\log_35が無理数であることを示せ.$
(2)\ \ $\log_315が無理数であることを示せ.$ \\
対数が無理数であることの証明
まず,\ 有理数と無理数の定義を確認する.
有理数} & \{m}{n}\ (m,\ nは整数,\ ただしn≠0)\ で表すことができる実数}
無理数} & 有理数でない実数}\ mn\ で表すことができない実数
「~でない」の証明には背理法が有効であることが多いのであった.
「有理数でない」の証明は,\ 「有理数である」と仮定し,\ 矛盾を導く.
$\log_35$が有理数であると仮定する.}
$\log_35>0より,\ \log_35= mn\ (m,\ n:自然数)}\ とおける.$
対数の定義より \ $3^{ mn}=5$
両辺を$n乗すると 3^m=5^n}$
$m,\ nは自然数より,\ 3^m\,は3の倍数,\ 5^n\,は5の倍数}となるから,\ これは矛盾}である.$
∴ \log_35は無理数である.}$} \\
(2)\ \ $\log_315$が有理数であると仮定する.}
ここで $\log_315=\log_33+\log_35=1+\log_35$\ より $\log_35=\log_315-1}$
$\log_315$が有理数ならば,\ $(右辺)=\log_315-1$も有理数}である.
ところが,\ (1)より$(左辺)=\log_35$は無理数}であるから,\ これは矛盾}である.
∴ \log_315は無理数である.}$
背理法に苦手意識をもつ学生が多いが,\ √2\,が無理数であることの証明に比べればかなり容易である.
対数を分数で表せると仮定し,\ 両辺を累乗の形にする}だけで矛盾が生じる.
最初の仮定では,\ 整数ではなく自然数で仮定する}ことが重要である.
最後の3^m\,は,\ mが負の整数になりうる場合は3の倍数とはいえないからである. \rei\ \ 3^{-1}=13
\log_35>\log_31=0であるから,\ 自然数m,\ nを用いておくことができる.
(2)も(1)と同様に3^m=15^n\,を導いてもよいが,\ 3の倍数と15の倍数なので即矛盾とはならない.
3と15が互いに素(共通の約数をもたない)ではないからである.
この場合,\ 3・5=15のように3の倍数が15の倍数となることもありえる.
もっとも,\ 以下のようにして割と楽に矛盾を導ける.
3^m=3^n・5^n\,において素因数分解の一意性より\ m=n,\ 5^n=1,\ つまりm=n=0である.
これは,\ m,\ nが自然数であることと矛盾する.
やや回りくどいので,\ 対数の性質\log_aMN=\log_aM+\log_aNで分解し,\ (1)の結果を利用した.