
2^x=4$を満たす実数$x$」を問われたら中学生でも$x=2$と即答できる. \\[.2zh] しかし,\ 「$2^x=3$を満たす実数$x$」を問われても答えることはできない. \\[.2zh] $2^1=2,\ 2^2=4$より,\ $2^x=3$を満たす$x$が1と2の間に存在することは確実である. \\[.2zh] 存在するにも関わらず,\ それを表現できないのは不便なので決めたのである. \\[.2zh] $2^x=3$を満たすような実数$x$を$\log_23$のように表そうではないかと. \\[1zh] つまり,\ 次が対数の定義である. \\[1zh] \centerline{{\large $\textcolor{red}{a>0,\ a\neqq1,\ M>0}$のとき $\bm{\textcolor{cyan}{a^p=M}\ \Longleftrightarrow\ \textcolor{magenta}{p=\log_aM}}$}} \\[1zh] $\log_aM$を$\bm{\textcolor{blue}{aを底とするMの対数}}$といい,\ 「ログ $a\ M$」と呼ぶ. \\[.2zh] $M$をこの対数の\textbf{\textcolor{blue}{真数}}という. \\[1zh] 対数の定義には,\ $a^p=M$の$p$に$p=\log_aM$を代入した別表現があり,\ 盲点になる. \\[1zh] \centerline{{\large $\textcolor{red}{a>0,\ a\neqq1,\ M>0}$のとき $\bm{\textcolor{red}{a^{\log_aM}=M}}$}} \\[1zh] 例えば,\ $2^{\log_23}=3$が成り立つわけだが,\ この変形ができない学生が非常に多い. \\\\\\ \textbf{\textcolor{blue}{対数の性質}} \\[1zh] $a>0,\ a\neqq1,\ M>0,\ N>0,\ kは実数とする.$ [1]\ \ $\bm{\textcolor{red}{\log_aMN=\log_aM+\log_aN}}$ & (\textcolor{forestgreen}{$積の対数=対数の和$}) \\[.5zh] [2]\ \ $\bm{\textcolor{red}{\log_a\bunsuu MN=\log_aM-\log_aN}}$ & (\textcolor{forestgreen}{$商の対数=対数の差$}) \\[.8zh] [3]\ \ $\bm{\textcolor{red}{\log_aM^k=k\log_aM}}$ & (\textcolor{forestgreen}{$k乗の対数=対数のk倍$}) 指数関数y=a^x\,と同様の理由でa>0,\ a\neqq1のときを考える. \\[.2zh] また,\ 常にa^p>0より,\ \bm{常に真数M>0}であることは今後非常に重要になる. \\[1zh] a^p=M\ \Longleftrightarrow\ p=\log_aMより,\ \bm{\log_aMの値とはaを何乗するとMになるか}である. \\[.2zh] よって,\ a^1=a,\ a^0=1,\ a^{-1}=\bunsuu1a\ より,\ \bm{\log_aa=1,\ \log_a1=0,\ \log_a\bunsuu1a=-\,1}が成立する. \\[1zh] \text{log}は対数を意味する英語\text{logarithm}の略である. \\[.2zh] 対数の性質や底の変換公式の具体的な利用については別項で扱うこととし,\ 本項では証明のみ扱う. $a>0,\ a\neqq1,\ M>0,\ N>0とする.$ \\[1zh] \hspace{.5zw} (1)\ \ $\log_aMN=\log_aM+\log_aN\ が成り立つことを示せ.$ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (2)\ \ $\log_aMN=\log_aM+\log_aN\ が成り立つことを示せ.$ \\[.8zh] \hspace{.5zw} (3)\ \ $\log_aM^k=k\log_aM\ が成り立つことを示せ.$ \\\\ \hspace{.5zw}$a,\ b,\ cは正数,\ a\neqq1,\ c\neqq1とする.$ \\[1zh] \hspace{.5zw} (4)\ \ $\log_ab=\bunsuu{\log_cb}{\log_ca}\ が成り立つことを示せ.$ \\ 対数の性質は,\ \bm{指数法則を対数で表現したもの}にすぎない. \\[.2zh] それゆえ,\ 指数法則と対数の定義を用いることで対数の性質を証明できる. \\[1zh] (1)\ \ 本問の正体は指数法則\ \bm{a^p\times a^q=a^{p+q}}\ である. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ これを利用するため,\ \log_aMと\log_aNを一旦文字でおき,\ 対数の定義で累乗の形に書き換える. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ 指数法則を用いた後,\ 再び対数の定義で対数の形に書き換えると証明できる. \\[1zh] (2)\ \ 本問の正体は指数法則\ \bm{\bunsuu{a^p}{a^q}=a^{p-q}}\ である. \\[1zh] (3)\ \ 本問の正体は指数法則\ \bm{(a^p)^q=a^{pq}}\ である. \\[1zh] (4)\ \ 指数法則\bm{(a^p)^q=a^{pq}}\,をさらに応用すると,\ 底の変換公式を導くことができる. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ (3)を利用する解答(本解)と直接指数法則を利用する解答(別解1)を示した. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ このいずれかの解答が教科書や参考書に載っている. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ さらに,\ 対数の別表現を利用する解答(別解2)も示した. \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ いずれにせよ,\ \bm{bを累乗の形で表現し,\ \log_cbを求めにいけばよい.} \\[.2zh] \phantom{(1)}\ \ また,\ \log_ca\,で割るときに\bm{\log_ca\neqq0を断る}必要があることに注意する.a,\ b,\ cは正の数,\ a\neqq1,\ b\neqq1,\ c\neqq1とするとき,\ 以下の式が成り立つことを示せ.$ (2)\,~\,(4)は,\ 普通教科書や参考書では公式として扱われていないので裏技的な対数公式である. \\[.2zh] といっても,\ (1)\,~\,(3)は底の変換公式によって容易に示されるので裏技というほどのものでもない. \\[.2zh] (1)は底をbに,\ (2),\ (3)は底をaに変換すればよい. \\[.2zh] 公式を覚えておくと,\ 計算問題で時間短縮できたり,\ 問題の見通しがよくなったりする.\ 以下具体例. \\[1zh]