余角${90°-θ}$の公式 補角${180°-θ}$の公式 直角三角形を用いた三角比の定義より 直角三角形が角θをもつとき,\ 残りの1つの角は 三角比の定義(単位円)より,\ 回転角θのときの座標を(x,\ y)とすると\ cosθ=x,\ sinθ=y\ である. このとき,\ 回転角180°-θのときの座標は対称性より(-x,\ y)となる. これらの公式は基本的にはどんなθについても成り立つ. 余角の公式と補角の公式はどのように習得するかという学習上の戦略が難しい. 数Iの定期試験程度ならば丸暗記も悪手とはいえない. しかし,\ 数IIや入試を考慮すると丸暗記はその場しのぎでしかない. この先$sin(θ-90°),\ sin(180°+θ),\ sin(θ-180°)$などが登場すると対応できなくなる. これらを全て丸暗記というのは無理があるし,\ 応用性もない. かと言って,\ 毎回直角三角形や単位円を考えて導くのも非効率で,\ 相当の慣れも必要になる. 実は数IIでこれら全てに対応できる万能公式:加法定理を学習する. 暗記必須の最重要公式なので,\ 余角・補角の公式はいざとなれば加法定理から導けばよい. しかし,\ これも結局は非効率であることに変わりない. そこでオススメしたいのが暗記と思考を織り交ぜた以下の方法である. 最小限の暗記で済む上,\ 極めて高い応用性をもつ.\ 時間もかからないので最強である. 関数の種類を判断する.\ 2パターンしかないので暗記する. 関数は変化しない}{正負を判断する. 変形後の正負は,\ 元の式の${θ}$に鋭角を代入したときの正負と一致する.} 具体例をいくつか示す.\ 瞬時に頭の中で判断できるまでに慣れてほしい. 鋭角ならば$10°$でも$20°$でも何を代入してもよい. このようにして,\ 数Iの範囲でも必要な次の公式も導かれる. もし30°や45°などの三角比ならば,\ 値がわかるからそれを代入すれば済む. しかし,\ 綺麗な角度でない場合は値がわからないからそうはいかない. この場合,\ {余角の公式や補角の公式を用いて0°θ45°の三角比に変換する.} すると,\ 最終的に三角比が消えて値が求まるように問題が作られているはずである. まず問題の三角比を{公式が適用できる形とみなす}必要がある. つまり,\ {sin(90°-○),\ sin(180°-○),\ sin(90°+○)}\ のような形に変形する. このとき,\ ○の部分が0○45°\ になる形を選択する必要がある. 例えば,\ cos140°は\ cos(180°-40°)\ とも\ cos(90°+50°)\ ともみなせる. この場合,\ ○が45°\ より小さい\ cos(180°-40°)\ を選択することになる. 同様に,\ cos130°=cos(90°+40°),\ sin50°=sin(90°-40°)\ とみなすと○が45°\ 以下になる. すでに45°\ 以下である\ sin40°\ はそのままでよい. 後は公式を適用すればうまく同じ三角比ができて消える. 本問では\ cos(180°-θ)=-cosθ,cos(90°+θ)=-sinθ,sin(90°-θ)=cosθ\ を適用する. {様々な角度の三角比を0°θ45°\ の三角比にできることが余角・補角の公式の意義である.} と同様,\ ○が45°より小さくなる形とみなした後,\ 公式を適用する. 変形していくと,\ 最後に\ sin²θ+cos²θ\ の形が現れる. θによらず{三角比の相互関係\ sin²θ+cos²θ=1}\ が成立することを用いて値が求められる. 場合によっては45°以下でなくても{角度を統一する}だけで求まることもある.