
基本的な対数計算は以下の2段階で行う. \\\\ $[1]$\ \ $\bm{\textcolor{blue}{底の変換公式}\ \textcolor{red}{\log_ab=\bunsuu{\log_cb}{\log_ca}}}\ により,\ \bm{\textcolor{red}{底を統一}}する.$\ \textbf{\textcolor{forestgreen}{底は素数にする}}のが原則. \\\\ $[2]$\ \ $\bm{\textcolor{blue}{対数の性質}}を用いて,\ \bm{\textcolor{cyan}{「合体」}または\textcolor{magenta}{「分解」}の\textcolor{red}{一方を徹底する.}}$ \\[.5zh] \ \ \begin{tabular}{ll} \maru1\ \ $\bm{\textcolor{cyan}{\log_aMN}=\textcolor{magenta}{\log_aM+\log_aN}}$ & $[\textcolor{brown}{\,積の対数=対数の和\,}]$ \\[.5zh] \maru2\ \ $\bm{\textcolor{cyan}{\log_a\bunsuu MN}=\textcolor{magenta}{\log_aM-\log_aN}}$ & $[\textcolor{brown}{\,商の対数=対数の差\,}]$ \\[.8zh] \maru3\ \ $\bm{\textcolor{cyan}{\log_aM^k}=\textcolor{magenta}{k\log_aM}}$ & $[\textcolor{brown}{\,k乗の対数=対数のk倍\,}]$ \end{tabular} \\\\[1zh] \textbf{\textcolor{cyan}{「合体」} \textcolor[named]{ForestGreen}{左辺への変形を徹底}}し,\ \textbf{\textcolor{red}{1つの対数にまとめる. }} \\[.5zh] \textbf{\textcolor{magenta}{「分解」} \textcolor[named]{ForestGreen}{右辺への変形を徹底}}し,\ \textbf{\textcolor{red}{真数が素数になるまで分解する.}} \\\\\\ \textbf{\textcolor{blue}{よくある対数計算の間違い}} \\[1zh] 対数計算は,\ 高校数学の中で最も学生が暴走する部分である. \\[.2zh] 上で示した\bm{底の変換公式と対数の性質\maru1\,~\,\maru3が対数の世界で許されたルール}である. \\[.2zh] 言い換えると,\ \bm{この4つ以外のことは一切やってはいけない}ということである. \\[.2zh] にもかかわらず,\ 学生は自分の思うようにやりたい放題でこのような間違いが頻発する. \\[.2zh] まずは\bm{ルールをきちんと覚えること},\ さらに\bm{ルールを遵守すること},\ この2点を徹底してほしい. \\[1zh] \log_{10}2^3\,という表記は\log_{10}(2^3)\,を意味しており,\ (\log_{10}2)^3\,とは別物である. \\[.2zh] \log_{10}4などは全体で1つの記号なので,\ \bunsuu{\log_{10}\teisei{6}}{\log_{10}\teisei{4}}=\bunsuu{\log_{10}3}{\log_{10}2}\,のような真数部分のみの約分はできない. 底は最初から統一されている.\ 本解は「合体」,\ 別解は「分解」である. \\[.2zh] どちらが楽かは場合によるので,\ いずれの方針でも求めることができるようにしておく必要がある. \\[.2zh] また,\ ある部分を合体させてその他の部分を分解していたりすると堂々巡りになる. \\[.2zh] 「合体」または「分解」のどちらか一方を徹底すること. \\[1zh] 「合体」でいく場合,\ \bm{まず係数を指数に移動する.} k\log_aM=\log_aM^k \\[.2zh] その後,\ \bm{対数の和は真数の積,\ 対数の差は真数の商で一気に合体させる.} \\[.2zh] \log_aM+\log_aN=\log_aMN,\ \ \log_aM-\log_aN=\log_a\bunsuu MN \\[.8zh] これらは\bm{係数が1でない場合は成り立たない}ことに注意する. \bm{\textcolor{magenta}{×}}\ 2\log_aM+\log_aN\neqq2\log_aMN \\[.2zh] それゆえ,\ 先に係数を指数に移動し,\ その後合体させるわけである. \\[.2zh] 「分解」でいく場合,\ \bm{まず真数を素因数分解する.} \\[.2zh] その後,\ \bm{真数の積は対数の和,\ 真数の商は対数の差に分解する.} \\[.2zh] \log_aMN=\log_aM+\log_aN,\ \ \log_a\bunsuu MN=\log_aM-\log_aN \\[.8zh] さらに,\ \bm{指数を前に出す.} \log_aM^k=k\log_aM \\[.2zh] こうして真数が素数になるまで分解でき,\ 後は普通の計算を残すだけである. \\[1zh] ここでは途中過程を丁寧に示したが,\ 慣れてきたら一気に「合体」または「分解」すればよい. \\[.2zh] \log_33のように簡単にできるものは,\ 最初に分解した時点でさっさと1にしてしまうのがよい. 「合体」と「分解」のいずれにしても\bm{まずは底の統一}が必要である. \\[.2zh] \bm{底はできるだけ小さい素数に統一する}のが原則である. \\[.2zh] 本問は2,\ 8,\ \bunsuu{1}{16}\,があるので,\ 2に統一するのが自然だろう. \\[.8zh] \log_28や\log_2\bunsuu{1}{16}\,を簡単にした後は(1)と同様である. \\\\ まずは底を統一する.\ 本問は2,\ 3,\ 5,\ 7のいずれに統一しても計算量は変わらない. \\[.2zh] \log\times\log\,は合体できないので分解する方針でいくしかない. \\[.2zh] 真数を素因数分解し指数を前に出すと,\ すべての\log\,が約分によって消える. すべての対数の底を2または5に統一する. \\[.2zh] 左の括弧内は2,\ 右の括弧内は5で統一したくなるが,\ 全て同じ底に変換するのが結局は近道である. \\[1zh] 右の括弧内は対数が分母にある和なので,\ \log_aM+\log_aN=\log_aMN による合体はできない. \\[.2zh] そこで,\ \bm{「分解」}する.\ 指数を前に出すと,\ 対数は\log_25のみになる. \\[.2zh] こうして各括弧内で和が計算できるようになり,\ 最終的に対数は約分で消える. まずは底を10に統一する.\ \ a,\ bで表すには,\ 真数が素数になるまで分解する. \\[.2zh] 結局,\ \log_{10}5を求めることに帰着する. \\[.2zh] \log_{10}2が与えられている場合,\ 以下のような手順で\log_{10}5を\log_{10}2で表すことができる. m{\log_{10}5}=\log_{10}\bunsuu{10}{2}=\log_{10}10-\log_{10}2=\bm{1-\log_{10}{2}}}