無限級数の収束と発散(基本)

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無限級数の収束と発散(基本) 級数    数列${a_n}$の各項を順に加えた式 無限級数  無限数列$a_n$の各項を順に加えた式 $a₁+a₂++a_n+$ ${Σa_n$と表す. 部分和${S_n}$ 無限級数の初項から第${n}$項までの和 $S_n=a₁+a₂++a_n$ 部分和の数列$S_n}:S₁,\ S₂,\ S₃,\ }$が収束し,\ ${lim[n→∞]S_n=S$であるとする. このとき,\ 無限級数${Σa_n}$は収束し,\ その和を${S}$と定義する. 部分和の数列${S_n}$が収束しないとき,\ 無限級数は発散するまたは和をもたないという. \ {無限級数Σa_n=a₁+a₂+が,\ 結局はlim[n→∞]S_nのこと}だという認識が重要である. 「なぜ?」と考えるものではなく,\ それが定義である. ところで,\ 「無限級数の和」「無限級数が和をもたない」という日本語に違和感を覚えないだろうか. 無限級数自体も「和」なので,\ 「和の和」「和が和をもたない」ということになってしまう. このあたり,\ 言葉の使い方の問題なのであまり深く考えても仕方がない. 無限級数に対しては,\ 「極限値}」のことを「和」と呼ぶのが慣例であると思っておけばよい. つまり,\ 「無限級数の極限値」「無限級数が極限値をもたない」ということである. }]$ 繰り返しになるが,\ 無限級数の計算は$lim[n→∞]S_n$を求めることに帰着する. 実際には,\ $S_n$を求めることさえできれば,\ 極限計算はおまけ程度である. そして,\ 高校範囲で求まる和は,\ 一部の特殊なもの(主に次の4つ)に限られていた. 等差数列の和  \ Σ公式の形  \ 等比数列の和  \ 階差数列の和 この中で,\ との極限は$∞$となるので,\ 出題する意義が少ない. 必然的に,\ とが無限級数の和の問題として出題されることになる. の等比数列の和については関連事項が多いので,\ 後にまとめて扱う. ここでは,\ のタイプを演習する.\ このパターンを覚えているだろうか. 一般項を階差の形にして和を書き下すと,\ 間が消えて端だけが残るパターンのことである. 次の無限級数の収束・発散を調べ,\ 収束するものはその和を求めよ. 原理を確認する.\ まず,\ 一般項$a_n$を何とかして階差の形$a_n={f(n)-f(n+1)$で表す. $この無限級数は{収束し,\ その和は-12}である.$} $[l} S_nを求められるかがすべてである.\ S_nを求めるには,\ まずa_nをnの式で表す必要がある. 後は,\ a_nをn=1のときから順に書き下していくと,\ 間が消えて端だけが残る. これを極限にとばせば,\ 無限級数の和が求まる. 無限級数の和(極限値)を具体的に理解しておく. 本問はa₁=12-23=-16,\ a₂=23-34=-{1}{12},\ a₃=34-45=-{1}{20},\ の無限級数である. よって,\ 部分和の数列{S_n}は以下のようにして-12=-0.5に収束していく. 無限級数では,\ {勝手に項の順序を変えたり,\ 括弧をつけたり,\ 括弧をはずしたりしてはならない.} よって,\ 本問の和を次のように考えて求めるのは誤りである. もし,\ 問題が12+(-23+23)+(-34+34)+\ だったならば,\ これが正しい解答である. これは,\ a₁=12,a₂=-23+23=0,a₃=-34+34=0,の無限級数である. よって,\ 部分和の数列{S_n}が12に収束するのは明らかである. S₁=a₁=12,S₂=a₁+a₂=12+0=12,S₃=a₁+a₂+a₃=12+0+0=12 なお,\ {部分和S_nは有限の和なので,\ 普通に計算することができる(括弧を無視して間を消せる)}. $この無限級数は{発散する.}$} a_nをうまく階差の形f(n)-f(n+1)にできる数列など,\ 当然ごく一部のものに限られる. どんな数列が階差の形にできるか,\ どのように階差の形にするのかをパターンとしてすべて覚える. {分母に{ }の和があるタイプ}は,\ {有理化}すると階差の形になる. 分母の左の{ }の中は1,\ 3,\ 5,\ となっていくから,\ 初項1,\ 公差2の等差数列である. よって,\ 一般項(n項目)は1+(n-1)2=2n-1である. 同様に,\ 右は3,\ 5,\ 7,\ となっていくから,\ 一般項(n項目)は3+(n-1)2=2n+1である. この無限級数は{収束し,\ その和は13}である.$} $[l} 無限級数\ Σ{1}{4n²+4n-3}\ は,\ a_n={1}{4n²+4n-3}\ であることを意味する. {分母が因数分解できる分数のタイプ}は,\ {部分分数分解}すると階差の形になる. その方法は1つではないが,\ 和が目標ならば公式\ 1}{ab}={1}{b-a}(1a-1b)}の利用が推奨される. 和を求めるとき,\ {間が完全には消えない}ことに注意する. わかりにくいならば,以下のように和を分けて計算するとよい. 数列の問題ならば最後に通分すべきだが,\ 極限計算では通分すると面倒になるだけである. この無限級数は{収束し,\ その和は2}である.$} 一般項a_nがすでに和の形なので,\ Σ公式を用いてnの式に直す. すると,\ 分母が因数分解できる分数のタイプに帰着するので,\ {部分分数分解}する.