検索用コード
ビエタ 円周率 近似
大学入試では,\ オイラーが発見した次の公式を背景にもつ問題が散見される.  証明自体が問われるので,\ 以下をできるようにしておく必要がある. 有理化して整理すると  総乗記号\,\prod\ (大文字のパイ)は,\ 総和記号\,\retuwa{}{}\,の積バージョンである.  \rei\ \ \displaystyle\prod_{k=1}^3a_k=a_1a_2a_3 \\[1zh] 無限級数の和を求めるとき,\ 第n部分和S_n\,を求めてから\dlim{n\to\infty}S_n\,を求めた. \\[.6zh] 同様に,\ 第n部分積を求めてからそれを極限にとばすことにより,\ 無限積の極限値が求められる. \\[.2zh] 部分積の導出は一見難しく思えるが,\ 実は\bm{2倍角の公式をただ繰り返し適用するだけ}である. \\[.2zh] \sin xに2倍角の公式\ \sin2x=2\sin x\cos xを繰り返し適用し,\ どんどん分割していく. \\[.2zh] まず,\ \sin x=2\cos\bunsuu x2\sin\bunsuu x2,\ さらに\ \sin\bunsuu x2=2\cos\bunsuu x4\sin\bunsuu x4\ とするといった具合である. \\[.6zh] これをn回繰り返すと,\ 2がn個出てきて2^n\,となり,\ 角度の分母は2^n\,となる. \\[.2zh] そして,\ 2^n\sin\bunsuu{x}{2^n}\,で割ると\,\cos\,の積が\,\sin\,のみで表されるから,\ これを極限にとばす. \\[.6zh] このとき,\ n\to\infty\,とするのであるから,\ \bm{xは定数扱い}であることに注意してほしい. \\[.2zh] 公式\ \dlim{○\to0}\bunsuu{○}{\sin○}=1\ を利用するため,\ 分子に無理矢理\,\bunsuu{x}{2^n}\,を作り,\ つじつまを合わせる. \\[.8zh] \bm{n\to\infty\,のとき\ \dlim{n\to\infty}\bunsuu{x}{2^n}=0}なので公式\ \dlim{○\to0}\bunsuu{○}{\sin○}=1\ が適用できることに注意してほしい. \\[.8zh] 言われてみると単純だが,\ 初見では厳しいだろう.\ それゆえ,\ 経験の有無で大きな差が生まれる. \\[1zh] オイラーの公式にx=\bunsuu{\pi}{2}\,を代入してみると,\ ヴィエトの公式が得られる. \\[.2zh] \cos\bunsuu{\pi}{2^{n+1}}\,の値が必要になるので,\ 半角の公式\ \cos^2\bunsuu{\theta}{2}=\bunsuu{1+\cos\theta}{2}\ から漸化式を作成する. \\[.8zh] \theta=\bunsuu{\pi}{2^n}\,とし,\ b_n=\cos\bunsuu{\theta}{2}\ (>0)\,とおくと,\ 漸化式\ b_n=\ruizyoukon{\bunsuu{1+b_{n-1}}{2}}\ が得られる. \\[.8zh] b_1=\cos\bunsuu{\pi}{4},\ b_2=\cos\bunsuu{\pi}{8},\ b_3=\cos\bunsuu{\pi}{16}\ \cdots\ であるから,\ \displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\cos\bunsuu{\pi}{2^{n+1}}=b_1b_2b_3\cdot\,\cdots\cdots\ と表せる. \\[1.5zh] ただし,\ この漸化式を用いると\ b_2=\ruizyoukon{\bunsuu{1+b_1}{2}},\ \ b_3=\ruizyoukon{\bunsuu{1+\ruizyoukon{\bunsuu{1+b_1}{2}}}{2}},\ \cdots\cdots\ となり,\ 鬱陶しい. \\[1.3zh] そこで,\ あらかじめ分母を払った形の漸化式\ \beta_n=\ruizyoukon{2+\beta_{n-1}}\ に変換する. \\[.2zh] すると,\ \beta_2=\ruizyoukon{2+\beta_1}=\ruizyoukon{2+\ruizyoukon2},\ \ \beta_3=\ruizyoukon{2+\beta_2}=\ruizyoukon{2+\ruizyoukon{2+\ruizyoukon2}},\ \ \cdots\ と表せるようになる. \\[.4zh] 数学の歴史上初めて円周率を無限積で表したヴィエト(1540~1603)の公式が得られるわけである. \\[.2zh] それから100年以上を経て,\ オイラー(1707~1783)によって一般化した公式が与えられた.
