静止摩擦力・最大摩擦力・動摩擦力

あらい水平な面上に質量10kgの物体を置き,\ 水平方向に加えた力$F$を徐々に大きく していった.\ 静止摩擦係数を0.60,\ 動摩擦係数を0.50,\ 重力加速度を9.8m/s$²$とする.  $F$が15Nであるときの静止摩擦力の大きさ$f$を求めよ.  物体が動き出したときの力$F$の大きさを求めよ.  物体が動いているときの動摩擦力$f’$の大きさを求めよ. 静止摩擦力・最大摩擦力・動摩擦力 静止摩擦力 物体が面上で静止しているときにはたらく摩擦力. \ 公式はない!$f=\mu N$は成り立たない!} 力のつりあいの式を立てて求める. 最大摩擦力 物体が面上を動き始める瞬間の静止摩擦力(最大静止摩擦力).     ${f=\mu N (\mu:静止摩擦係数,N:垂直抗力)$} 動摩擦力  物体が面上を動いているときにはたらく摩擦力. ${f’=\mu’ N (\mu’:動摩擦係数,N:垂直抗力)$} 水平方向の力のつりあいより $F=f}    よって {f=15}$[N]} 垂直抗力を$N$とすると,\ 水平方向と鉛直方向の力のつりあいより 物体は静止しているから受ける力はつりあっている.\ 物体が受ける力をすべて図示する. \ あらい面から受ける接触力には垂直抗力と摩擦力がある. 摩擦力の向きは{運動を妨げる向き}である. 摩擦力の問題で最も注意すべきは,\ {f=\mu N\ が常に成り立つわけではない}ことである. あくまでも{動き始める瞬間のみ\ f=\mu N\ が成り立つ. よって,\ 動き始める瞬間であることが明記されていない場合に\ f=\mu N\ を適用してはならない. この場合,\ 摩擦力をfなどとおき,\ {つりあいの条件からfを求める}ことになる. 本問の場合,\ 加えた力15N}とつりあっているのであるから,\ その摩擦力も15N}である. 同様に考えると10N}の力を加えると摩擦力も10N},\ 20N}の力を加えると摩擦力も20N}\ となる. {動き始める瞬間であることが明記}されているから,\ f=\mu Nが成立する. まだ静止しているから{つりあいの式}も成立し,\ これと{f=\mu Nを連立}すればよい. 静止している場合とは異なり,\ {動いている場合は常にf’=\mu’ Nが成立}するから単純に求まる. ただし,\ 静止していないから水平方向の力のつりあいf’=Fが成立するとは限らない. Fを大きくしていったときの{摩擦力fの大きさのグラフ}が重要である. Fを大きくしていくと,\ それに対応して摩擦力fも大きくなる. そしてFがある大きさになった瞬間,\ 物体が動き始める. この瞬間f=\mu Nとなる(最大摩擦力). 一旦動き始めると,\ その後はずっとf’=\mu’Nで一定である. なお,\ {動摩擦力は最大摩擦力より小さくなる.} 物体を引っ張るとき,\ 動かすまでは大変だが,\ その後は楽になる. 水平な板上に質量$m$の物体をおき,\ 水平面と板の角度$θ$を徐々に大きくしていく 静止摩擦係数を$\mu$,\ 重力加速度を$g$とする.  $θ=θ₁$のとき,\ 物体は斜面上で静止していた.\ 静止摩擦力の大きさ$f$を求めよ.  角度を$θ=θ₀$より大きくしたとき,\ 物体は斜面をすべりはじめた.  $\mu$を$θ₀$を用いて表せ.  $θ<θ₀$のとき,\ 斜面に沿って下向きに加えた力$F$を徐々に大きくしていく.  物体が斜面をすべりはじめたときの力$F$の大きさ$F₁$を求めよ.  $θ<θ₀$のとき,\ 斜面に沿って上向きに加えた力$F$を徐々に大きくしていく.  物体が斜面を上りはじめたときの力$F$の大きさ$F₂$を求めよ. $垂直抗力をNとすると,\ 斜面に水平な方向と垂直な方向の力のつりあいより$ $垂直抗力をNとすると,\ 斜面に水平な方向と垂直な方向の力のつりあいより$ 物体は斜面下向きにすべろうとするから摩擦力は斜面上方向にはたらく. さらに,\ 軸を設定して力を軸方向に分解する 動き始める瞬間ではないからf=\mu Nは使えない.\ 力のつりあいを考慮すると直ちに求まる. 動き始める瞬間であるから,\ 力のつりあいの式に加えてf=\mu Nが成立し,\ 連立する. 面を傾けたときに物体がすべり始める角度θ₀を{摩擦角といい,\ \mu=tanθ₀\ が成立する. 物体は斜面下向きに動こうとするから,\ 摩擦力は斜面上向きにはたらく. 物体は斜面上向きに動こうとするから,\ 摩擦力は斜面下向きにはたらく. 摩擦力の向きに注意すべき構図 重なった2物体} ベルトコンベア上の物体 摩擦力の向きは{運動を妨げる向き}であるが,\ 必ずしも{運動の向きと逆向きとは限らない.} これを踏まえ,\ いくつかの観点から摩擦力の向きを考える. 地面と物体{A}の間に摩擦はなく,\ 物体{A}と物体{B}の間には摩擦があるものとする. 摩擦力の向きの判断法の1つは,\ {面に対する相}対}的}な運動の向きを考える}ものである. まず,\ 物体{A}と物体{B}の間に摩擦がないと仮定する. 物体{A}に力Fを右方向に加えると,\ 物体{A}は物体{B}に対して{相}対}的}に右に動く}. よって,\ 物体{A}は物体{B}から{左向きの摩擦力}を受ける. 何の力も受けずにその場にとどまろうとする物体{B}は地面と同じ扱いなのである. 一方,\ 間違えやすいのは物体{B}が受ける摩擦力の向きである. 物体{A}が右に動くとき,\ 物体{B}は物体{A}に対して{相}対}的}に左に動く}. よって,\ 物体{B}は物体{A}から{右向きの摩擦力}を受ける. これは,\ {物体{B}が物体{A}に与えた摩擦力の反作用}に他ならない. 最初から反作用と考えると,\ 物体{B}の摩擦力の向きを改めて考え直す必要はない. {運動の向きとの関係を考慮する}ことも重要である. 常識的に考えて,\ 物体{A}が右に動くとき,\ 物体{B}もつられて右に動くはずである. 右に動くのは右向きの力を受けているからである. 物体{B}が受ける摩擦力を左向きとすると,\ 物体{B}が右向きに運動することと矛盾するのである. 摩擦力がないと仮定すると,\ 物体はベルトコンベア(右向きに動く)に対して{相}対}的}に左に動く}. よって,\ 物体はベルトコンベアから{右向きの摩擦力}を受ける. これは,\ 物体が右向きに運動することと矛盾しない.
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