円に内接する四角形は、様々なポイントが凝縮できるために試験問題として最適なテーマであり、頻出する。
対角線の長さ・外接円の半径・面積という基本事項をおさえるのはもちろんのこと、関連する複数の裏技を知っていると穴埋め式試験で役立つ。
有名な裏技トレミーの定理(プトレマイオスの定理)に加え、ブラーマグプタの公式や四角形の面積の裏技公式も場合によっては有効である。
円に内接する四角形{ABCD}は,\ {AB=4,\ BC=5,\ CD=7,\ DA=10}を満たす.\ $ $また,\ {線分ACと線分BDの交点をEとする.}\ 次の値を求めよ.$ \ ll} 対角線BDの長さ & 対角線ACの長さ 外接円の半径 & 四角形ABCDの面積$S$ ${AE:CEとAEの長さ}$ & $sin∠$AEB {円に内接する四角形の計量(基本と裏技のまとめ) ほとんどが当カテゴリですでに取り上げてきた内容だが,\ 今一度ここでまとめておく. ∠ Aが綺麗な角度の場合は,\ 単純に {ABD}に余弦定理を適用するだけで{BD}の長さが求めれる. しかし,\ 綺麗な角度でない場合,\ {2つの三角形にそれぞれ余弦定理を適用}し,\ BD}を2通りに表す.} さらに公式\ {cos(180°-θ)=-cos θ}\ を適用すると,\ BD}と{cos A}の連立方程式}となる. 2本目の対角線は,\ 裏技{トレミーの定理}の利用が便利である. 円に内接する四角形{ABCD}において AC BD=AB DC+BC DA (対角線の長さの積)=(対辺の長さの積の和)である. sin Aが既知なので,\ 公式\ {sin(180°-θ)=sinθ}\ を利用するだけである. 各辺a,\ b,\ c,\ dが整数などでその和が綺麗な値になる場合,\ 裏技ブラーマグプタの公式も有効である. {s={a+b+c+d}{2}\ とすると S={(s-a)(s-b)(s-c)(s-d) ついでに,\ {2つの三角形の面積比}について考えよう. { ABD: BCD=12} AB ADsin A}:12} CB CDsin A}={AB AD:CB CD 結局,\ {円に内接する四角形の2つの三角形の面積比は,\ 挟む辺の積の比と一致する.} 面積比のみを答えればよい場合,\ cos ,\ sin の値を求めずとも,\ これで瞬殺できる. つまり,\ ABD: BCD=410:57={8:7}\ である. 同様に,\ ABC: ADC=45:107={2:7}\ もわかる 結論から言えば,\ {頂点から対角線の交点までの長さの比は,\ 三角形の面積比に等しい.} さらに,\ 三角形の面積比が{挟む辺の積の比に等しい}ことをで示した. 同様に,\ BE:DE}=BA BC:DC DA=45:710={2:7\ であることもわかる. 中学レベルだが,\ 頂点から対角線の交点までの長さの比が三角形の面積比と等しくなることを示す. {頂点Aと頂点Cから対角線BDに下ろした垂線の足をそれぞれH,\ Iとする.} {対頂角∠ AEH=∠ CEIより,\ 2角が等しいから,\ { AEHと CEIは相似}である.} よって,\ {AE:EC=AH:CI\ となる.} ここで,\ {底辺が同じ三角形の面積比は,\ 高さの比に等しい.} {BD}を底辺とみると,\ {AHとCIは,\ ABDと CBD}の高さである. ゆえに,\ AE:EC=AH:CI= ABD: BCD\ となる. {対角線のなす角のsin}は,\ {裏技公式を用いて面積から逆算する}のが便利である. {対角線の長さがp,\ q,\ 対角線のなす角がθである四角形の面積は {12pqsinθ なお,\ 裏技公式自体は,\ {円に内接していなくても使用できる}点にも注意して欲しい. また,\ ∠{AEB=∠ CEI},\ sin{∠ AEI=sin(180°-∠ AEB)=sin∠ AEB}\ である. よって,\ 対角線のなす角の\ θ\ をどこにとっても同じ結果になる.