{3}{0.01}=300,\ {3}{0.0001}=30000,\ {3}{0.000001}=3000000,より,\ 全体は+∞となる. 一応グラフも示したが,\ これをイメージして極限を考えるのは困難である. むしろ,\ 極限から逆にグラフの形を予想することができ,\ グラフを描く際に重要になる(数III}微分). 右側極限x→+0を考えるときはx>0,\ 左側極限x→-0を考えるときはx<0としてよい. すると絶対値をはずすことができるから,\ 連続関数x+1,\ -x-1の極限に帰着する. x→ aの極限を考えるとき,\ {x=aのときの値は一切関係ない}ことに注意する. limx→ a}f(x)は,\ 「{x→ aのときにf(x)が近づく目}標」のことであり,\ f(a)のことではない. 本問では,\ 右側から近づく目標が1,\ 左側から近づく目標が-1ということである. まず,\ ガウス記号 }の具体例を示す. 2.4}=2,3}=3,-1.5}=-2,92}=4 y=[x]のグラフは,\ 覚えておくことが望ましい.\ 様々な分野で頻出し,\ 極限も一目瞭然である. もちろん,\ グラフを覚えていなくても考えれば極限はわかる. x→1+0の極限は,\ 1より大きく1に十分近いxの範囲での[x]の値の変化を考えれば十分である. 1