 [東京医科歯科大・改] \\
初見で出くわすと難問だが,\ 先に示した背景知識を持っていると簡単である. \\[.2zh] 表現が違うだけで,\ 問われている内容はまさにそのものである. \\[1zh] (1)\ \ \cos\,の積に一旦\,\sin\,を掛けて,\ 2倍角の公式を逆に用いていく解法も一般的である. \\[.4zh] (2)\ \ 漸化式で表現されているが,\ 要はa_n=\displaystyle\prod_{k=1}^{n}\cos\bunsuu{x}{2^k}\ であり,\ 証明は最初に示した通りである. \\[1.5zh] \phantom{(2)}\ \ 具体的に示すと a_2=a_1\cos\bunsuu x4=\cos\bunsuu x2\cos\bunsuu x4,\ \ a_3=a_2\cos\bunsuu x8=\cos\bunsuu x2\cos\bunsuu x4\cos\bunsuu x8 \\\\
(3)\ \ 背景知識を持っていない場合,\ b_n\,の漸化式を見て自力で半角の公式を連想する必要が生じる. \\[.2zh] \phantom{(3)}\ \ そして,\ b_n=\cos\bunsuu{\pi}{2^{n+1}}\ であることに気付かなければならず,\ かなり難しい. \\[.6zh] }半径1の円に内接する正$2^n$角形($n\geqq2$)の面積を$S_n$とする. \\[1zh].  [金沢大・改] \
本問から,\ オイラーの100年以上も前に,\ いかにしてヴィエトが公式を導出したのかがわかる. \\[1zh] (1)\ \ 正2^n\,角形を作る2^n\,個の三角形の中心角は\ \bunsuu{2\pi}{2^n}=\bunsuu{\pi}{2^{n-1}}\ である. \\[.6zh] \phantom{(1)}\ \ 後は,\ 三角形の面積公式\ S=\bunsuu12ab\sin\theta\ を用いればよい.\ 2^n\,倍を忘れないように. \\[1zh] (2)\ \ 2倍角の公式を利用すると約分できて簡潔になるが,\ なかなか気付きにくい. \\[.2zh] \phantom{(2)}\ \ 具体例を示すと,\ \bunsuu{\sin\bunsuu{\pi}{4}}{\sin\bunsuu{\pi}{8}}=\bunsuu{2\sin\bunsuu{\pi}{8}\cos\bunsuu{\pi}{8}}{\sin\bunsuu{\pi}{8}}=2\cos\bunsuu{\pi}{8}\ である. \\[1zh] \phantom{(2)}\ \ 間違っても,\ \sin\,の中身だけを約分して\, \bunsuu{\sin\bunsuu{\pi}{4}}{\sin\bunsuu{\pi}{8}}=\sin2などとしないように注意してほしい. \\\\
(3)\ \ 公式\ \dlim{○\to0}\bunsuu{\sin○}{○}\ を利用するため,\ 分母に無理矢理\,\bunsuu{\pi}{2^{n-1}}\,を作った後つじつまを合わせる. \\[.8zh] \phantom{(1)}\ \ n\to\infty\,のとき正2^n\,角形は正\,\infty\,角形であり,\ これは円のことと考えられる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ そう考えると,\ \dlim{n\to\infty}S_n\,が半径1の円の面積\,\pi\,になるのは当然と思えるはずである. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ もう一方の極限は,\ \cos\bunsuu{\pi}{2^n}\,を逆に\,\bunsuu{S_n}{S_{n+1}}\,で表していく. \\[1zh] \phantom{(1)}\ \ すると中央部分が約分されて消え,\ \dlim{n\to\infty}S_{n+1}\ に帰着する.\ \ \dlim{n\to\infty}S_{n+1}=\dlim{n\to\infty}S_n=\pi\ である. \\[.6zh] \phantom{(1)}\ \ 元々,\ S_{n+1}=\bunsuu{1}{\cos\bunsuu{\pi}{2^n}}S_n\,より,\ S_n\,は\bm{階比数列型漸化式a_{n+1}=f(n)a_n}である. \\[1.5zh] \phantom{(1)}\ \ 階比数列型漸化式は,\ \bunsuu{a_{n+1}}{a_n}=f(n)\ として繰り返し適用すると一般項が求まるのであった.
\phantom{(1)}\ \ このことを考慮すると,\ 解答の方法も自然な発想である.