斜面への斜方投射

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本項目は応用的で難易度が高めなので初学者はスルーしても構いません。

水平面と角$α$をなす斜面上の1点から,\ 斜面上方で斜面と角$θ$をなす方向に初速$v₀$で 小球を投射したところ,\ 斜面上のある点に落下した.\ 重力加速度を$g$とする.  斜面に落下するまでの時間$t$を求めよ.  斜面方向の到達距離$L$を求めよ. 以下,\ $α=30°$とする.  の$L$が最大になるときの$θ\ (0°<θ<60°)$を求めよ.  小球が斜面に対して垂直に落下するときの$tanθ$を求めよ. 斜面への斜方投射 小球の投射位置を原点とし,\ 斜面方向に$x$軸,\ それと垂直に$y$軸をとる. $小球が落下した瞬間のx軸方向の速度を{v_x}’とする.$ 水平方向をx軸としても当然求められるが,\ 計算が面倒になる. 図のような座標軸で考えるのがポイントである. このとき最も注意すべきは,\ {初速に加え,\ 重力加速度も軸方向に分解しなければならない}ことである. 結局,\ {x軸方向には加速度-gsinα,\ y軸方向には加速度-gcosα\ の等加速度運動}である. 以上の点にさえ気をつければ,\ 根本的な考え方は通常の斜方投射と同様である. 斜面に落下するとき,\ {(y座標)=0}となる. 公式\ y=v₀t+12at²\ において,\ {v₀\ →\ v_y=v₀sinθ,a\ →\ -gcosα}\ としてtを求める. のtにおけるx座標を求めればよい. x=v₀t+12at²\ において,\ {v₀\ →\ v_x=v₀cosθ,a\ →\ -gsinα}\ として求める. この整理が一筋縄ではいかず,\ 三角関数の数学的処理能力がかなり問われる. 通分して共通因数をくくった後,\ 加法定理\ cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ\ を逆に用いる. 本問だけならばここで終わってもよいのだが,\ に備えてさらに変形する. 積和の公式\ sinαcosβ=12{sin(α+β)+sin(α-β)}\ を適用する.\ sin(-α)=-sinα\ である. [1.3zh] 完全に数学の話になるが,\ 他の解法も考えられる.\ 概要だけ示す. αが定数なら,\ L={2{v₀}²}{gcosα}sinθcosθ-{2{v₀}²sinα}{gcos²α}sin²θ=Asinθcosθ-Bsin²θ\ とみなせる. これは数II}の三角関数で学習する2次同次式の最大・最小問題である. この他,\ 数III}の微分を利用して求めることも可能である. α=30°のとき L=v₀}²{sin(2θ+30°)-sin30°{gcos²30°} これが最大になるのはsin(2θ+30°)=1,\ つまり\ {2θ+30°=90°}\ のときである. ちなみに,\ このとき\ {L={2{v₀}²}{3g\ となる. [1.3zh] 斜面に対して垂直に落下する条件は\ {時刻tで{v_x}’=0}\ となることである. α=30°\ のとき,\ t={2v₀sinθ}{gcos30°}={4v₀sinθ}{3g}\ である. 最後,\ 両辺をcosθ(0)で割るとtanθ\ の値が得られる.
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高校物理 力学
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